ロータリークリアランド完遂記念式典
2010.2
ロータリークリアランド完遂記念式典
さる2月3日から7日までの5日間、200人を超える第2580地区を中心とするロータリアン、家族の方々、ローターアクトの皆さんがカンボジア王国のシェムリアップに赴き、10年にわたって行われてきた対人地雷除去活動の完遂記念式典が多くの関係者の参加を得て、盛大に行われた。
このプロジェクトを地区事業として開始するについては、東京RC関係者のリーダーシップが大きかったことが知られている。方針決定時の地区ガバナーは、東京RC出身の徳増須磨夫さんであり、このプロジェクト推進の原動力となった東京RCの会長は、鈴木和夫さんであった。また、地区における推進体制の中では、対人地雷の除去に関する特別委員会には、岡崎由雄さんが座長のほか、宮崎さんが副委員長、木村さんが常任委員として東京RCから継続的に参加し、活発な活動を続けてこられたのは御承知のとおりである。
また、東京RCの会員である稲畑さんが会社創立110周年記念事業としてこのプロジェクトに2000万円を寄附され、これが募金活動に弾みをつけ、プロジェクト本格建上げのきっかけになったことも特筆されてよいであろう。
更に2004年には、国際ロータリー100周年を記念して、東京RCが1000万円を拠出し、地区事業とは別に「東京ロータリークリアランド」を造成し、2006年には25人の会員・家族が村民への引渡し式に参加した。
この対人地雷の除去に関する地区をあげての活動は、人道的な国際奉仕活動として、世界中のロータリークラブの活動に類例のない真にユニークな事例であるが、その中での東京RCの活動は、地区における人的なサービス、稲畑さんの寄附を含めて5300万円を超える寄付金の拠出、毎年の現地視察への参加等傑出していたと言ってよいであろう。
このような活動が認められて、さる2月17日の地区大会において東京RCの「カンボジア対人地雷除去活動」に対してガバナー賞が贈られることになった。10年前にこのプロジェクト推進の決断をされた鈴木和夫会長に壇上でガバナー賞をお受け取りいただいた模様は、週報で写真とともに御報告したとおりである。
今回の旅行は、東京RCから会員、家族及びローターアクトの皆さんを含め54人が参加したが、従来の例では、往復ともにホーチミンでの乗換えが必要であり、かなりの時間がかかっていた。今回は、舩山理事の御協力により、チャーター便でシェムリアップ空港に直行できることになり、しかも出発は成田からだったが、帰りは羽田への帰国が実現した。参加者にとっては、所要時間の点でも、疲労度の点でも大変なメリットであり、感謝の言葉もない。
この記念すべき今回の旅行の貴重な記録を，東京RCの歴史に残る偉業の想い出として、永く会員の方々に伝えてまいりたい。
ロータリークリアランド完遂記念の旅
対人地雷の除去に関する特別委員会 座長岡崎由雄
1998−99年度、徳増須磨夫ガバナー、鈴木和夫会長の時、東京RCが提唱し第2580地区の公式「世界社会奉仕活動」として承認された「クリアランドプロジェクト カンボジア」は2000年より地雷除去活動を開始、2001年2月 クリアランド第1号がシェムリアップ北西60kmにある「ロハール村」に完成、村民に引き渡されて以来10年となりました。
振り返って見れば10年前、タイ国バンコクから双発のプロペラ機で約1時間、カンボジアのシェムリアップ空港に到着し、機体の扉に付いているステップで地上に降りると周辺は民家もなくヤシの木と原っぱのみ。気温35〜6度にもかかわらずクーラーも無く、天井扇が廻る到着ロビーもトイレは建物の外と云う貧しいものでした。空港から市内まで約30分、簡易舗装と砂利道を砂ボコリを上げて走る途中の景色は高床式住宅とテント貼りの店、屋台食堂、裸足の子供達。
10年後の今日、空港は空調完備の近代的なビルになり、道路は舗装され市内には信号機が付き、屋根付きの食堂も増え欧米風の立派なホテルが建ち並ぶ観光地となりました。これは周辺の地雷がすべて除去されて世界の各地から世界遺産のアンコールワット観光に訪れる人が増えた事によるものです。しかしいったん市中を離れ、シェムリアップから60km〜100km離れたタイとの国境地帯に足を運ぶと、そこは未だ地雷原です。
これまでにロータリーの資金1億4千万円（内、東京RC拠出53,433,415円）で地雷が除去された土地は130万�屐陛豕�ドーム100個分）28ヶ村。そこには26,000人の人々が地雷の恐怖から開放され笑顔が戻り、平和な生活を送って居ります。「安全な土地になった」とは云え電気も水道もなく、日が暮れたら寝る、日が昇ったら起きて池に水を汲みに行き農作業をする貧しい暮らしですが、村の人々には笑顔が戻り夢と希望をもたらしました。
クリアランドで生活する人にインタビューをすれば、口々に「地雷が除去されてこんなに嬉しい事はない」「戦争が終わっても真の平和ではない。地雷のない故郷、それこそが本当の平和です」「貧しい暮らしでも子供たちが安心して遊べる土地、何の心配もせず畑を造れる土地が蘇りました。これでやっと人間として人間らしく安心して暮らせる故郷になりました。」と語ります。
これこそロータリーの人道目的奉仕の精神です。カンボジアの地雷帯で生活する人々の「地雷をなんとかして欲しい！！」の声に応えて手を差し延べた証であります。2010年2月5日、シェムリアップで開催された記念式典には第2580地区の29クラブから会員128名、家族63名、東京ローターアクト5名に加え、他地区から4クラブ5名のロータリアン総勢201名が参加しましたが、我が東京RCは、会長、副会長、幹事、SASを含め、会員26名、家族23名（総勢49名）が参加し、普段の例会や親睦会では得られない和気あいあいの親睦旅行になりました。式典にはカンボジア王国中央政府の要人、英国ヘイロートラストの幹部、在カンボジア日本国公使など関係諸多数氏を迎え、盛大に無事「ロータリークリアランドプロジェクト完遂記念式典」を終える事ができました。
これも一偏に舩山会員のご提案による「JALチャーター機の使用」から始まり、JTB・JALの特別なご配慮に加え、式典の設営所準備やツアー内容の取りまとめレストラン予約など、２度に渡って現地打合せをして下さった木村会員、ヘイロートラストと綿密な打ち合わせと交渉をされた宮崎会員のおかげに他なりません。 又、式典に花を添えて頂いた江頭副会長夫人ご手配による和太鼓の演奏、舩山会員ご手配の懇親ゴルフなど、種々お世話になりました皆様のご協力に改めて感謝致します。
地区対人地雷除去活動について
対人地雷の除去に関する特別委員会座長 (株）テークスグループ 取締役相談役岡崎由雄君
対人地雷除去活動の特別委員会は，1998年度，鈴木会長の時に東京ＲＣで産声をあげ，1999年７月より国際ロータリー第2580地区の公式世界社会奉仕活動としてスタートしました。
2000年にクリアランド第１号が完成して，現在は第9号の除去作業が進行中です。一昨年，東京ＲＣの特別寄付をいただき，東京ＲＣ独自のクリアランドもできました。
活動の資源となるイエローボックスは地区内71クラブすべての例会会場に常設しています。どうか，この活動の意義をご理解いただき，ご協力たまわりたいと思っております。
本年の視察団は，東京ＲＣから7名，地区内10クラブから女性2名を含めて，合計27名が参加されました。今回訪れた第8号地雷原は，ポルポトが率いるクメールルージュ軍がカンボジアから撤退していく時に大量に地雷を埋めた，タイとカンボジアの国境地帯であるバンティメンシイ州ダンラエク村です。１kｍあたり数百個の地雷が，700kｍにわたって帯状に埋められているという，非常に危険な所です。
2007年3月から，この地域での作業が開始されています。最初の6カ月間で，約490個の地雷が除去され，230個の不発弾と463個の大小火器が処理されました。
しかし，地雷が除去された数が問題なのではなく，除去した後，その地域にどれだけの人たちが住むことができるか，どれだけの耕地ができるかが問題なのです。カンボジアの地雷のすべてを除去するのは不可能です。しかし，地雷の被害者をゼロにすることはできると思います。
クリアランド第8号では，学校も再開され，6名の教員が派遣され，6歳から17歳の生徒236名が学んでおります。ちなみに，先生方の給料は，月給500ドル（約6千円）程度ですが，カンボジアの国家公務員の給料に，大体，匹敵しています。地雷の除去作業の作業員は，非常に危険で苛酷な作業ですので，HALO TRUSTでは月額1500ドルを支給しているようです。
我々の活動は2010年を目処に，クリアランド第10号の完成をもって終結することになっていますので，2010年の年には，現地でレセプションを開くことを検討しております。 「ロータリークリアランド・カンボジア完遂記念式典（仮称）」には，カンボジア王室，政府，日本在外公館，HALO TRUST英国本部などの参加を得て，活動の記念になるメモリアルモニュメントの設置なども計画中です。東京〜シェムリアップの直行チャーター便の計画も検討しておりますので，多数の方々にご参加願いたいと思います。
次年度の視察旅行は2009年2月11日〜15日です。地雷原の土を踏んで，クリアランドで生活する人たちとの交流を体験して，活動の意義をご理解いただくことを望んでおります。