卓話


イニシエイションスピーチ

2011年11月9日(水)の例会の卓話です。

クリスチャン・ロメイヤー君
清威人君

Asset Management in Japan

アムンディ・ジャパン代表取締役社長
兼 クレディ・アグリコル グループ 在日代表 
クリスチャン・ロメイヤー君


1)日本の株式投資の歴史は、個人から機関化、個別株投資から株式・債券その他の様々な資産へのファンド投資の流れに沿ったものであり、年金資産の拡大や個々の投資家の成熟に沿ったことが背景です。

2)元来、日本では投機を含む金融取引が盛んで、株式市場へ個人が参入することに抵抗が少ない風土が形成されていました。もっとも初期のスタイルは、個別株を大した分析もなく買い込む原始的なものであったことは否めません。この段階は、いわば資産運用が産業化される以前の段階と言えるでしょう。

3)1965年から1970年頃にかけて証券会社がPERやPBRを利用する分析手法を使い始めると、株式市場では瞬く間に受け入れられました。その後、証券分析は証券会社のみならず、資産運用会社でも取り入れられるようになり、この時期が資産運用業界発展の第1段階と言えます。

4)1980年代半ばまで続く第2段階では、個人資産と年金資産の両方の拡大が、投資に対する諸規制にも大きく影響し、個人や年金資産の保護に結びつく規制体系に発展しました。そのような環境下、投資のプロであるファンドマネジャーやアナリストの重要性が一段と増大し、資産運用業界の発展を加速させました。

5)1990年代から現在まで続く第3段階は、いわば成熟期です。すなわち、競争が厳しくなる一方で、日本は『失われた20年』に突入して経済成長が鈍化し、資産運用業界も洗練されると同時にパフォーマンス追及やユニークな投資手法が強く求められる時代となりました。

6)一方、業界の成熟化に応じて、一般投資家や最終受益者を保護する規制はますます強化されています。

7)東京証券取引所の投資主体別シェアによれば、1971年前後で国内個人投資家等の比率が30%超、生保・年金・外国人等のいわゆる機関投資家のシェアは15%未満であったのに対し、2010年には機関投資家が約50%となる一方で個人投資家は約20%となっています。機関投資家、特に外国人投資家は、日本の市場での存在感を極めて大きくしています。

8)今日、日本の資産運用の規模はオーストラリアを含めたアジア地域の60%を占めており、日本の経済規模が世界第3位であることと関連しています。日本の個人投資家は慎重でリスク回避型であることで有名ですが、実際には長期的に銀行預金かタンス預金を好むフランス人と、結構似ていると言えるでしょう。

9)このような日本の潜在的状況は、多くの資産運用会社を呼び寄せています。日本の大手金融機関はそれぞれ資産運用会社を保有していますし、海外の有名企業も多く参入しており、総数は80社を超えています。

10)機関投資家は企業経営や行動に大きな影響を及ぼすようになりました。資産運用会社にとっても、ファンド保有者や年金の最終受益者に対する責任が、一層重くなった現象と捉えられます。

11)今後、資産運用業界はより洗練されたサービスを提供することが望まれます。その中で最も重要な要素は、顧客からの信頼であり、継続的に優れたパフォーマンスを提供することです。

12)金融市場の何度かの混乱を経て、今まで投資の世界に足を踏み入れなかった人々の参入が見られるようになりました。このチャンスを捕まえる唯一の方法は、簡単明瞭で理解し易く、かつこのような投資家のリスク許容度に合致した商品提案を資産運用会社が実行することです。

13)資産運用会社の役割は、ファンドを通じた資金の有効活用で価値を生み出すための仲介者と言えます。ただ、成功のポイントは営業力に集約されるでしょう。

14)我々は新たな時代の縁に立っていて、多くのことが見直される時代に直面していますが、その中で資産運用業界の発展が続く可能性は高いと考えております。

日本におけるコンサルティング業界

エイムネクスト蝓‖緝充萃役社長
         清 威人 君

日本におけるコンサルティング業界の現状について3つの数字「200」「2000」「3000」を使いご説明させていただきます。

 まず、はじめに「200」です。
 これは、国内のある程度の規模のコンサルティング会社の数です。(ここである程度の規模とは、従業員数が数十人以上という意味です)

 業界団体や、登録制度があるわけではないので正確に数えることは難しいのですが、コンサルタント志望者のためのインターネットのサイトがございまして、そこにリスティングされているコンサルティング会社を数えた数字です。常に採用を行っている会社がのっておりますので、ある程度の規模以上ということが言えるかと思います。さらに、最近ではコンサルティング部門を社内に持っているという会社も増えております。

 ただし、コンサルティング会社と一口に言っても、多様な会社がございます。
 今回私が対象とさせて頂いているのは、主に経営・ITなどを対象としている会社ですが、その中でも百貨店のように様々な産業分野で様々なサービスを取り揃えている会社から、ブティックのように、特定の産業、例えば医療などに特化した会社であるとか、特定の分野、戦略とか、人事関連などに特化している会社、活動範囲で言えば、世界中で事業を行っている会社から、国内のみで事業を行っている会社など,多種多様な会社がございます。

 次に「2000」です。
 これは、比較的大手のコンサルティング会社の2011年の新卒採用数です。先ほどの200社のうち、上位50社程度を集計した数字です。

 参考のために,大手国内自動車会社10社の大卒採用数は約1800人ほどでした。

 大卒新入社員の採用人数という軸で比べた場合には、ある程度の産業になってきたということが言えるかと思います。

 3つめは「3000」です。
 これは、国内におけるビジネスコンサルティングの市場規模です。アメリカでは7兆円前後といわれています。アメリカと、日本のGDP比を考えた場合に、市場がGDPに単純に比例すると考えると日本の市場は成長の余地が大いにあるということになります。

 最後に,私見ながら日本におけるコンサルティング業界がより発展してくための方策ですが,私は、少子高齢化が進み、既存ビジネスの国内市場が縮小していく中、「効率アップ」を主要な目標とするビジネスだけでは夢がないと思っています。やはり、当初は効率が悪くとも新しいことをどんどん「創造」していくことも大事だと思います。

 では「創造」するためには、何が求められるかというと、考えるだけでなく実現する能力を、より組織としてもっていくということだと思います。その場合、既にコンサルティング会社とはいえないのかもしれませんが。そうすることによって、社会により貢献できるようになるのではないかと思っています。

 また、もうひとつは、日本型の経営手法のモデル化とそのグローバルへの展開のお手伝いです。

 私は、The日本といえるような会社と、資本主義そのものであるアメリカのコンサルティング会社の両方で働きました。その経験から考えるとどちらにもよいところがあります。ところが、どうもこの10年、日本の会社では、日本型の経営手法は時代遅れや、日本でしか通用しないというような受け止め方をする人が増えているように思います。

 私はそんなことはないと思います。海外から入ってくる新しい概念に関しても、実は
発祥は日本であるというようなことも多々あります。

 コンカレントエンジニアリングしかり、CRMしかりです。それらは海外で研究された日本の手法が整理され、システム化され逆輸入されたものです。

 日本の経営手法には世界に通用する優れたものがたくさんあります。問題なのは、日本人が自分たちが実践していることをコンセプチャルに整理し,話をすることが苦手なことです。

 きちんと説明することができれば、欧米型の文化圏においても十分に理解され、機能することがたくさんあるにも関わらず、わかりやすく説明ができないがために、受け入れられてもらえないことが多いのです。最近は日系企業の現地法人で仕事をすることも多いのですが、実際に、そういうことがおきているのを何度も目にしています。

 日本型経営手法のモデル化と展開を通して、お客様とともに私どもも海外で発展していけるのではないかと思っております。