卓話


ロータリークリアランドプロジェクト
(カンボジア) 

5月11日(水)の例会の卓話です。

RI第2580地区
対人地雷除去活動に関する特別委員会座長
株)東京衡機製造所
代表取締役会長 岡崎由雄君

第4053回例会

ロータリークリアランドプロジェクトは地区の公式プロジェクトであり,ガバナー直轄の特別委員会として活動しておりますが,その経費については,半強制的な人頭分担金方式の寄付を要請しないで,募金BOXを地区内72クラブすべての例会場に置いて,活動の内容をご理解いただいて,ご協力いただくようにお願いしている次第でございます。

 お陰さまで,年間,当地区内72クラブで,400万から500万円くらいの募金を頂戴いたしております。あらためて,この場を借りてお礼を申しあげます。

この特別委員会には当東京RCから,宮崎さんには副委員長に,木村さんには委員になっていだたいておりまして,たいへんご苦労をおかけしております。

カンボジア王国にはアンコールワット,アンコールトムという世界の文化遺産がありますが,内戦が終わった直後は,この周辺がすべて地雷原でした。幸い現在では,この近辺の地雷がすべて除去されて,毎年,世界各国から観光客がやって来ます。そんなわけでシムリアップの街は,観光施設やホテル建設のラッシュで,土地の値段が,我々が活動を始めたころに比べて5倍,6倍になっていると聞いております。

初めて現地に行きました時には,街には舗装道路も交通信号もありませんでした。ところが,昨年あたりには主要幹線はほとんど舗装され,一昨年,初めて信号が一か所,去年もさらに一か所というふうに信号も付きました。地雷が除去されると,その土地はどんどん発展するわけでございます。

対人地雷除去の活動は,当クラブ1998年〜99年の鈴木和夫会長,徳増須磨夫地区ガバナーの時に始まりまして,足掛け7年になります。この7年間で,僻地の地雷の除去がかなり進みました。「ロータリークリアランド」という名称で造成をしておりますが,土地がクリアーになりますと,「この土地はロータリーのファンドで地雷がなくなりました。安全な土地になりました」という,たたみ一畳ぐらいの看板が村の入り口に立てられます。

この活動のパートナーである英国系の危険地域人命救助組織HALO TRUSTの報告によりますと,カンボジアの人が生活する場から地雷や不発弾がなくなる日は,およそ10年後ということで、カンボジアにおける,人が生活できる場所の「地雷ゼロ」が,ようやく見えてきたところでございます。

特別委員会は「一人でも多く地雷の被害から救おう」をスローガンにして,日々,命をおびやかされて生活をしているカンボジア僻地の人々のために,一刻も早く地雷を取り除いて,土地を浄化して,次世代を担う子どもたちが安心して遊べる,安心して学校に行ける,安心して日々の生活ができる土地を提供しているところでございます。

 実際に作業活動にあたった期間は5年間ですが,この間に地雷除去をした地域は78万平方メートル(約24万坪),30箇所です。その地域には,内戦中の避難民と元から生活している居住者を含めて,およそ400家族が定住しております。78万平方メートルとは,だいたい18ホールのゴルフ場程度の大きさだそうです。この大きさの所に不発弾のかけら一個地雷一個でも残っていたら,安全とは言えません。それこそ舐めるようにして進んで,すべての地雷を取り除くという作業はたいへんなものでございます。

特別委員会は,毎年2月に現地を訪問しまして,地雷がなくなって安全になった「クリアランド」の土を踏み,村人と交流をして,日本からもっていったお菓子だとか現地で調達した学用品を子どもたちにプレゼントしております。子どもたちも目を輝かせて,喜んでくれています。

今年の2月で,この視察も6回目となりました。毎年,他地区からの応募がありまして,今までに,2630地区(岐阜・三重)2770地区(埼玉南東部)2780地区(神奈川)のクラブから,パストガバナーとか地区幹事さんが参加されておられます。

今年の2月に,引き渡しをいたしましたクリアランド第5号地は,1984年に,ポルポトが率いるクメールルージユ軍がカンボジアからタイ側に撤退する時に,かなりたくさんの地雷を埋めた所でありまして,1Kmあたり3000個の地雷が7Km〜8Kmにわたって帯状に埋められた所です。数10cmおきに埋められている場所もあります。

我々が2月に行きました時に,この1カ月で,対人地雷が3900個,対戦車地雷が13個,不発弾3397個を発見して処理したと言っておりました。

この地域には,173世帯の人々が住んでいるのですが,地雷除去地域のすぐそばに,未処理の地帯があります。生活のために川に水を汲みに行くとか,山にきのこを採りに行くとか,燃料の薪を取りに行くとか,危険な所を承知で足を踏み入れます。地雷を踏んで怪我をする人がかなりいると聞いております。ちょうど,われわれが行った一週間程前にも,一人の女性が地雷を踏んで転んだ所に,また地雷があって,胸の下にそれが当たって即死されたという話をうかがいました。

今回,2780地区(相模原グリーンRC)から参加されたガバナー補佐の方が,視察団報告書の中に書いてくださった感想をご紹介させていただきます。

『 百聞は一見に如かず
 InformationとIntelligenceの違いを実感しました。資料を見るだけでは,その真実はうかがえません。自分の目で,肌で(まさに五感で!)感得することができました。

荒れた風土,現地の地雷原のありさま,住民の方々の不安げな顔つき。HALO TRUSTスタッフの緊張感。そしてなによりも,特別委員会の委員の並々ならぬ熱意,心意気を学びました。「あるべき世界社会奉仕」のあるべき姿を見た思いです。

 ロータリーでの「I will!」(シカゴ魂)を久しぶりに拝見した思いです。
今のロータリーにありがちな「緊張感なき単年度主義」,「Excuse付きの単年度主義」への一つの回答であると信じます。』

特別委員会の活動の真意に触れた感想と存じますのでご紹介いたしました。

 毎年アナハイムで開催される,ガバナーエレクトの方々が研修を受ける国際協議会という会議があります。2005年の国際協議会の席上でビチャイ・ラタクル元RI会長が「ロータリー100周年4大奉仕部門」の講演のなかで,日本の第2580地区が行っている対人地雷除去支援活動「ロータリークリアランドプロジェクト」を高く評価されまして,世界中のガバナーエレクトに紹介されたそうです。

当東京RCでは,特別基金から1000万円をこの活動に使ってはどうかというご提案を賜りまして,現地に「東京ロータリークリアランド」を造ることを正式に決定していただきました。そして,本日,HALO TRUSTと東京RCとの覚書を水野会長にご署名いただきました。ありがとうございました。

地雷で手足を失った子どもたちを見て,可哀想だと思うのは誰もが感じることでありますが,そこから一歩踏み込んで,残留地雷の被害をなくすように行動を起こすことが大切ではないかと思います。

特別委員会としては,国際奉仕の精神に基づいた人道目的のこの活動をここで中断することなく,第2ステージの活動として,新年度の2005〜6年に,あらためて全国33の地区に声をかけまして,平和の戻ったカンボジアにおいて人々の生活の場を安定させ,教育の場,農業の場,あるいは商業の場を広げて,同国の経済発展の元となる,クリアーな土地浄化を拡大する活動を進めていくことにいたしました。

地区が,あるいは日本のロータリーが,誇りをもって世界に提起できる,人道目的のプロジェクトの全国展開して,各地区の各ロータリーで独自のクリアランドを造成されるように「地雷ゼロ,日本ロータリーの会」と銘打った会合を来月に開催しようということにしております。

「東京ロータリークリアランド」はその第1号ということになるわけでございます。

地雷被害者のケアやリハビリのケアに奉仕活動をしているクラブは内外にいくつかありますが,地雷除去をして土地の浄化活動を実施しているのは,唯一,当活動のみでございます。この活動は,歴史に残る世界社会奉仕活動だろうと考えております。

 来年2月には,地雷原視察と「東京RCクリアランド除幕の旅」を計画しております。多くの会員に地雷原の土を踏み,地雷処理爆破を体験していただきたいと思っておりますので,引き続きのご理解とご支援をお願いいたします。