卓話


こんなに変わった日本の姿〜最近、これが面白い

2011年7月13日(水)の卓話をクラブ会報委員が纏めたものです。

(株)メイ・コーポレーション 代表取締役
東京音楽大学 教授
作曲家 三枝成彰氏

 今日は,なるほどこれは面白いという話題をもってまいりました。9項目ほどの話題を通して,こんなに変わった日本の姿をご理解いただきたいと思います。
1.オペラ
 2005年のザルツブルクの音楽祭で上演された「椿姫」の美しさは必見の舞台です。
 アンナ・ネトレプコというロシア人のソプラノ歌手は,現代オペラ歌手史上最高の美女ではないかと思います。舞台は白く,お客は全員紺のスーツ,真ん中には真紅の衣装をまとった椿姫。椿姫が高級娼婦であるという前提での洗練された演出です。

 対するアルフレード役,テノールのローランド・ビリャソンはメキシコ出身です。彼はこのザルツブルクの「椿姫」の演技で,国際的なスターとなりました。ネトレプコとは,映画「ラ・ボエーム」でも共演して,「ドリーム・カップル」と呼ばれています。そんな二人の魅力を最大限に引き出した,ヴィリー・デッカーのすばらしい演出を,是非鑑賞してほしいと思います。

 2009年,スペイン・バレンシアオペラで上演された,リヒャルト・ワーグナーの最高傑作「ニーベルングの指輪」は,斬新な演出で世界のオペラ愛好家の話題となりました。

 オペラは,「今まで見たこともないものをいかに見せるか」が製作陣の最も苦労するところです。最後の場面「神々の黄昏」は,まさに,今まで見たこともないものを見せてくれた舞台であったと,驚かされ感動したオペラでした。

◆「ヴェルディ/椿姫」(ユニバーサル・ミュージック)
◆「ニーベルングの指輪 オペラDVDスペシャルコレクション)」(永竹由幸監修,世界文化社)

2.マンガの力と「ボーイズラブ」
 最近当たったテレビドラマに「JIN」という作品があります。実は,これは村上もとか氏が描いたマンガが原作なのです。

 「ボーイズラブ」という言葉があります。男性どうしの恋愛を描いた小説やマンガ,アニメやゲームを指す言葉です。読者は,少女ではなく大人の女性です。

 NHKでも取り上げられましたが,出版社は年々増えているそうです。都心の有名書店で「ボーイズラブ」と示された書棚がずらりと並んでいる様子が映し出されていました。映像では,さる女性が話していました。「あのね,結ばれないじゃない…。男女みたいに簡単に。だから,すごく切なくて…。それでいて,じんとくる…。」

 ボーイズラブというのは,中学生・高校生たちが読んで流行らせて,ここまで成長した分野ですが,もうひとつ“乙女系”というのがあります。女性同士のラブです。「薔薇」に対する「百合」ともいいます。

3.官能小説「雪国」から“乙女系”まで
 日本という国は,もともと官能的なものに敏感な国でした。「雪国」という小説がたいへん官能的な小説だということに最近気づきました。私は,川端康成という作家が官能小説のはじまりだと思っています。

 草凪優という人の作品もすばらしいと思っています。
◆「どうしようもない恋の唄」(草凪優著,竹書房ラブロマンス文庫)

4.風俗情報雑誌
 日本という国の凄さを嘆いているつもりもないのですが,コンビニで売春情報が載っている雑誌が売られている国は,他にありません。名古屋から東京に進出してきたのは最近です。週刊誌ですから毎週が最新情報です。

5.音楽家の生涯
 35歳で急逝した大作曲家モーツァルトの死因については,死後200年経った今日まで,さまざまな噂がありましたが,どれも決め手になるものがありませんでした。

 ジョルジョ・タボガが,モーツァルトの死因について,謎解きをして発表しました。多分,この本に書かれたことは正しいと思います。その意味で画期的です。

 ホーフデーメル夫人という美しい人妻にピアノを教えていたモーツァルトが,その夫人と関係ができたことは,昔からよくいわれていました。ジョルジョ・タボガは,ホーフデーメル夫人の夫がモーツァルトを撲殺したことを丹念に調べて,それが時の皇帝ヨーゼフ2世の指示で隠されたことを解き明かしました。

 ベートーベンはホーフデーメル夫人の前では絶対にピアノを弾かなったという記述が今でも残っています。相当な裏付けの元に書かれた本ですので,夏休みにでもお読みになると新しいモーツァルト像が浮かんでくるかもしれません。

◆「撲殺されたモーツァルト 1791年の死の真相」(ジョルジョ・タボガ著,谷口伊兵衛訳,而立書房)

6.経済論
 ヒトラーは,2年間で破滅的なドイツ経済を立て直しました。ケインズもその功績をたいへんに称えたそうです。

 オリンピックの聖火リレーはナチス・ドイツが始めたことで,それ以前にはありませんでした。ドイツでは,テレビ中継が1935年に始まっています。アウト・バーンは失業対策の為に造られました。工事費の45%は必ず給料に支払わねばならない,工事人の採用は子持ちの人や貧しい人を優先し,独身者は採用するなという法律があったということが述べられています。

◆「ヒトラーの経済政策」・「ヒトラーとケインズ」(ともに武田知弘著,祥伝社新書)

7.男性ホルモン
 私も「男性ホルモン」を打っています。打つと元気が出ます。男性ホルモンは闘争本能をかき立てるホルモンなのです。

 老人性ノイローゼは男性ホルモンの欠如から起こるといわれています。自分が最近どうも元気がないなと思われたら,是非,医療機関に相談なさってください。

 私は,検査の結果,男性ホルモンが不足しているということが分かりましたので,早速打ちました。途端にやる気が起きます。私は,実はまだ,6曲のオペラをどうしても書きたいのです。私は,やる気を持続させなければなりません。男性ホルモンを打つとやる気が起こります。

 人間というのは,このようなものにコントロールされているのが不思議です。元気になるという意味で,男性ホルモンをお打ちになることをお進めします。

 まず,血液検査をして何が不足しているかを調べることが必要です。私がお世話になっているのは,ベルギーに留学されて,予防医学の領域での研鑽を積まれた先生です。

◆「辻クリニック」 院長:辻直樹医師

8.長寿遺伝子
 最近,放送されたNHKのスペシャル番組に「あなたの寿命は延ばせる〜発見!長寿遺伝子〜」というのがありました。

 「サーチュイン遺伝子」は人間を含むほとんどの動物が持っている遺伝子で,この遺伝子をうまく働かせれば,100近くの老化の要因を抑制することができるというのです。

 結果として,寿命を20〜30年延ばせるというのです。その遺伝子の能力を引き出すには「レスベラトロール」というポリフェノールの一種が関わっているらしいのです。

 薬品としてのレスベラトロールの開発も盛んに行われ,認知症,糖尿病,高血圧,動脈硬化など,老化が原因の病気に対する予防薬,治療薬として期待されているそうです。

9.書店と百貨店
 お暇がございましたら,渋谷東急百貨店本店7階の「MARUZEN&ジュンク堂」においでください。ワンフロアー全部,本です。これは楽しいです。座る椅子があります。座りながら本を買うという,図書館が本屋になったような店です。同じことが新宿の三越アルコットの6階から8階の3フロアーでも見られます。

 こういう本屋ができたことは大変嬉しいことです。新しい発見があります。
 もう一つ,元気のよい「伊勢丹」があります。伊勢丹メンズ館の2階には,普通のデパートで売っていないような過激な製品が売られています。これが伊勢丹を元気にしている理由です。その訳は“ゲイ・タウン”が近くにあるからです。

 今から10何年前に,伊勢丹で水着を買ったことがあります。とても着られないような刺激的な水着を売っていました。当時からゲイに対応したデパートだったのです。今でもファッショナブルで面白いものがあります。何かの折にご覧になって,ゲイ文化を理解してください。