沿革


ロータリー創立25周年記念

1930年5月

 1930年は、世界最初のロータリークラブがポール=ハリス(Paul Harris)と、その友人たちにより米国イリノイ州シカゴに誕生して25年目。また、この年は東京RCがつくられて10年目にあたった。

 わがクラブでは急遽、貴族院議長の徳川家達公爵を名誉会員に推戴。在日の米国人ロータリアン、フレーザー(E. W. Frazar)氏とともに、シカゴで開かれるロータリー創立25周年記念大会に派遣した。

 徳川公は米国で最高の礼をもって迎えられた。シカゴRCは特に歓迎の午餐会を開き、シカゴ市もまた有名な儀仗黒騎隊をもって送迎したほどである。

 徳川公は、スピーカーの1人として壇上に立ち、「民族の勃興」と題して流暢な英語で熱弁を振るった。明治以来の日本の成長、発展ぶりを紹介し、改めて日本への理解を求めた。時すでに満州をはじめ大陸をめぐる風雲には異常なものがあっただけに、徳川公は多難な前途を予想しつつ、平和を愛する世界のロータリアンを前に堂々と所信を述べたのである。会衆のあいだからは「ロータリー精神は日本の武士道にも通ずるところがある」との声すら出て、大きな喝采を浴びた。

 だが、その後、日本をめぐる国際情勢は、柳条湖事件をきっかけとした満州事変の勃発により急転していく。