卓話


会長挨拶

2020年12月23日(水)

会長 濱口道雄君


 7月より会長を仰せつかり半年が経ち、お陰様でこのように年末のご挨拶をするまでに至りましたのは偏に内海副会長、浅川幹事を始め理事、役員の皆さんの多大なご尽力のお陰であり、また会員の皆様の温かいご理解やご協力のお陰であると深く感謝申し上げます。

 ご承知のとおり、2月ごろから新型コロナウイルス感染症の蔓延が始まり、3月から当クラブの例会も休会となり、全国的にロータリー活動が休止状態になりました。幸いGWのあとから新規感染者の数も減少し始め二桁台になりましたので、当時の竹中会長、林幹事とも協議を重ねた結果、7月1日の新年度から例会を再開いたしました。

 例会休会中は帝国ホテル様には不本意ながらご迷惑をおかけしましたが、例会場の予約キャンセルについて一切のご請求をいただいておりません。これはホテル業界未曾有の困難のなかにあって格別のご厚意と深謝申し上げる次第でございます。

 例会の再開と同様に心配されたのは、目前に迫っていた東京ロータリークラブ百周年の記念例会兼祝賀会開催の件でありました。海外を含めて300名近くの内外の招待客の皆さんに招待状を送ろうとしたその矢先に、考えもしなかったパンデミックであります。ご承知のとおり規模を大幅に縮小して開催することに変更し、ゲストは地区ガバナーご夫妻を招待してお招き出来なかった全ての招待客を代表していただくこととし、寄付目録贈呈のために米山記念館の理事長をお招きするのみとして、あとは会員とその配偶者のみという極めて内輪の会となりました。

 それでも当日は人間国宝中村吉右衛門丈にご出演を頂き、重要無形文化財の常岡会員を始めとする常磐津の皆さんの語りで目出度い三番叟を踊って頂き、東京ロータリーらしい格調の高い余興を鑑賞していただくことができました。そのあとは𠮷兆さんや帝国ホテルさん心尽くしの特別料理を堪能していただき、出席した会員や配偶者の皆様には十分にお楽しみいただけたかと存じます。

 しかしながら、百周年行事の全てが終わったわけではありません。未だ東京ロータリークラブ百年史の発行という大物が残っていますし、姉妹クラブのアードモアロータリークラブから寄贈されるハナミズキ100本の植樹は明年に延期されたままであり、百周年実行委員会には来年もまだ頑張っていただかなければなりません。

 当クラブの百周年記念例会兼祝賀会は兎にも角にも開催することができましたが、ロータリーの活動そのものが全般的にコロナの影響を受けており、ハワイのホノルルで行われる予定でありましたロータリー国際大会の開催が中止されたのを始めとして、日台ロータリー親善会議も中止になるなど例年のような活動がまるで出来ていません。また中央分区のIMが中止となり、当クラブにおいてはクリスマス家族会も開催を断念し、8年間続けております誕生日会も開催できておりません。

 このようにロータリー活動がままならない中で懸念されますのは会員数の減少であります。12月末現在の会員数予想は339名、年度初めに比較してお陰様で6名の増加でありますが、東京ロータリークラブが日本で最初のロータリークラブとして今後も日本のロータリークラブを代表するクラブであり続けるためには、やはりある程度の規模を維持することが必要であると思います。困難なときではありますが、ぜひ会員の皆様のご協力を得て会員数の維持、増強を図りたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて目下コロナによるパンデミックは第3波の真っ只中で、大変憂慮される状況であります。そういうなかで当クラブの例会もハイブリッドにすることを目下鋭意検討中であります。そのためには例会場にカメラを設置して、画像と音声をインターネットで流す必要があり、それ相応の費用が新たに発生しますが、感染防止のために外出を控えておられる会員には大変有効な措置ではないかと考えておるところでございます。会員の皆様のご理解をいただければ幸いでございます。

 本年はコロナ対応で明け暮れているうちに一年が経ってしまったような感じがいたします。明年も残念ながらコロナとの共生が課題となる年であろうと思います。当クラブの運営につきましては、今後も試行錯誤をしながら慎重に進めて行くしか道はありません。例会を含め運営につきましてご意見、ご提案がある場合はいつでも私以下本年度の執行部にお申し出くださいますようお願い申し上げる次第でございます。

 以上ご報告かたがた年末のご挨拶とさせていただきます。どうぞ良いお年をお迎え ください。


著作権法を巡る話

2020年12月23日(水)

東京六本木法律特許事務所
パートナー 弁護士 早稲田祐美子君


 著作権制度はルネッサンスの三大発明(火薬、羅針盤、活版印刷)のうちの一つといわれる、グーテンベルクの活版印刷(1450年頃)の後に始まりました。最初は、国王等統治者から出版者に恩恵的に出版の特許が与えられました。その後は、印刷出版業組合(ギルド)による統制が行われてきました。

 世界最古の著作権法は、イギリスのアン女王時代の1710年に制定されたアン・アクトといわれています。「ガリバー旅行記」で有名なジョナサン・スウィフトも海賊版の被害に悩まされていて、このアン・アクトの起草に関わっていました。

 日本では、明治維新後の明治20年(1887年)に版権条例が成立し、その後、旧著作権法が明治32年(1899年)に制定されました。

 福沢諭吉の「西洋事情」は幕末から明治初期にかけて出版され、合計20万部以上という大ベストセラーになりましたが、偽版により多くの損害を受けたため、福沢諭吉は版権を守るための新聞広告を出したそうです。

 現在の著作権法は昭和45年(1970年)に成立しましたが、新しい著作物の利用技術やサービスの発生に伴い、何回となく改正されています。著作権法の目的は、著作者等の権利の保護と公正な利用を図ることです。

 昭和45年当時は、まだまだ著作権が身近な存在ではなかったようです。たとえば、キャラクターに関する先駆的な判決である昭和51年(1976年)の「サザエさんバス事件」では、あるバス会社が、貸切観光バスの車体の両脇に漫画「サザエさん」のサザエ、カツオ、ワカメの顔の部分を、著作者である長谷川町子さんの許諾を受けずに描いて運行していました。さすがに、著作権知識が広まった現在では、間違いなくコンプライアンス違反とわかるでしょうから、このようなことはないでしょう。

 なお、著作権法による保護が与えられるのは、「思想又は感情を創作的に表現したもの」ですので、人間が作ったものでなければならないと考えられています。「サルの自撮り写真」が話題になりましたが、これは人間以外の動物によるものですから、著作権法で保護されないと考えられています。また、将来、AIが完全に自動で音楽や絵画、小説を作るようになったら、それも著作権法では保護されないと考えられています。もっとも、そのような時代になると、人間が作った作品とAIが作った作品の区別ができなくなり、著作権法上混乱が生じるのではないか、ともいわれています。

 デジタル・ネットワーク時代の到来により著作権法も大きな影響を受けました。インターネットの普及により世界中にデジタル化された情報が流通するようになりましたが、この情報は、文章や写真や音楽や映画といった著作物であることが多いため、情報の利用・流通と著作権者の権利とは緊張関係になることもありました。

 たとえば、インターネット検索結果として表示される文章の一部や小さな写真、あるいは、AIに膨大なデータを読み込ませて学習データを作る場合等です。これらについては、著作権法を改正して著作権侵害にならないことが明確化されました。

 また、コンテンツの違法コピーがインターネット上で拡散しました。近年では、漫画がスキャンされてインターネットに流通することによって、数百億円から数千億円の損害が推定されており、出版業界に大打撃を与えています。このようなインターネット上の違法コンテンツは、海外にサーバーがある場合が多く、かつ、匿名で行われるため、その撲滅が難しいのですが、著作権法の改正、民事上の差止、刑事罰の適用、広告配信の停止、著作権教育の普及等により、官民をあげて違法コンテンツの流通を阻止しようとしています。

 著作権制度がグーテンベルクの活版印刷の発明から始まり、インターネット時代の到来により大きな影響を受けたように、今後も、新しい技術やサービスの出現により、著作権法を巡る状況は変わっていくでしょう。