卓話


ガバナー公式訪問

2005年7月20日(水)の例会卓話です。

RI第2580地区ガバナー
古宮誠一氏 東京東RC

第4083回例会
   
今年度のRI会長であるカール・ヴィルヘルム・ステンハマーさんは,「昨年は,RIは百年を祝った。今年は次の百年の第1ページを記録する年である」と言われ,本年度のRIテーマとして「超我の奉仕(Service Above Self)」を掲げられました。

このテーマはRIの第一標語になっている,どなたもご存じの言葉ですが,新しい節目の年に,基本に戻って考えていこうというお考えだろうと拝察しております。

 ステンハマー会長は,RIは単年度制といわれてきたが,ものによっては継続ということを考える必要があるとして,二つの強調事項を述べられました。一つは,識字率の向上。もう一つは,水の保全であります。

これらのことは,前年度,前々年度の会長が取り上げた問題であり,それを継承されたということでございます。

 識字率の問題は,日本ではあまり論じられませんが,外国から来ている人々への日本語教育という意味で,識字率の問題に取り組むことも出てくると思います。水の保全については,世界の60億以上の人々の中で,12億の人がきれいな水を飲むことができないでいます。多くの子どもたちが亡くなっています。

これらの問題は,ロータリーだけでは力に限りがあるから,ロータリーだけが対応するのではなく,ユネスコや,その他の団体などの協力も得たいと,ステンハマー会長は考えておられます。

 会長は,会員増強では1クラブ純増1名以上の達成,一般の方々へのロータリーの公共性についての広報活動の活発化や,女性会員の増員についての各クラブの積極的検討などにも触れておられます。私はこの2月にアナハイムでガバナーエレクトの教育を受けてきましたが,530人のエレクトの中に60人ほどの女性が含まれておりました。

 会長は特に青少年問題にも造詣の深い方で,17〜18歳の若人が世界各国を行き交うようになれば,それが世界平和につながると,青少年交換に強い意欲を示しておられました。 会長からのお話ではございませんけれども,ロータリー財団について,1人100ドルの寄付を期待しているという話もございました。

さて,1580地区の目標については,RIの「超我の奉仕」という基本的なテーマがあるわけですから,それを尊重し,私自身は地区テーマを掲げませんが,重要目標として,次の三つを掲げたいと思います。

1 魅力あるクラブづくりをしていこう。
 RCは,やはり各クラブが元です。各クラブが親睦を重んじ楽しいクラブをつくろう。2 青少年の育成を重視しよう。
 青少年交換をさかんにする。インターアクト,ローターアクト,財団の学生さん,米山奨学生などの若い人たちを育てよう。
3 ロータリーを学ぼう。
 情報委員会,クラブフォーラムを通して,ロータリーの基本を学んでいこう。
今年度の「超我の奉仕」のテーマについてどう解釈するかとか,職業奉仕と職業倫理の問題,四つのテスト,セントルイス宣言などについて,ロータリアンとして基本的なことを学んでいこうじゃないか。

以上三つの重点目標を掲げましたが,例会では,毎回,会長さん,または元会長さん,ベテランの会員の方々が順番に,4分か5分の短い時間でロータリー情報といったことを皆さんにお伝えするようなことを恒例化すれば,皆さんの関心も深まり勉強にもなるということでございますが,楽しいRCということと合わせて学んでいく姿勢も必要ではなかろうかと思っているわけでございます。

そこで,今年度のテーマ「超我の奉仕」について考えてみたいと思います。

先程も申しましたが,「超我の奉仕」というのはロータリーの第一標語そのものです。その解釈は,ロータリアンそれぞれの考えやお説があると思いますが,いろいろな書物や先輩のお話をうかがって私なりにまとめてみますと,“Service Above Self”と併せて「最もよく奉仕するものは,最も多く報われる」という第二標語,また綱領にある「奉仕の理想」の「奉仕」という言葉について考えていく必要があると思っております。

1905年にロータリーが誕生し,1906年にできた最初の綱領では,サービスという内容が全くなく,事業所の利益とか親睦とか社交クラブというような性格が強かったと聞いております。1908年に,シカゴクラブに入会したアーサー・フレデリック・シェルトンという出版社のセールスマンが,荒れ果てた商道徳のなかにも,他人のために尽くして,他人のことを考えて営業する人が利益を上げ成功しているという事例をたくさん見ます。そこでシェルトン氏がつくった標語が「最もよく奉仕するものは,最も多く報われる」と訳された“He profits most who serve best”でありました。

 ここでの profits は実質的な利益という意味だったといわれております。それに対して,コリンズという弁護士さんが“Serves not self”「無私の奉仕」を提唱されました。not self と,自己を否定してサービスするというのは,少しいき過ぎではないかという議論が出て,最終的には今の“Service Above Self”になったということでございます。

ポール・ハリス氏は,ロータリアンエイジという本の中で「シェルトン氏の言っているprofits という言葉の意味は精神的な面の報酬という意味である」と書いていますが,シェルトン氏の本当の気持ちは,精神的なものもあるけれど,やはり金銭的なprofits を考えたのだと思います。彼自身もセールスマンですし,ロータリアンが実業人の集まりであるということから分かりやすい表現を使ったのだろうと考えるわけでございます。

その後,1920年,日本の東京ロータリークラブが誕生して,米山さんが外国の考えを,いろいろ導入されました。“Service Above Self”についても,Serviceイコール奉仕ではないとの考えをもたれまして,考えたうえ,「サービス第一,自己第二」と翻訳されたということでございます。

「奉仕」という言葉はなかなか難しい言葉だと思いますけれども,西洋の方々のキリスト教を背景としたサービスと日本人の「サービス」には若干の解釈の違いがあるかなと思います。あるお寺さんは“Service Above Self”は「慈悲の心」だとおっしゃいました。それもひとつの考え方だと思っているわけでございます。

「超我の奉仕」というテーマはロータリーの基本標語であり,また今年のRIの基本テーマでございますので,どうか皆さまもそれぞれお考えいただき,これについての関心をますます深めてほしいと思っております。

本日のクラブ協議会のなかで,セントルイス宣言についてお話がございました。セントルイス宣言はロータリーの手続要覧の中で,社会奉仕の部にありまして,有名な決議23−34といわれている決議でございます。23−34というのは,1923年に,34番目に決議されたという意味でございます。

それから50年経った1974年,1959−60年にRIの会長をされたハロルド・T トーマスという人が,『ロータリーのモザイク』という本を書いておられます。

 この本は『ロータリーは青年を脱した。決議23−34はロータリーの哲学,方針,およびプログラムの性格を決定した。』という表題で書かれており,中には五つのパラグラムがあるのですが,いちばん重要なのは,ロータリーの基本を謳っている部分でございます。

そこには「ロータリーは基本的にはひとつの人生哲学であり,それは利己的な欲求と義務およびそれに伴う他人のために奉仕したいという感情との間に常に存在する矛盾を和らげようとするものである。この哲学は超我の奉仕の哲学であり,最もよく奉仕するものは最も多く報いられるという実践倫理(原理)に基づくものである」と述べておられます。

この決議は手続要覧の社会奉仕についての項目に出ておりますけれど,これこそはロータリーそのものの性格を表現した決議ではなかろうかといわれております。

国際大会でこの決議がなされた1923年は,ちょうど大正12年です。その9月1日に関東大震災が起こります。その時に,世界のRIが東京クラブに数千ドルの救援金を贈ってきます。創立してわずか3年めの東京クラブに対して外国のロータリアンは挙って義捐金を贈ってくれました。

ロータリーは,いろんな意味で,まず他人を第一に考えるという考え方が,震災の時のロータリアンの行動に現れ,多額の義捐金になったのだと思います。

「超我の奉仕」という本年度のRIテーマに関連して,学んだところをお話しいたしました。今日はありがとうございました。