卓話


ロータリー財団月間例会
グローバル補助金を活用しよう

2025年11月5日(水)

<第2580地区パストガバナー
(株)栃木屋 取締役会長 栃木一夫氏(東京北RC)/NAME>

 今年度より3年間、ロータリー財団委員長を務めることになりました。

 私は筑紫勝麿会長、平井正修幹事の時の2023-24年度にガバナーを務めさせていただきました。そうしたご縁もあって、10月27日に地区行事としてポリオ根絶チャリティー坐禅会を平井住職の全生庵で開催し、40名からの参加をいただき大きな成果を上げることができました。

 ロータリーは、クラブ(ロータリークラブ、ローターアクトクラブ)、国際ロータリー、ロータリー財団の3本の柱で支えられています。これらが一体となって、世界中の地域社会に永続的な変化を生み出しています。

 ロータリー財団の父と言われているアーチ・クランフがロータリーにかける夢の1つとして、クリーブランドRCの会長の時、今後クラブが多くのことができるように「非常時基金」を作ることを提案したのが始まりです。4年後の1917年のアトランタ国際大会でロータリーが基金を作り、全世界的な規模で、慈善、教育、その他社会奉仕の分野で、何か良いことをしようではないかという形で登場しました。第一次世界大戦の最中でした。数カ月後、この新しく誕生した基金に米国ミズーリ州カンザスシティRCから26ドル50セントの最初の寄付が寄せられました。こうしてロータリー財団の原型が生まれ、1928年のミネソタ州ミネアポリス国際大会で、ロータリー財団と名付けられました。

 ロータリー財団は公共慈善団体であり、管理委員会によって管理されています。本年度の管理委員長は、ホルガー・クナーク元RI会長です。財団は、ロータリークラブおよび地区を通じて実施される、承認された人道的および教育的活動の支援のために寄付を受け付け、資金を分配する非営利団体と定義づけられています。

 財団の使命は、ロータリー会員が人々の健康状態を改善し、質の高い教育を提供し、環境保護に取り組み、貧困をなくすことを通じて、世界理解、親善、平和を達成することです。標語は、『世界で良いことをしよう Doing Good in the World』です。

 クラブができて120年、RIができて115年、財団ができて97年経ち、現在の財団は、チャリティーナビゲーターで最高位の4つ星を16年間連続で受けており、インターナショナルNGOトップ20を目指すとも言っています。

 4つ星評価の理由としては、財務健全性、寄付の90%以上を事業に使っている、透明性、年次報告、監査・事業報告を公開している、影響力、ポリオ根絶など世界的成果を出している、そして、100年以上の実績と世界的信頼があるガバナンスとなっています。

 「シェアシステム」も財団の透明性を表しています。財団への寄付は、シェアシステムと呼ばれる仕組みを通じて人道的プロジェクト、奨学金、職業研修チームの活動を支える補助金に生まれ変わります。クラブから寄付された年次基金は、地区財団活動資金(DDF)と国際財団活動資金(WF)に分けられ、寄付の3年後に、このDDFをクラブや地区、または財団のプロジェクトのために活用できます。DDFの50%までを地区補助金として使用でき、残りをグローバル補助金の申請、ポリオプラスやロータリー、平和センターの支援に使うことができます。

 ちなみに、3年前の嶋村ガバナー年度の第2580地区の年次基金寄付総額40万4,869ドルの47.5%の19万2,313ドルが今年度シェアシステムでDDFと地区補助金、グローバル補助金として使えるお金として戻ってきました。その他、恒久基金の運用収益の50%も戻り、今年は5万77ドル戻ってきました。

 2023-24年の世界の寄付金の総額は3億5,000万ドル、日本円で約510億円です。支出総額が3億4,700万ドルで87%がプログラムとその運営費に使われました。補助金の種類は、「グローバル補助金」「地区補助金」「災害救援補助金」「大規模プログラム補助金」の4つです。

 2023-24年度の補助金の概要です。地区補助金は485地区が利用し、災害援助補助金106件、グローバル補助金が1,287件、大規模プログラム補助金が1件です。

 災害救援補助金は、復興活動に生かされます。申請できるのは被災地域になる地区です。大規模プログラム補助金は、毎年、1口の補助金で200万ドルが授与されます。実績のあるプログラムの規模を拡大することで、より多くの人々に恩恵をもたらし、政策開発と持続可能なプログラムを推進するもので、2023年度はインドの活動に使われました。

 地区補助金は地元や海外の地域社会のニーズに取り組むための比較的規模の小さい短期的な活動を支援します。1年以内に完了する活動で、クラブ単独で実施でき、実施地は日本でも海外でも問題ありません。

 プロジェクトは、地区内のロータリークラブ、およびローターアクトクラブが主体となって、直接的に立案・実施してください。弱者救済の活動、本当に困っている人々を支援するもの、人道性があり、地域の緊急のニーズに応えるものが理想的です。東京RCは、2012-13年度に地区補助金を使い、社会福祉法人愛隣会支援プロジェクトとして愛隣会関係施設に対する備品の寄贈をされたと記録されています。

 次に、本題のグローバル補助金です。
 グローバル補助金の主な特徴は、プロジェクトが行われる国のクラブまたは地区と、海外のクラブまたは地区間のパートナーシップです。申請する前に双方の提唱者が参加資格の認定を受けていなければなりません。

 総額3万ドル以上の活動で、さらに、ロータリーでは、プロジェクトのインパクトを高めるため、特定の活動分野を指定しており、7つの重点分野のいずれかに該当する必要があります。重点分野は、平和構築と紛争予防、疾病予防と治療、水と衛生、母子の健康、基本的教育と識字率向上、地域社会の経済発展、環境です。2023-24年度は世界全体で62%が疾病予防と治療、19%が水と衛生に使われています。

 もう1つの条件が持続可能性の要素を含むことが要件になっています。ロータリーにおける持続可能性とは、成果が現地で維持され、地域社会の継続的なニーズに応えていけることを意味します。

 東京北RCでは2016年、創立60周年の記念事業にグローバル補助金のプロジェクトを行いました。2017年にロータリー財団が110周年を迎えるに当たり、財団を時代のニーズに合ったものに変えていこうと、プログラムの数や使い勝手の悪さを解消し、財団をもっと身近に感じるようにしようと、2013-14年度から「未来の夢計画」をスタートさせました。その3年前から世界100地区を試験地区として新しい補助金制度をテスト運用し、日本は6地区が選ばれ2580地区が含まれました。このパイロット地区初年度の2010-11年度にグローバル補助金を使ったのが東京北RC、東京浅草RC、東京江戸川中央RCです。

 東京北RCは、タイ・バンコクのスリオンRCの協力を得て予備調査を行い、タイ西北部のミャンマーとの国境の町メーソットで、タイ難民キャンプの水資源プロジェクトを立ち上げました。6万3,000ドルの活動で、当クラブで2万ドルを拠出し、地区のDDFから1万5,000ドルの支援をいただきました。

 生活用水や農業用水を確保するために、中小の川を石とセメントでせき止める堰のようなチェックダムを700個作る事業です。当初は水の浄化装置を設置しようということでしたが、それより地元では年間の水の確保が必要だということでした。

 プロジェクト実施に当たり、メーソットRCが歓迎の宴を開いてくれました。この日は、偶然にも川の水に感謝するタイの伝統的なお祭り「ロイ・クラント」で、灯籠流しやランタンを空に放つコムローイ祭りも行われ、本当に幻想的で感動しました。

 この時、思い浮かべたのが「奉仕のリターン」という言葉です。ロータリーでしばしば語られる理念の1つで、人種、言葉、宗教、その他文化や習慣などが違うロータリアンが同じ1つの目的に向かって協力し挑戦することによって得られる目に見えない感動のことです。「人のために尽くすことは、巡り巡って、自分の成長、幸せ、喜びにつながる」という意味です。ロータリーの創始者ポールハリスも「ロータリーは友情と奉仕の中で真の報酬を得る」と語っており、金銭的な見返りではなく、心の豊かさや人とのつながりこそがリターンだとされています。

 ぜひ、東京RCの皆様も、グローバル補助金のプロジェクトに挑戦されて、ロータリーだからこそ得られる体験、国際的な他クラブとの連帯感や感動を感じていただけたらと思います。

 最後に、ロータリー財団の父アーチ・クランフの言葉を紹介して、本日の卓話とさせていただきます。

 「自分のためにだけ、生きるべきではありません。人に良いことを、喜びのために生きるべきなのです。」

 「我々はこの財団を今日、明日の時点ではなく、何年、何世代の尺度で見つめるべきである。なぜなら、ロータリーは幾世紀にもわたる運動だからである。」

 「ロータリー財団は、レンガや石の記念碑を建てるものではない。たとえ、大理石に文字を刻んだとしても、やがては崩れてしまうだろう。真鍮を使ったとしても、いつかは汚れてしまうだろう。だが、心の中にその精神を刻むなら、そしてロータリー精神と神を恐れ、同胞を愛する気持ちを吹き込むならば、我々が刻んだものは永遠に輝き続け、文明の続く限り、ロータリーを不滅のものにする。」


  ※2025年11月5日(水)の卓話をクラブ会報委員が纏めたものです。