卓話


青少年交換プログラムとローテックス

2011年3月9日(水)の例会の卓話をクラブ会報委員が纏めたものです。

ローテックス委員長 学習院大学法学部
宮永幹也君

 ローテックス(ROTEX)の認知度はまだ不十分で,時にはローターアクトと間違われることもあります。そこで今日は,ROTEXの目的や役割,その活動基盤である青少年交換プログラムについてお話しさせていただきます。

 青少年交換プログラムには,「相互理解と平和」と「平和の親善大使」という2つのキーワードがあります。

 異文化に接し,外国人の方々との相互理解を得ることは,平和に貢献する最も効果的な方法です。このプログラムは,異文化を体験することで,生涯にわたって国際理解の種を蒔く機会を多くの青少年に与えています。

 このプログラムは,参加する青少年を受け入れるロータリアンや指導者のみならず,地域社会全体にも非常に多くの恩恵をもたらします。青少年交換を通じて,学生は他国での生活のあらゆる面を学びます。世界に対する視野が広がるとともに,学生自身の,自己に対する理解も深まっていきます。

 このプログラムは,地域の高校生や留学生を育てます。そして,彼らは平和の親善大使として世界に飛び立っていきます。本年度のRI標語「BUILDING COMMUNITIES BRIDGING CONTINENTS」に一番近いプログラムが,青少年交換プログラムだと思います。

 今日,世界中で,毎年8,000人の青少年交換学生が海外に渡り,200カ国以上の国で勉学に励んでいます。一人一人の学生が頑張って学校に通い,友達と話し,やっと認めてもらった相互理解は,大変に貴重なものです。

 日本で300人,世界では8,000人以上の学生がいます。相互理解の小さな輪が次第に大きくなり,世界平和に貢献すると思います。近年の日本で,交換留学生の規模が縮小しているのは残念な現状です。

 ロータリーでの留学と,他の留学機関の留学の違いを考えてみましょう。
 一番の違いは,ロータリーでの留学は語学留学ではないということです。ロータリーの留学は,世界平和につながる青少年の育成です。留学生は「平和の親善大使」として一年間元気に活動します。

 高校生たちは,日本を飛び出して,異国で新しい友達をつくり,いろんな家族にお世話になり,文化の違いに戸惑って,時には傷つき壁にぶつかりながら成長します。日本のよさや家族のよさを知り,日本を外から見つめたり,自分をあらためて見つめることによって人間的に成長していきます。その中の一つに語学があることは間違いありませんが,それが第一の目的ではないのです。

 もう一つの違いは,派遣の前に1年間の準備期間を設けてあることです。
 現在,2580地区では夏の8月に派遣されますが,その前年の5月に派遣学生を決定します。そこから1年間かけて,ロータリーの行事に参加したり,日本文化を学んだりして派遣に備えて研鑽します。

 2580地区ならではの特徴ですが,学生は派遣先を選ぶことができません。しかし,どの国に行った学生も,同じような体験をして,その国が大好きになって帰ってきます。

 青少年交換留学生には「4Dルール」というものがあります。
1.No Drugs(薬物の禁止)
2.No Drinking(飲酒の禁止)
3.No Driving(乗用車単車の運転禁止)
4.No Dating(性的行為の禁止)
 1つでも破った者は早期帰国となります。近年では,「5.No Decorating(装身具の禁止)」を取り入れている国もあります。

 以上の青少年交換プログラムに対して,お手伝いをしているのがROTEXです。
 ROTEXは,1年間の青少年交換プログラムを無事に終えて帰国した学生によって構成されます。その任期は3年間ですが,強制ではなく任意の参加です。

 ROTEXの役割は,次の3つです。
1.来日留学生のサポート
2.派遣予定学生の準備期間を充実させる
3.派遣中の学生のアドバイザー

 まずは,現在日本に来ている,さまざまな国からの留学生へのサポートです。文化や言語の違いから生じるであろう留学生の不安や戸惑いに対し,私たちが経験者として助言することにより,留学生たちはよりよい留学生活を送ることができます。

 受け入れ学生の母国に派遣されていたROTEXがいることが多いので,特にプログラムの初期に来日した学生にとって,言葉の面での大きな助けになります。

 2つめは,派遣予定学生の準備期間を充実させることです。留学生には1年間の勉強期間があります。派遣予定学生はオリエンテーションに参加して,茶道などの日本文化の習得に励みます。ROTEXが派遣予定国の情報や体験談を紹介して,彼らの準備を充実させることができます。また,派遣予定学生と来日留学生との交流も大事にしています。

 日本の高校生たちが,いきなり現地に行って外国人に囲まれるという生活をするのは大変です。事前に少しでも,外国人に接して日本語以外でのコミュニケーションを体験しておくのはとても有効です。そういうねらいから,来日学生と交流するイベントもたくさん企画しています。

 3つめは,現在派遣されている学生へのアドバイザーです。留学中の派遣学生に対して,相談にのったり,情報や経験談を紹介することによって,より充実した留学生活を送ってもらうことが目的です。

 留学生は初めての長期外国生活に相当悩んでいます。メールではそういった悩みが寄せられます。私たちにすれば,同じ経験を経ているので,それ程にも感じないのですが,直面している彼らにとっては大きな問題です。

 適切な助言をして,解決策を促すことにより,よりよい留学生活が送れるのではないかと思っています。

 ROTEXの組織は,委員長・副委員長の下に,お茶大臣・ジュニカ長・派遣担当・会計の四つの実践部門を設けています。

 お茶大臣は,毎月2回,茶道の実習を担当しています。ジュニカ長はジュニアカウンセラーを統括します。来日学生には,それぞれロータリアンの方がカンセラーとして付きますが,私たちもジュニアのカウンセラーとしてサポートしてあげたいと思います。

 今年度のROTEXの標語は「Peace begins with smiles」です。平和には笑顔が不可欠です。平和の親善大使としての彼らが,笑顔にならねば目的は達せません。そこで私たちは,来日留学生や未来の親善大使になる派遣予定学生たちを笑顔にすることにより,世界平和につなげたいと思っています。

 私たちには,世界中の人達を笑顔にする力はありませんが,来日学生,派遣予定学生たちを笑顔にすることはできます。毎月の定例ROTEX会議では,常にこの標語に沿っているかを確認しながら,イベントの企画などを進めています。

 ROTEXの活動は,8月の来日学生の成田到着から始まり,1年間,さまざまなイベントが行われます。派遣予定学生には,年8回のオリエンテーションが開かれます。8月中旬には,来日留学生への日本語研修が開かれ,2週間缶詰で勉強します。語学は短期集中が一番の道だと言われますが,ホストファミリーの元へ行く前に,当面に必要な日本語を習得してもらうのが目標です。

 9月からは月2回の茶道のお稽古が始まります。日本文化の習得がねらいです。学生は日本文化に強い関心を持っています。質問も積極的で,先生もそれに優しく応えます。

 3月には,ジャパンツアーがあります。私たちの地区に来ている学生たちは「日本=東京」と思っている学生が多いので,その誤解を解くためにもジャパンツアーが必要です。自分の目で日本各地を見たり,広島の原爆ドームに行って平和について語り明かしたりする体験はとても有意義な時間です。

 6月の帰国前報告会が最後の行事です。1年間の成果を7分間という短い時間でスピーチしてもらいます。彼らの日本語の使い方のすばらしさに,驚いたり感心したりする場面がしばしばです。

 ある留学生が「日本での生活は毎日が冒険だった」と言っていました。私たちにすれば,毎日のように同じ事のくり返しなのですが,彼らからするとすべてが新しい事だらけで,毎日新しい発見があったそうです。

 帰国前報告会の話を聞いていて,留学生たちがこのプログラムを通じて得るものが非常に多いと思いました。これからも,このプログラムが発展することを念じております。

 私たちがこのように自由に活動できるのも,青少年交換委員会の皆さまが私たちを信用してくださっているからです。先輩ROTEXが築いてくれた信頼関係を崩さないように精一杯頑張っていきますので,これからも皆さまのご理解とご協力をよろしくお願いいたします。