卓話


特別基金について

2021年5月12日(水)

特別基金担当理事 黒田康裕君


 皆さまは特別基金という一般会計とは別に管理されている、東京ロータリークラブ独自の恒久基金が存在することはご存じのことと思います。その残高は2020年12月末現在約3000万円となっており、使途は特別基金規則によって定められています。

 お恥ずかしいのですが、私は今年度特別基金を担当するまで、そして100年史の編纂作業に携わるまで、特別基金というものについて正しい知識をもっておりませんでした。幸い100年史編纂の過程でこの特別基金について学ぶこととなり、今般週報に理事会メンバーとして寄稿する機会を得ましたので、皆様にこの特別基金のことについてご案内させていただきたいと思います。

 特別基金の基礎を作ったのは宮脇冨氏です。宮脇氏はアメリカで酪農を学び、帯広畜産大学の学長を務め、帯広RCでロータリアンとしてのスタートを切り、1954年7月より東京RCにおいて縦横の活躍をされました。宮脇氏は「ロータリーの生き字引」と称されロータリアンとして活躍されると共に、数々のロータリー文献の邦訳にも取り組まれました。

 不幸にして病床に伏された宮脇氏は「出席してこそロータリアン」との信念を曲げず、周囲の遺留を振り切って1968年5月1日に退会されました。退会に際し140万円を寄付され、これが今日の特別基金の核となりました。

 宮脇氏は同月29日に帰らぬ人となりましたが、宮脇氏の遺志を永く生かすために「特別基金規則」が作成され、運用は特別基金委員会が行い、支出の際は社会奉仕委員会と協議し、理事会が承認するという仕組みで運営され、1979年RI創立75周年花水木苗木全国RC配布、1995年米山梅吉記念館新館建設費用、2004年東京RCクリアランド造成費用、2010年東日本大震災義援金、そして2019年東京RC百周年記念事業として米山梅吉記念館創立50周年記念寄付など、概ね大規模な記念事業や奉仕活動に役立てられています。

 特別基金への寄付は、単に東京RC会員に限らず、アメリカのRCの例にならい広く一般篤志家からも寄付を受け付けています。これも宮脇氏の持論によるものであります。これらの特別基金に関する記述は間もなく完成する東京RC創立100周年史『奉仕の道 100年』にも記載されておりますのでご一読願えれば幸いです。

 東京RCにはこの特別基金と同様に一般会計とは別に管理されている基金が他にもあります。復興基金は2011年より始まった東日本大震災復興支援「東北すくすくプロジェクト」のための基金です。毎年会員の皆さんからのご寄付と地区内他クラブより支援をいただき、10年にわたり東日本大震災の被災地における子育て支援活動を続けてきました。

 この意義深いプロジェクトは今年度で終了しますが、次年度より新たな10年プロジェクトがスタートし、その活動のための基金が新たに創設されることになると思いますが、会員の皆さまには引き続き新10年プロジェクトに対するご理解とご支援をお願い申し上げます。

 コロナ基金につきましては蒲野社会奉仕理事により3月3日週報の卓話でも述べられておりますので皆様よくご存じのことと思いますが、昨年度において緊急事態宣言が発出され、その間東京RCは例会を開催することが出来ず、例会費用として計上されていた予算の内、未使用の予算の一部により「コロナ基金」が創設されました。今年度に入り濱口会長の下、このコロナ基金の活用方法について関係理事が出席し協議を重ねて参り、最終的に沖縄県の医療機関に人工呼吸器を寄付することとなりました。

 さて、我が東京RCは昨年10月に創立100年を迎えました。100年前に米山梅吉翁が強く共感し日本にロータリークラブを創立するその原動力となったのは、ロータリー普遍の原理「利己のない奉仕の精神と行動」でした。

 東京RCが日本で最初のロータリークラブであること、そして330余名の会員数であることは勿論大切に守り育てていかなければなりませんが、100年の間この普遍の原理を堅持し続けてきた先人の努力に敬意を表することを忘れてはならないと思います。 「利己のない奉仕の精神と行動」これこそが宮脇冨氏が後に続く我々に託された最も大切なものではないでしょうか。