卓話


イニシエイションスピーチ 

2006年10月11日(水)の例会の卓話です。

島村隆一君
三好孝彦君 

横浜ゴム株式会社
タイヤ国内第二営業部
三菱担当マネージャー
島村隆一

タイヤのお話
1)「タイヤの役割」
タイヤの役割は、ー崕鼎鮖戮┐襦
▲┘鵐献鵑硫鹽召鯱面に伝える、
ハンドルの動きに合わせて曲がる、
は面からのショックをやわらげる、の4点に集約される。

タイヤ1本はわずか葉書一枚分で路面に接している。華やかな自動車と比べると真っ黒で地味な存在だが、タイヤがなければ当たり前のことだが自動車は一歩も動けない。

2)「タイヤの造られ方」
 完全オートメーション化は出来ない謂わば手造りに近い部分もあり、熱いゴムのシートを人の手で幾重にも貼り合わせてつくる。

 自動車の重要部品であるが、自動車メーカーが自ら造ろうとしても造り得ない、永年蓄積された専門技術が必要な工業製品である。

 1本のタイヤを原料から完成品にまで造るには、数時間から半日近い時間を要する。タイヤの溝=トレッドパターンはタイヤの命。モデルチェンジのたびに各社技術陣の腕の見せどころとなっている。

3)「生産量」
 年間約2億本(全世界では大体13億本)、ゴム量で約133万トン(戦後半世紀でゴム量は100倍に増えた)。タイヤは1兆円産業。
トップはブリジストンで年間売り上げ2兆7千億円、ヨコハマ、ダンロップが5千億円前後、トーヨーゴムが約3千5百億円と続く。(タイヤを含む全売上高、連結ベース)。

4)「原材料構成比」
天然ゴム30%、石油から造られる合成ゴム20%、カーボンなどの補強剤25%、その他スチールワイヤーなど。ほとんど総てが輸入品ゆえ、昨今の原料高がタイヤの値上げを生み、物流業界にも深刻な影響を与えている。


5)「タイヤ豆知識」
*タイヤはなぜ黒いのか?
→タイヤに含まれるカーボンブラックのせい。カラフルなタイヤも造れないことはないが、コスト的に見合わない。

*世界最大のタイヤは?
→日本のブリジストンが2001年に開発し、現在世界各地の鉱山で活躍している直径4メートルを超える超大型タイヤ。値段は1本約350万円。

*空気の入っていないタイヤはあるのか?
→ある。フォークリフト用タイヤなどで、このように中に空気が入らずゴムだけで出来ているタイヤをノンパンク・タイヤと呼んでいる。

*航空機用のタイヤってどんなもの?
→着陸時の高熱に耐えられるように、熱に強い天然ゴム略100%で造られたタイヤで、トレッドパターンは滑走路での直進安定性のみを考えた縦溝だけのタイヤ。値段は1本約20万円。ただしジャンボ機には18本のタイヤあり。

6)「安全走行と経済性のために」
 適正な空気圧で乗ること。空気圧が低すぎたり高すぎたりすると、バーストやパンクの原因となり燃費も悪くなる。
 タイヤは残溝のある内に早目に交換。磨り減ったタイヤはブレーキの効きも悪く危険。
 異物を溝に挟んだまま走行しないこと。
 余り知られていないが、タイヤの側面は弱いので縁石などにむやみに接触させないこと。
 新品タイヤは路面に馴染むまで、慣らし走行が必要。

7)「タイヤと地球環境について」
 かつて一番厄介な産業廃棄物だった「廃タイヤ」は、今や紙パルプやセメント産業の重要な工場熱源として石油消費量削減の一翼を担っている。(廃タイヤ専焼ボイラーも開発されている)。

 更に、タイヤの原料を石油製品(合成ゴム)に頼らない、画期的な新製法の研究も進められている。

 黒くて丸い地味な存在だが、文字通り自動車のそして日本経済の足として日夜廻り続けているタイヤです。                       

日本製紙グル−プ本社
代表取締役会長
三好孝彦

 紙は文化のバロメ−タ−か

 いつの頃からか「紙は文化のバロメ−タ−」と言われてきました。紙の消費水準は、一国の文化水準を表すと言う意味であります。紙の原型が中国で発明され、わが国に伝えられてから和紙で1500年、洋紙で130年以上になります。

 この間、平安文学から現代のマスメデイアに至るまで、紙は多様な文化形成に寄与してきました。

 この中国で発明された紙の原型が、西ル−トでは7,8世紀頃にアラブ世界へ伝播し、あの絢爛たるイスラム文化を支えましたが、さらに13,4世紀頃にヨ−ロッパに伝わり、1450年のグーテンベルグの活版印刷術の発明と相まって、ヨーロッパ文化の発展に寄与し産業革命を経て、今日、ヨーロッパ文明が世界を席巻しています。

 こういう状況をみますと、まさに「紙は文化のバロメ−タ−」であるとの感を深くいたします。
 
 ところで今日は歴史の話ではなく、一国の文化水準と紙の消費水準との関係はどうかという現代の話であります。わが国の紙の消費量は昨年の統計では3146万トン、国民一人当たりにしますと246KGでした。

 わが国の文化水準を仮に一人当たりGDPで表わすとして、GDPと紙消費量との関係を過去30年間について調べてみますと、両者の間には強い関連性があります。

 又、世界の国別の一人当たりGDPと一人当たり紙消費量との関係をみますと、これもかなりの相関関係が認められます。このように時系列でみても、国別比較においても、紙の消費水準は文化水準に比例しており、やはり「紙は文化のバロメ−タ−」と言えるのではないかと思います。

 それでは、これからも所得水準の向上と紙の消費量が連動するでしょうか。

 先ず紙の供給サイドから考えて見ます。世界人口は現在65億人ですが2050年には90億人に達するだろうと言われています。今後、人口増と所得増が相まって紙需要が大幅に増加することが考えられます。問題は、将来、原料不足が紙の供給制約要因にならないかと言う懸念であります。結論から言いまして制約要因にはなりません。

 一つは古紙のリサイクルが急速に進展しているからです。世界的に紙の使用量が大幅に増えても、古紙の回収機構が整備されることにより、古紙回収率が上がり原料古紙も増加して原料不足を補ってくれます。

 もう一つは、主原料の原木については、ハイブリッドな植林木が増加することです。製紙各社は世界各地で植林を行っています。植林適地には限りがありますが、より成長が早くよりパルプ収率の高い樹種の開発に取り組んでおり、その成果が上がりつつあるからです。

 紙の需要サイドをみてみますと、インタ−ネットは新聞、雑誌など紙媒体の情報メデイアに大きな影響を与えています。昨今の電子メデイアの急激な進歩と普及を考えますと、紙媒体メデイアの将来性には懸念を感じざるを得ません。しかし、発展途上国においては依然として新聞、書籍出版など紙メデイアの使用が増加していますし、特に中国などを観察していますと、これから使用量が急増するようにも思えます。

 昨年、世界全体で紙の使用量は5.2%増加しましたが、当分の間はこの傾向が続き「紙は文化のバロメ−タ−」であり続けるものと期待しています。

 どうか、今後とも安心して良質で安価な紙を大量に使用して頂き、日本文化の一層の発展に寄与して頂く事を期待して、私の話を終わらせて頂きます。