卓話


ロータリーとフィデューシャリー

2020年1月20日(水)

2020年1月20日(水


 昨年来新型コロナウイルス感染症の流行によって、世界はこれまで経験したことのない衝撃を受け、今年に入って日本でも緊急事態宣言の再発出に伴う活動自粛等、家計や企業への経済的な影響は未だ収束の見通しがついておりません。感染者数の増加に伴う医療機関への負担も大きく、かかる中では「安全・安心」を最重要課題として、「デジタル化」をキーワードに人々は勤務形態やコミュニケーション手段の急速な変化が求められています。

 ビジネス環境も、ミーティングやセミナーは非対面によるオンラインが推奨され、在宅は勿論、自宅近くのサテライトオフィスでのリモートワークや、リゾ−ト地でのワーケーション等、働き方の多様化は今後もコロナ禍以前に戻ることはないと言われています。

 当クラブの例会も本年1月より再度休会となり、会員の皆様とは週報等を通じて交流させて頂いておりますが、この機会に2020年度の年間テーマを踏まえまして、創立以来ロータリーが大切にして参りました「つながり/(feel)connected」について改めて考えてみたいと存じます。

 皆様ご承知のとおり、1905年にシカゴで誕生したロータリーは全世界に拡大、さまざまな職業の人々がリーダーとなり、地元密着による会員同士のネットワークや異なるスキルをもつ人々がアイデアを寄せ合う活動を通じて、社会奉仕や人道的活動に取り組んで参りました。「人と人とのつながり」「奉仕の理念」は、ロータリーの根本となるものでございます。

 日本で最初のロータリークラブとして、1920年の当クラブ設立に尽力された米山梅吉初代会長も、渡米時ロータリー活動に接することでとても影響を受けられました。米山初代会長は、その後1924年に日本初の信託会社を創立、取締役社長に就任されています。

 信託とは、文字通り「信じて託す」ということです。相手を信用して物事を託す、託された相手は、信用されて託されたのですから、責任をもって任務を果たすという、信頼を基礎とした人間関係です。この人と人とのつながりが信託の基礎となっております。営利事業・公益事業いずれにおいても、信託業務の中心を流れているものは、あくまでも公益の精神であってお金儲けではないと、米山初代会長の一生を描いた書物にはかかれています。

 ここ数年金融の世界では、フィデューシャリー・デューティーという言葉が広く使われるようになりました。お客様本位の業務運営の中で語られることが多いですが、もともと英米では、相手方との「信認関係」に基づいて、相手方のために行動する者をFiduciary(フィデューシャリー)と呼びます。「信認関係」とは次のような関係です。『Fiduciaryは社会的に望ましく専門的なサービスを提供する、Fiduciaryには財産や権限が託される、A蠎衒はFiduciaryの権限や行為を制御できない』。

 Fiduciary という概念は、もともと信託を受託する人を指すところから発祥したものですが、現代では、例えば医師や弁護士などもFiduciary と呼ばれています。一般的に、Fiduciary には、契約関係以上に厳格で高度な法的義務が課せられるとともに、自発的に相手方に尽くすといったような道義的・倫理的義務も求められるとされています。こうしたFiduciary に求められるものを総称してFiduciary Duty(フィデューシャリー・デューティー)と言います。

 こうしてみると、米山初代会長が日本に初めて設立された、ロータリー・信託ともに、「人と人とのつながり」「奉仕、公益精神」に基づいており、大いに通ずるところがあると考えさせられます。皆様のアイデアと創意工夫で、未曾有の環境変化に応じた会員同士の交流を行いながら、新たなつながりを実感してまいりたいと考えております。