卓話


イノベーションによる Connectivity Market (接続技術のマーケット)の成長と拡大

2025年7月16日(水)

TE Connectivity Japan(同)
名誉顧問 岡本 実君


 私は1962年12歳でアメリカのオレゴン州に単身留学しました。全米の小学7年生を対象に行われた数学の選抜試験でケネディ大統領が設立したEducational Excellence Programに選ばれ、いわゆる飛び級の数学コースで学びました。このプログラムでは、高校で高校と大学レベルの数学を学びました。

 1968年スタンフォード大学に入学しました。その年の新入生1,200人には、ケネディ大統領が設立したEE プログラムの1期生が4人いました。その4人は、1学期から大学院レベルの数学を学びました。

 1972年春、ペンシルベニア州にある会社で面接しました。卒業後帰国し、その会社に43年間勤務し、23年間日本法人のトップ、12年間グローバルビジネスのトップを務めました。2007年には、New York Stock Exchangeに上場し Bell Ringing Ceremonyに経営メンバーとして参加しました。

 このような偶然なチャンスで関係した業種は、Connectivity Market(接続技術のマーケット)です。接続技術により安全で持続可能な社会の実現、より豊かなつながる未来を創造しています。皆さんのものやところに使用され、より良いくらしを支援しています。

 データセンターは、情報社会のインフラの要であり、企業や社会の「IT サービス」と「データ」を安全、安定的に支えます。ハイパーデータセンターには、10万〜数10万台のサーバーが設置されています。そのサーバーの心臓部であるCPUは、半導体デバイスで現在の最高な半導体製造技術を集約したパッケージです。

 マザーボードには、半導体デバイスはソケットにて接続されます。最新のソケットは、手のひらサイズで高さ2ミリの成型品でその中に接続するコンタクトが0.9ミリのマトリックス間隔に7,000 装着されています。金属加工とエンジニアリングプラスチック成型の極限です。マザーボードは拡張性が高く、複数のCPUやメモリ、ネットワークインターフェースとそれぞれの基板用コネクター、基板対ケーブルコネクターで接続されます。これらソケット、コネクター、及びケーブルがコネクティビティです。

 1970年代、日本のある自動車メーカーが世界で初めてコンピューターを搭載しました。初めて電子回路(Electronics)を自動車に搭載する事はいかなる電気的瞬断も無い品質がもとめられました。電子化と共に自動車の接続は、高品質化、高度化しました。自動車のマーケットはガソリン等内燃エンジン車に加えハイブリッド車、電気自動車と拡大しています。

 また、自動運転、安全機能、カーエンターテイメント等新しい機能が飛躍的に導入されています。これらは、コネクティビティ及びセンサーマーケットを拡大しています。

 エネルギーと電力の業界は、厳しい環境、施工の正確さ、小動物に起因する停電、山火事、絶えず進化する技術の要求や規制など課題に日々直面しています。あるいは、脱炭素化、都市化、ネットワーク分散化、デジタル化といった新しいトレンドをどのように対処すればよいのでしょうか。

 堅固、インテリジェント、かつ無公害という未来のエネルギーインフラを構築することにとって、全ての接続が重要であることは明白です。発電から送電まで電力の全ての分野に対し、ケーブル付属品、Connector & Fittings、絶縁保護材料付きカバー、サージアレスタ等接続部品が提供されます。

 これらのアプリケーションにより、コネクティビティマーケットは、グローバルで15兆円になります。そして、持続的に成長します。


音声言語医学の歴史と今後の展望

2025年7月16日(水)

耳鼻咽喉科クマダ・クリニック
院長 熊田政信君


 音声言語医学は耳鼻咽喉科の一分野で、文字通り、「音声」+「言語」を扱う学問分野・臨床分野であります。

 まず、「音声」とは、英語で “voice”、即ち「声そのもの」を指す言葉として我々は定義しております。また、「言語」は英語で“speech”に相当し、「発音」「prosody」「言語学的レベル」の3つのレベルを包含しております。

 すなわち音声言語医学が扱うのは、「声そのもの」、「発音」 、「prosody」、「言語学的レベル」の4つの要素ということになります。

 まず「声そのもの」に関しましては、例えば声帯ポリープによる嗄声など、声帯そのものの問題で起こる疾患と、神経疾患による声帯運動のコントロールの問題で起こる場合があります。

 「発音」に関しましては、呂律が回らない、不明瞭な発音等の症状という事になりますが、これには、舌、唇、軟口蓋といった発音器官の問題で起こる場合と、脳梗塞の様な神経系の問題で起こる場合とがございます。

 「prosody」に関しましては、流暢性の障害である吃音が有名ですが、意外と治療を行なっている医療施設が少ないのが現状です。

 「言語学的レベル」の障害は、意味、文法、コンテクスト等の障害であり、失語症や精神疾患等、中枢神経系の問題ということになります。

 その様に広範囲の疾患を扱う音声言語医学の歴史は、19世紀に始まります。

 1857年に、スペインの声楽家ガルシアが喉頭鏡を発明し、発声している時の声帯の観察が可能になりました。ガルシアが医者ではなく声楽家であったことが音声言語医学の学際的な特徴をよく表しています。

 そして、1860年代から70年代にかけて、フランスの神経内科医ブローカとドイツの精神科医ウェルニケがそれぞれ大脳皮質上に運動言語野、感覚言語野を見出し、失語症の知見が大いに高まります。

 続いて、1870年代にエジソンが蓄音機を発明、一方グラハムベルが電話機を発明します。それらによって声の記録と解析ができる様になります。

 また、1910年代にはソシュールがジュネーブ大学において一般言語学講義を行い、近代的な言語学の始まりとなります。

 声や言葉を対象とする音声言語医学には、医学的な見地だけでなく、工学的な見地、音楽的な見地、あるいは文学的な見地などが必要であり、19世紀半ば以降その様な学際的な学問分野が成り立つ下地が出来上がったという事です。

 そしていよいよ1924年にヨーロッパにて国際言語医学会が結成されるに至ります。即ち、音声言語医学は昨年ちょうど100歳を迎えたという事になります。

 現在医学の主流であるミクロな研究、分子生物学的な研究ではなく、当時はそういったマクロな、behaviorology的な、医学をもっと広い立場から包括的にあるいは学際的に見ていこうという気概があった時代であったと言えましょう。

 さて、この様な広範囲の医療を行なっている音声言語医ですが、皆様あまり耳馴染みがない事からも、日本中探してもあまり見つからない、いわゆるニッチな、稀有な職種でございます。

 どのくらい稀有かと申しますと、日本の医師の数343,275人(R4年統計)のうち、耳鼻咽喉科医の数が全体の3%ほどの11,208人(R3年統計)しかいないところへもってきて、そのうち音声言語認定医の数はわずか104人、即ち、耳鼻咽喉科医の0.9% 、全医師の0.03%のみであり、まさしく希少生物的な、絶滅危惧種的な生き物と言えましょう。しかし、その様な希少な音声言語医学が今後果たして行く役割としては、「医学部のなかの教養学部」としての発信基地であると私は考えます。

 「医学部のなかの教養学部」とはどういう意味か。かつて、ヨーロッパにて大学というシステムが始まった時、そこで教えていたのは専門的な知識ではなく、教養人として生きていくのに必要な自由七科即ち、文法、論理学、修辞学、幾何学、算術、天文学、そして音楽でありました。音声言語医学はまさしくそういった教養学部的な基礎的な知識に常に立ち返らないと成り立たない学問です。

 ミクロな研究、分子生物学的な研究の迷路にはまり込んだ現代医学に、マクロな、behaviorology的な、人間をもっと広い立場から包括的にあるいは学際的に見ていく手法を他の医学分野にも広がる様、発信して行く事が「医学部のなかの教養学部」としての音声言語医学の使命であると私は考えております。