卓話


イニシエイションスピーチ

2012年10月31日(水)の例会の卓話です。

籾井勝人君
アーサー・ミッチェル君

ICTの歴史

日本ユニシス蝓
相談役 籾井 勝人 君

 本日はICTの歴史と、これからやって来るICT世界を覗いて頂きたいと思います。

今日のICTの源はコンピュータの代表、メインフレームの誕生です。メインフレームとは、企業の基幹業務処理など大規模なシステムに利用され、高度な信頼性と高可用性を実現する大型コンピュータを指します。

 その歴史は60年以上前に遡ること、1951年にユニシスの前身であるユニバックにより開発された世界初の商用コンピュータ「UNIVAC機廚魑源として発展したものであり、メインフレームが商用コンピュータの歴史そのものと言えます。
 
 ちなみにこの「UNIVAC1」で一年かかった計算が今のPCでは瞬時に計算できます。ほんの60年余り前に誕生したコンピューターが今日、世の中にこれなくしては世の中が成り立たないほどに普及した早さには、1903年にライト兄弟が初飛行をおこなった飛行機の発達のスピードと比べてもただ驚くばかりです。

 メインフレーム時代において、後発であったIBMが「System/360」の成功により大きく成長しました。当時、IBMの他にUNISYSの前身のBurroughs、UNIVAC、そしてCDC、GE、Honeywell、NCR、RCAと7社のメインフレーマーが存在していました。 しかし幾多の再編を経て今日世界のメインフレーマーとして、現在も存続しているのが日本の3社(日立、富士通、NEC)とIBMとUNISYSとBullの3社のみです。

 1990年代初頭に起きた機能分散、ソフトウェアの共通化などの技術革新、メーンフレームからオープンへというダウンサイジングへのパラダイムシフトが起こりました。
それまでのIT産業においては、各メーカーが独自仕様の下に全てのコンポーネントを提供するのが常識で、H/Wに基本的なS/Wは組み込まれており、保守やサポートサービスまで全てメーカーが責任を持ち製品価格に含まれていた。 これがメインフレーム料金体系の常識でした。

 そうした中で、標準化や規格の整備などオープン化の取組により、H/W、S/W、サービスのアンバンドル化が進み、集中処理のメインフレームからPCなどを利用した分散コンピューティングがよいとする見方が主流になっていきました。そして低価格性が顧客の支持を集め、徐々に取り入れられ始め、このパラダイムシフトが、気が付くとメーンフレームでは競合他社が数社しかなかったのに、突如として数万社のIT企業がひしめくようになってしまったのです。

 このオープン化の中で主役として登場したのが、MicrosoftのWindowsです。この台頭により、オープンシステムの主役がWindowsに移り、PCへとダウンサイジングが更に進むこととなりました。

 現在、主力ICTベンダーはHP、IBM、Dellの3強に加え、ネットワーク機器大手のCiscoやS/W大手のMicrosoft、Oracleでありますが、インターネットやクラウド技術の進化に伴って、「所有から利用へ」、「占有から共有へ」と大きくその利用形態が変革しようとしています。一旦、分散したものを機能的に集約して、専門の業者(例えば日本ユニシスなど)に任せて、自分は固定費(コンピューター経費、人件費等)を節約しようとするものです。

 共有と言うと自分の手の内が知られると思われるかも知れませんが、今はセキュリティー技術が発達し、委託された業者すら中はのぞけませんので心配はいりません。

 これに伴って、ICT業界の主役もコンピュータベンダーからインターネット・サービスプロバイダーにシフトしている。その代表格がインターネット検索のGoogleであり、iPhone/iPadのAppleであります。Microsoftも挽回を期して主役の座を取り戻そうと戦っています。

 この3社は「PC〜スマートホン〜タブレット」を自社の環境ですべて提供する新たな「統一プラットフォーム」戦争を繰り広げている。しかしこのような中にまた新たな存在として登場、次の主役を狙っているのがSNSの代表Facebookです。でももうFacebookの陰から次の主役が覗いています。

 次なる主役のキーワードは超高速無線、クラウド、進化するスマートフォンやタブレット、そしてスマートテレビ、VIDEO、さて誰が次の主役として登壇してくるのでしょうか? 

 この世界は今後どのような発展を遂げていくのかまたどんなスピードで変わっていくのか目を見張るばかりであります。われわれ世代はこのままこのような世の中の変化をじっと指をくわえてみていると間違いなく世の動きから後れてしまいます。

 わたしはせめて皆さんが、意に反してでもスマートフォンを使われることをおすすめします。これによって今後いかなる変化が起こってもわれわれは対応することができます。セキュリテイも整っておりますのでそれにしたがえば、変なウイルスに感染することもありません。みなさんチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

岐路に立つ日米関係

ホワイト&ケース外国法事務弁護士事務所
シニア・カウンセラー 
アーサーM.ミッチェル 君

 まず、日本の経済界を先導する方々が多数加入されている東京ロータリークラブに入会させて頂き、大変光栄に存じます。また、このような貴重な機会を与えて下さった推薦者の茂木さんに感謝しております。

 本日は、新しい岐路に立つ日米関係において、第二次世界大戦後のいわゆる「戦後の時代」は終わり、新しいパラダイムが必要であることについて、お話しさせて頂きたいと思います。

 本題に入る前に、私と日本との関係に触れたいと思います。私は米国のロスアンジェルスに生まれました。初めて日本を訪れたのは、1961年、14歳の時です。その後、国際基督教大学(ICU)、さらにハーバード・ロースクール卒業後、京都大学に留学しました。私は、50年以上もの間、日本のオブザーバーであり、ファンでもあります。50年という期間は、明治維新から現在までの年数のほぼ3分の1の期間にあたります。

 歴史を振り返ってみますと、米国にとっての日本の重要性は1850年代に遡ります。米国はカリフォルニアが開拓され太平洋国家となって以来中国に魅了され、米国のクジラ商は中国に鯨油をたくさん売り「中国の全てのランプを灯す!」と希望に胸を膨らませていました。中国への航路には日本列島があったことから、日本は極東地域における重要な交易所となりました。当時から現在に至るまで、米国がアジアとの関係を考えたとき日中両国は極めて重要な国です。

 今日、日本と米国は、重要な基本的価値観を共有しています。教育の発展、技術開発、勤勉な労働によりもたらされる社会的発展、市場経済、自由貿易、民主主義です。アジア地域において日本ほど米国と似た考えを持つ国はないでしょう。

 人は誰でも生活水準を維持し、より良くしたいと考えるものです。私が1960年代後半に日本に留学していた当時、誰もが「三種の神器」−つまり、自家用自動車、エアコン、カラーテレビ−を持ちたいと言っていました。物質的な豊かさを実現した今、より良い医療、老後の保障、目的意識が求められています。

 日本は、これらの課題に対処しないことには、自国民の満足を得られず、米国にとっての良きパートナーになれないでしょう。そして、米国も、自国の問題に対処せず自国民の満足を得られないことには、日本にとっての良きパートナーになれないのです。

 昨年の東日本大震災の惨事を契機として、日本は危機管理政策の再構築を迫られました。再生可能エネルギーが日本のエネルギー政策にとって重要性を増すことは明らかです。日本企業の競争力を高め、日本経済の空洞化を避けるためには、エネルギー問題の解決を避けて通れません。

 日本を含む全ての先進国では、自国の収支を立て直す必要があります。増加する公的債務、高齢化社会を考えると、歳出の削減は必須でしょう。同時に、歳入を増加させる新しい方法を見出すことが必要です。最近の消費税増税の議論は、小手先の対応でしかありません。問題を抜本的に解決するには、公平な課税方法を見出さなければなりません。

 最後に、日本がTPPに加盟するかの問題です。日本がTPPに加盟すれば、TPPは世界貿易の40%を占めることになります。日本がTPPに加盟しない場合、アジアにおける新しい枠組みから取り残されるばかりか、競争力の低い分野を再編・強化する機会を逃すことになるでしょう。米国は確実にTPPから利益を得ますが、日本はその加盟を「第三の開国」につなげることで、より大きな利益を得る可能性があるのです。

 21世紀の日本の「三種の神器」は、(1)健康で文化的な生活、(2)やりがいのある仕事、(3)アジアにおける平和及び安全保障ではないでしょうか。

私が申し上げた取り組みは、米国のアジアにおける目標と共通するものです。米国と日本が協力することにより、アジア、そして世界の繁栄に大きく貢献することができるでしょう。