卓話


イニシエイションスピーチ

2010年4月28日(水)の例会の卓話です。

高柳 肇君,平本 謹一君

コンピュータの変遷と情報化社会

株式会社ハイ・アベイラビリティ・システムズ
代表取締役社長  高柳 肇君

 コンピュータは20世紀最大の産業革命をもたらしたと言われておりますが、歴史的には家庭用テレビより新しく、誕生してから半世紀強しか経っておりません。世界で初めてコンピュータが登場しましたのは、1946年ペンシルバニア大学で開発されたエニアックという機械でありました。真空管18,000本を使うという巨大な計算機で、コンピュータの歴史はここから始まったと言っていいのではないかと思います。

 それから5年、初めて商用コンピュータが米国で発表され、政府の国勢調査局に納入され、コンピュータ産業がスタートいたしました。そして、1964年IBMがコンピュータ産業に革命を起しましたシステム360というシリーズを発表いたしました。集積回路を採用した、真空管、トランジスタに続く第三世代のコンピュータであり、全く新しいアーキテクチャを持ったコンピュータであり、市場のリーダーとなりました。また、この年代の利用法として、コンピュータとデータ通信の結合が起き、オンラインシステムという新たな領域が誕生いたしました。我が国でその嚆矢となりましたのが、1964年の東京オリンピックで、競技速報や記録がリアルタイムで処理されるという、当時としては画期的なものでした。一方日本国内では、昭和30年代半ばから国産コンピュータメーカーが大変な勢いで台頭いたしました。

 それまで「世の中がどんなに不況になってもコンピュータ業界は栄える」と言われた黄金の時代でありましたが、1985年頃突如としてコンピュータスランプと言われる現象が起こりました。各メーカーが得意とした汎用機から特徴を持つミニコン、あるいはワークステーションといったシフトが起こりました。ダウンサイジングと呼ばれています。その結果,コンピュータメーカーはビジネスモデルを劇的に変えまして、コンピュータのハードビジネスより、サービスビジネスに軸足を移して、今日に至っています。現在の各コンピュータメーカーの売上の大半は、サービスビジネスとなっております。そのダウンサイジングの流れは、半導体技術の急激な革新により、パソコン時代へと推移していきます。

 1981年IBMがパソコンを発表、世界のパソコン市場でシェア第一位となりました。IBMはパソコンの頭脳にあたるマイクロプロセッサをインテルに、基幹ソフトをマイクロソフトに開発委託いたしました。これにより、マイクロプロセッサはインテルから、基幹ソフトはマイクロソフトからそれぞれ購入すれば、シェア一位のメーカーの互換のパソコンが作れることになり、機器メーカーは少しでもコストの安いアッセンブル工場を求めて、東南アジアに製造拠点を構えたわけです。

 そして、20世紀後半になりますと、「20世紀末出現した恐竜」と言われますインターネットが、世界をまたぐネットワークとなります。現在ネット人口は世界で16億人と言われていますが、これは世界の人口の約25%です。その結果インターネットを利用した新しい企業が次々と誕生いたしました。いわゆるドットコムカンパニーと呼ばれる企業です。

 更に21世紀に入りますと、携帯電話がインターネットに接続された端末機としての機能を持ちます。昨年一年間の携帯電話の出荷台数は全世界で11億台だと言われていますが、携帯電話の普及率は20代30代の世代では、ほぼ100%と言っても過言ではないかと思います。今の日本の若い世代の生活インフラは、携帯電話だと思うのですが、情報端末として、また電子マネーとして更に利用が広がるのではないかと思っております。

 ごく近い将来、ネット文化の更なる進化によって、新しい世代による新しい情報化社会が生まれるのではないかとも思っております。

ITを活用した社会貢献活動について

シスプロカテナ株式会社
取締役会長 平本 謹一君

 当社グループでは、社会的に弱い立場にある人たちを支援していこうという考えのもとに、20数年前からITを活用したいくつかの社会貢献活動への取り組みをしてまいりました。

 まず一つ目は、今から24年前の1986年に、障害者の雇用を促進することを目的に、「障害者雇用促進法」に基づく特例子会社を設立しました。

 第3セクター方式による重度障害者雇用モデル企業として設立したもので、現在21名の障害者を雇用しております。

 二つ目は、これも障害者支援の一環ですが、当社の株主優待制度の「株主優待品」の一つとして、障害者の皆さんの手作りの作品、例えば壁掛けとかペン立て等の作品を障害者が働く福祉工場から購入し、当社の約5千人の株主に、年1回お送りしておりました。15年間継続した活動でありまして、障害者はじめ関係者の皆様には大変感謝されました。

 三つ目は、「母子家庭のお母様に対する在宅での就業支援活動」に取り組んでおります。

 育児等で外へ出て働くことのできない母子家庭のお母様に対して、自宅でデータ入力の仕事をしていただくという取り組みであります。情報セキュリティにも十分配慮した「VPN遠隔画像エントリーシステム」という方式を採用して、お母様が自宅のパソコンを使っていつでも好きな時間に仕事ができるような環境を構築しました。

 現在約700名の方に登録いただいており、その半分の約350名の方が毎月の作業に参画されております。

 なお、2007年にはこの活動が評価され、厚生労働省の局長賞を受賞しました。

 以上3つが私どもが取り組んでおります主な社会貢献活動でありますが、このうち、当社が最も重点的に取り組んでいる一つ目の障害者雇用を促進するための特例子会社の活動についてもう少し詳しくお話をさせていただきたいと思います。

 当社の特例子会社は1986年に障害者の雇用を促進することを目的に当社(51%出資)と東京都(49%出資)の合弁会社として設立され、第3セクター方式による「重度障害者雇用モデル企業」に認定されております。

 現在同社が雇用している障害者の数は21名で、そのうち重度障害者が14名とほぼ3分の2を占めておりますが、21名全員を正社員として雇用しております。

 障害者が従事している業務は、ほとんどがITサービス業務で、「データ入力」が50%強、残りを、「ソフト開発」や「スキャナオペレータ」「コンピュータオペレータ」等が占めております。

 障害者の勤続年数は長く、7割が15年以上となっており、経験を積み力量のアップした4名は管理者に昇格しておりますが、健常者の管理者と比べても遜色ない働きをしており同社の重要な戦力となっております。

 ところで、設立後25年目を迎えた同特例子会社は、前期売上高が20億円を超え業績は順調に伸長していますが、今同社にとって最大の課題は、障害者に適した仕事、特に、データ入力の仕事量をどう確保するかということです。

 データ入力の仕事は、官公庁に相当量あると思われますが、国や地方自治体との契約は原則として一般競争入札によらなければならないと法令で定められているため、大手業者が参加する一般競争入札で落札するのは容易ではなく、適正単価での受注は極めてむずかしくなっております。

 我々の要望としては、国や地方自治体及びそれぞれの外郭団体が発注量の1割とか2割については別枠として確保し、特例子会社のような,国や地方自治体の政策目的に合致する事業を行っている企業に対しては、優先発注する等の配慮をお願いできないか、ぜひ検討していただきたいと思います。

 当社グループとしては、今後とも障害者をはじめ社会的に弱い立場にある人々の支援に全力で取り組んでまいる所存です。