卓話


イニシエイションスピーチ

2004年1月14日の例会卓話です

生田正治君
江崎 格君

日本郵政公社 総裁
生田正治君


「日本郵政公社−文化の改革−」

 日本郵政公社がもっているファンドは355兆円。従業員が常勤28万人,非常勤12万人。合計40万人。郵便局が24700。どれをとってみても,とてつもなくでかい組織です。

昨年の4月1日に公社はスタートしました。まず公社としての哲学とモラールを決めるということで,経営理念,行動憲章,環境宣言を出しました。さらに経営ビジョン,戦略体制を示して行動計画を出しました。

 早急に手をつけたいのは国際部門です。実は国際分野で、アジア以外の国際地図はアメリカの2社,ドイツ,オランダの計4社に埋められてしまっています。日本にとってまことに由々しきことに誰も気がついていません。

経営ビジョンは,まず「真っ向サービス」という言葉で集約しました。お客様本位に徹するということです。次ぎに赤字部門の郵便の黒字化を図る。公社挙げて健全経営にもっていこう。そして三つめは,職員が将来展望をもって働きがいを感ずるような公社を作ろうという,三つのビジョンです。

行動計画では,真っ先に、郵便部門の黒字化にチャレンジする。次ぎに生産性向上の面では,専門家を招いて所員の訓練をします。一方,2年間で17,000人の職員を減らします。購買費は,14年度対比で20%以上を削減するという路線で進んでおり,1700億の削減ができると思います。特に長距離輸送をやっている部門は、原則すべて一般公開入札にして,35%から30%ぐらい下がってきました。

ソフト面で力を入れているのは,意識と文化の改革です。 意識の改革は,行政という概念から脱却して,サービス業に従事するという事実認識からスタートして,提供者の論理ではなくて受ける側の論理に視点を変えようということをやっております。例えば,[国民]と言わずに「全国のお客様」と言います。官庁用語は絶対に使わないということもやっており、意識の改革は相当に進んでおります。

問題は文化です。文化は周辺でつくるものりですから,ちょっと手間ひまがかかっております。本社、支社、郵便局の一方通行の流れに逆流を作って,郵便局はお客様との接点の最重要のフロントラインということを,全員が認識する。そこからの情報やアイディアを吸い上げる必要があります。全般に,行政組織的な組織を見直し、事業展開型に直すことに取り組んでいるところであります。

経済財政諮問会議が民営化の「五原則」を出しております。『1.官から民への実践による経済活性化を実現する。2.構造改革全体との整合性をとる。3.国民にとっての利便性を配慮した形で改革を行う。4.郵政公社が有するネットワークのリソーシス(資源)を活用する形で改革をする。5.郵政公社の雇用には十分配慮する。』というものです。 この中に利便性維持の原則がありますが,ユニバーサルサービスの機能は少なくとも絶対維持する。郵便局の数を維持するということではなくて,機能を維持するということをはっきりさせていく必要があると思っております。お客様の視点からみますとユニバーサルサービスというのは,郵便だけではなく,郵貯・簡保のファミリーバンク的な機能を望んでいらっしゃるということを肌で感じております。郵便局ネットワークを維持する過程では、ワンストップ・コンビニエンスオフィス構想という考えがあります。行政的な仕事でお手伝いできるものを分担して,地域社会の利便性を図る。同時にスペースがあれば,コンビニでも雑貨屋さんでも入っていただいて,生活インフラを提供するオフィスを作るというものです。郵便局をオフィスに変えていくというものです。

 今やっている構造改革は明治革命と第2次大戦の敗戦という大改革期に次ぐ,巨大な節目です。私は,将来,振り返って,日本国の生活者の視点から見てよかったなと思えるような,よい改革にしたいと思っております。

商工組合中央金庫理事長 
江崎 格君  

中小企業金融について
            
 スピーチのタイトルは「中小企業金融について」となっていますが、商工組合中央金庫(略して商工中金)の組織、中小企業金融の考え方、これからの課題についてお話をいたします。商工中金は、政策投資銀行とか中小企業金融公庫などと同じく「政府系金融機関」の1つですが、他の政府系金融機関とはかなり違っております。

まず設立の経緯からお話します。ご承知のように、わが国は昭和2年未曾有の金融恐慌に見舞われ、さらに昭和4年の世界恐慌、昭和5年の金解禁など相次ぐ恐慌の中で、中小企業は極度に疲弊しました。こうした状況を救済するため、昭和11年、政府は「商工組合中央金庫法」を制定、これに基づいて中小企業団体の共同出資による自助的な組織として商工中金を発足させ、自らも共同出資して支援しました。

このように商工中金は当初から「半官半民」という性格を付与されました。その後今日に至るまで、商工中金はわが国経済の大きな変動、拡大の中で、中小企業のさまざまな資金需要に応じてきました。

 現在の姿は、資本金約5,000億円(政府出資約4,000億円(80%)、民間出資約1,000億円(20%))、店舗数96、職員数4,691名、貸出し残高約10兆円となっております。

 さてその特徴ですが、まず事業の基本理念として、国の中小企業施策を踏まえ、これを金融面から実施あるいは支援するという政策的役割を果たすことが組織の最重要目標となっております。しかし一方で、フロー面では政府の資金的援助をほとんど受けずに事業を行っており、このため、民間の効率性を取り入れ、財務の健全性を維持することにも重点を置いた経営を行っております。

 資金量は12兆円程度ですが、そのほとんど(約95%)を、金融債の市場発行と預金により自己調達しており、資金面での政府への直接的な依存は、出資金の4,000億円と金融債市場における財投引き受け分の2,000億円の合計6,000億円(約5%)です。ただし、この政府出資は、政府の関与の証しとして金融債市場で大きな意味をもっており、商中債の格付けが高いのはその効果です。

 業務の範囲は、長期および短期資金の融資、預金、債券、為替、株式引き受け、私募債引き受けなど総合的な金融機能を持っています。

 業務の対象は、原則として商工中金へ出資した中小企業団体(約2万7千組合、全組合の約6割)とその構成員企業です。

 現在の貸出し残高約10兆円の内訳は、設備資金22%、長期運転資金約42%、短期運転資金36%となっています。

 融資に当っての基本的はスタンスは、第1に政策的役割を重視し、経済金融情勢に左右されない安定的な資金供給に努める、第2に長期的な取引関係の中で取引先の成長を支援する、第3に経営者の事業への取組み姿勢や事業見通しを重視する、第4に地域経済の発展に貢献することなどです。

 最後に、現在の経済情勢や中小企業の置かれている環境に鑑み、私たちの今後の課題は何かについてお話します。第1はセーフティネット機能の発揮です。中小企業が取引先や取引銀行の破綻、BSE,SARS,自然災害など突然の環境変化に遭遇した時に支える機能は引き続き重要です。第2に中小企業の挑戦の3段階といわれる創業、事業革新、事業再生への重点的な支援です。わが国経済の活力を取り戻すために、こうした局面で中小企業を支援するのは、国民的課題です。第3は中小企業への資金供給の仕組みを多様化することです。債権の証券化などを活用した市場型間接金融などです。第4が地域金融機関との連携強化です。事業再生やDIPファイナンスなどの分野で具体的な協力ができそうです。

 最後に、中小企業の日々の事業運営に必要な資金需要に応えて景気回復を本格的なものにしていくことが、当面の最大の課題と考えております。









第4回クラブ協議会開催報告

 本日開催のクラブ協議会では、各委員会からの上半期の活動状況と今後の活動予定の報告がありました。
 財政建て直し、出席率の向上、会員増強の推進など幅広く報告がなされました。ご出席ありがとうございました。      幹事 山本 泰人