卓話


製薬業界 〜健康寿命サポートに向けての改革〜

2018年12月12日(水)

ベーリンガーインゲルハイムジャパン(株)
代表取締役社長 トーステン・ポエール君


 みなさま、こんにちは。
 トーステン・ポールでございます。私は2年ほど前に、この東京ロータリークラブに入会し光栄に感じております。その際に大変お世話になった江頭様ならびにケタラー様にこの場を借りて御礼を申し上げます。またこのクラブの会員の皆様にも、色々な話をしていただいており、重ねて御礼申し上げます。そしてこの東京ロータリークラブにおける活動通して刺激を得ております。

 さて今日のこの場所でお話をさせて頂くことを光栄に思っております。
 今日は「製薬業界〜健康寿命サポートに向けての改革〜」と題して、お話をさせて頂きます。

 私はこのヘルスケア業界に30年以上働いており、そのうち26年をドイツの家族経営をおこなっているベーリンガーインゲルハイムで働いております。

 私は患者様の健康のために必要な治療を提供することができるこの業界で働くことに誇りをもっております。

 それでは寿命について考えたいと思います。
 ある調査によると少し前までは寿命は、世界レベルで約30年とされていました。  これは、高い幼児死亡率と事故、伝染病や戦争、特に現代の医学が導入される以前は若い大人たちが寿命を下げていました。

 しかし19世紀前半から先進国において寿命が伸びてきました。ただ他の世界ではあまり変化はありませんでした。これが世界における健康状態の不均等がもたらせる結果となりました。

 裕福な国ではいい健康がもたらせ、健康状態のよくない国はそのまま貧しい状況が続きました。ここ過去の数十年の間、この世界的な不均等な状況が減少し始めました。そして現在、最近まで健康状態がよくなかった国々が改善し追いつき始めています。

 1900年以来、世界における寿命は倍増し、現在70歳に近づいています。
それは様々な要因の組み合わせにより、この改善に貢献しています。現代の医学や薬もその1つであり、幼児死亡率の改善、教育、健康への取り組み、衛生、栄養、運動、生活レベル、ライフスタイルや犯罪率なども関係しています。

 2018年に公表された最新のWHOのデータによりますと、日本の男性は81.1歳で女性が87.1歳が平均寿命とされております。全体で84.2歳と世界でもNo.1です。性別によりこれだけの差があると分析できるのですが、なぜ女性の方が男性より長生きなのでしょうか。女性は通常男性より長生きをします。これは現在、産業化が進む前からも同様です。

 理由として挙げられるのは、一般的に女性は体が小さいために心臓へ負担も少なく、テストステロンが免疫抑制薬として働くために強い免疫力を持ち合わせ、かつ身体に危険や不健康な活動に従事することが少ないことにあります。

 現在では様々な人々が110歳から114歳まで生きられるともいわれ、現在記録に残っている中では122歳が最長といわれています。

 ではこれからの展開はどうなるのでしょうか?人類の寿命はもっと伸びるのでしょうか?米国国勢調査局の予測によりますと米国では、今後2050年までは寿命が伸び90歳前半まで到達するとのことです。しかしながら最近の肥満、糖尿病、高血圧や心臓病に代表される生活習慣病が増えており、今後の寿命が極端に下がるか逆に新興国における寿命が上がることも予想されます。

 最近の米国におけるトレンドをみていると2年間継続して寿命が落ちています。2014年から2016年の米国における寿命は0.3年落ちました。

 寿命上昇が薬の影響かどうかを区別することは容易ではありません。実際にいくつかの研究結果も発表されています。例えば、心臓病における死亡率は、1950年から1995年の間に半分以上になっており、これにより寿命は3.5年伸びました。

 薬は、多くの様々な疾患領域において患者様の状況を改善するために、進展してきました。

 例えば、HIV/AIDSについては、この20年間における治療法の変化は、致命的疾患からほとんど慢性の疾患にまで対応ができるようになりました。これにより死亡率もかなり下がりました。欧州では、4000から1000または75%の改善ができるようになりました。
 がん領域については、あるリサーチによるとガン生存率が83%というデータもあり、これら新しい治療法によるものとされています。

 全てのがんにおける5年生存率は1975年から2011年で20%改善がされています。また同時期において前立腺がんにおける5年生存率は、67%から95%まで改善されています。現在国内の5人のうち3人のがん患者が検査後、5年以上生存しています。

 これはらは線形の段階的な結果です。簡単に大きなジャンプとはいきません。これががんとの闘いで継続的に少しずつ打ち勝っていきます。このような継続した段階的な刷新が時間とともに積みあがっていきます。

 それではここで、C型肝炎についてもお話をしましょう。
 かつては、死まで及ぼす疾患でしたが、現在では多くの患者様がすべての治療が可能になっています。新しい刷新的な治療法がでてきたことにより、改善されてきています。現在では95%の患者様が2−3か月の治療で治るほどです。

 このように多くの疾患領域において、様々な改善および発展がされています。ただまだやることはたくさんあります。

 製薬業界は、患者様をはじめ様々な方々のアンメットニーズにお応えするためのソリューション提供をするための努力を継続して行っております。そして世界の皆様のアンメットニーズのために業界としてのパイプラインを提供しております。

 製薬業界における全世界の研究開発への投資を他の業界に比較すると多くの部分が新しいかつ創造的な原薬に向けられています。製薬業界では収益の多くの部分を研究開発へ投資しており、全ての業種と比較して同様なことが言えます。平均で製薬業界では収益の14.4%を当てているといわれています。ちなみに弊社では20%を当てています。これを他の業種に比較すると、ソフトウェア業界では10.4%、化学業界では2.6%、自動車業界では4.3%、全業種平均でも3.2%ほどです。

 これは、1つ1つの新薬の提供に伴い5000種類以上の原薬を評価しているためです。
 そして1つの創造的かつ画期的な薬の開発に20億米ドル以上がかかるといわれています。そして発見から販売までに10年から20年の研究開発の時間がかかります。

 そして原薬が効果的と証明されてから、それより通常3つのフェーズに分けて開発を進めていきます。最初に健康なボランティアの方々、そして効果をみるために実際に患者様、それからさらに患者様の人数を増やして安全性を確立してまいります。

 そして販売開始後も実際の現場のモニタリングを継続します。私共はそれらのデータを集め、リスクがないように分析を継続して行います。日本では、我々は厳しい警戒システムを導入し、患者様の安全に焦点を当てております。

 日本は、多くの素晴らしい科学者と強いリサーチを持っている国です。過去10年間に4つのノーベル賞を医薬部門のリサーチより輩出しております。

 基礎科学から新しい治療法を提供するには多くの努力が必要です。そこで日本の産業はこの強みを利用し、薬の発見を行う世界的リーダーになることができます。日本は、数少ない科学的能力と商業化に薬剤開発の全プロセスを行うことができる優秀な監査機関を有しています。

 日本では、世界のたくさんの国々と同様に人口の高齢化が進んでおり、様々な慢性疾患と向き合っています。高齢化に対する治療はありませんので、我々はベストな結果のためになんとかする必要があります。最近では、実際のデータとビックデータを合わせてより良い結果のために対応をしています。

 またソーシャルメディアやご理解あるつながっている患者様を中心に、患者様と医療従事者の間に新しい可能性が出てきました。より良い統合された看護や介護は、今後重要になっていきます。より良い情報の共有や処置調整は、より効果的かつより効率的な治療を実施することができます。技術セクターの多くの会社は、これらの機会を追求するためにヘルスケア市場への参入を始めてきました。

 最後に、寿命はこの一世紀でかなり改善されてきました。ただまだ改善に予知も多くあります。製薬業界においては、我々は情熱をもって患者様の健康を増進し続けることに取り組むことで貢献してまいります。