卓話


イニシエイションスピーチ

2007年8月22日(水)の例会の卓話です。

日本コカ・コーラ(株)取締役会長
魚谷雅彦君
第2580地区2006−07年度ROTEX委員長
慶応義塾大学
佐藤伸昭君
 

ブランド価値づくりのマーケティング

日本コカ・コーラ(株)
取締役会長 魚谷 雅彦 君

 昨今企業経営において「ブランド力」の強化が重要な戦略となっています。

 私が仕事をして来た清涼飲料という一般消費材の事業ではこのブランド力が企業の命運を握っているといっても過言ではありません。そこで今日は私のライフワークであります、このブランド価値をつくるマーケティングというテーマで実務者としての経験を基に話をさせて頂きます。

 まず、企業経営にとって今、何故ブランドが重要かという点です。マクロ的に見れば、日本を代表例として先進国の市場は一般に成熟化し、単に作れば売れる時代でなくなり、技術的な差別性が長期に続かないグローバルな競争の激化、情報通信技術の発達によるいわゆる「世界のフラット化」の中で世界中の消費者に多くの情報が瞬く間に共有される様になったこと等があると思います。

 同時に顧客である消費者も大きな変化をしています。自分にとって価値があれば値段が高くても買う一方、徹底して低価格に拘る消費者もいるといった二極化が顕著になっています。また大衆としてではなく“個”としての要求やニーズも大変強くなっています。一言で言えば“消費行動の主権は明らかに売り手から買い手に移っており”消費者は自分の価値観に合う、本当に欲しいものだけを選択する様になりました。従ってこの買い手を十分に理解し、選択される様にする為の絆づくりをすること、即ち、ブランド価値の構築をするマーケティングが極めて重要です。

 次に、ブランド価値とは何かについてです。アメリカのインターブランド社が毎年発表している“Best Global Brands”という世界で価値が高いブランドのランキングでは、コカ・コーラ、マイクロソフト、IBM,GE、ディズニー、マクドナルド、ノキア、メルセデスといったブランドが上位に入っています。昨年の調査では,ついにトヨタが世界6位のブランド価値だと評価されました。1位のブランドで約8兆円のブランド価値があるとされています。言い換えれば、無形資産であるブランド価値を拡大させることこそが永続的な企業価値の拡大に繋がると強く信じられています。

 一方、顧客である消費者にとってのブランド価値は簡単に申し上げれば基本価値と情緒価値の融合体として成り立っています。基本価値は形・機能、物理的な利便性といった商品そのものであり、情緒的価値とはイメージや連想また共感を感じるか、といったものでしょうか。

 さて、それではこのブランド価値づくりのための企業活動はどういう視点で進めるのでしょうか。まずは、企業全体の全ての活動が顧客を基点として行なわれなければならない、つまり 「企業文化」になっていなければならないということでしょう。

 「ブランド」というのは、企業からの約束・コミットメントであり、そして消費者・生活者からすれば、それに対してどういう知覚をもっているかということです。即ち、技術を標榜している企業があり、製品が本当に素晴らしいとしても、人が素晴らしいと思っていなければブランド力があることにはなりません。自社のブランドがどんな価値を社会に、人々に対して他企業よりも優れてもたらすのかといったポジショニングを明快にすることが重要です。

 もう一点申し上げたいことは“Everything Communicates”(全てのことがブランドコミュニケーションの要素となる)という概念です。企業からのブランドメッセージを受け取る消費者は全てのことを主観で認識し、ブランドへの知覚やイメージを形成する訳ですから、経営者の言動、社員の行動や態度、勿論広告、店頭でのサービスや全ての大小の活動の接点(コンタクトポイント)がブランドポジショニングに基づき統合・統一された価値やメッセージを伝達する必要があります。経営者の一言がブランド価値を高めることも危機に陥れることもある訳です。

 また、企業が社会的責任を果たす活動もブランド価値づくりにとって昨今は特に重要な要素となっています。最も優先度の高いステークホルダーは顧客であり社会だと思います。そのビジネスの源泉である顧客や生活者に支持をされていなければブランドが成り立たず、株主や社員に対する価値も存在しません。

 ブランド価値を創造することは企業経営そのものであるという信条をもって、この興味深いテーマをもっと実務的に究めて参りたいと思います。

 私の将来の“志(こころざし)”はグローバルコミュニティーにおける「日本」という国のブランド価値づくりはどうすればいいのか、といった大きなテーマにも取り組んで行きたいということです。

ROTEX活動について

第2580地区2006−07年度ROTEX委員長
慶応義塾大学
佐藤伸昭君
 
 2003年度に東京RCのスポンサーを受けてドイツに一年間留学させて頂きました。先月の7月まで一年間、2580地区のROTEXの委員長を務めさせて頂きました。

 本日は僕が大学生生活を賭けたROTEX活動を紹介させて頂きます。
●ROTEXとは
青少年交換留学プログラムで派遣された学生は、帰国後に自動的にROTEXと呼ばれることとなり、様々な形で来日学生、派遣予定学生をサポートさせて頂いています。

●ROTEX活動
日々のROTEX活動は委員会主催のイベントへの参加です。また、単独で月1回、来日、派遣学生のためにROTEX主催のフィールドトリップを企画しています。昨年度は夏の大イベントとして御殿場YMCA東山荘で来日学生の日本語教室兼サマーキャンプを行いました。また、3月には初企画のジャパンツアーを行いました。

●JAPANTOUR
僕がドイツに留学してからもう3年が過ぎようとしています。その中で一際輝きを放っている思い出が、世界各国の留学生とヨーロッパ7カ国を回ったヨーロッパツアーです。そこで、来日学生にも、心のアルバムに一生消えない1ページを刻んでもらおうと始まったのがジャパンツアーの企画でした。日本全国でも、これほど大規模なツアーを行っている地区は無いので、正真正銘「史上初」の青少年交換プログラムジャパンツアーとなりました。
日程  :2007年3月27日〜4月5日 9泊10日
参加者 :来日学生、派遣予定学生、ロータリアン、ROTEX 計35名
行程  :東京→大阪→神戸→広島→福岡→屋久島→秋吉台
→尾道→天橋立→金沢→五箇山→会津若松→仙台
バス1台で全行程4400キロ
世界遺産4つ(原爆ドーム、厳島神社、屋久島、五箇山)
日本三景(宮島、天橋立、松島)
〜屋久島で海を、仙台で雪を!〜

 各地の宿を取り、食事を予約して、観光地を調べて、タイムテーブルを作る。大変ではありましたが、全てを自分達の力で作ることで、自信になりました。

 日本をただ見て回るだけではなく、日本について考えるツアーということで学生たちには各地で色々なことを考える機会を与えました。

 広島で原爆ドームを訪れる前の日には「平和の作り方」と題して、話し合う機会を設けました。ロータリー留学生としての使命、「小さな親善大使」として出来ることを考える良い機会になったと思います。

 福岡では、現地のロータリアン、ROTEX、派遣来日学生に会って満開の桜の中、ガイドをして頂きました。

 屋久島のビーチでは急遽、男女混合大飛び込み大会が行われました。もののけ姫の舞台となった白谷雲水峡では、綺麗すぎて魚が棲めないという奇跡の湧き水を飲むことも出来ました。

 ツアーの思い出は尽きないのですが、夢であり目標であったジャパンツアーを怪我も病気もなく、全行程行えたことが嬉しかったです。屋久島で真夏の海があるかと思えば、五箇山の夜にはかやぶき屋根に雪も降りました。学生達は実際に目で見て、足で踏みしめることによって、日本の素晴らしさを肌で感じ取り、成長してくれました。

 しかし、旅行で得た最も大きな宝物は、10日間文字通り寝食を共にしたことで生まれた「絆」です。旅行を通して組織として大きく成長出来ました。学生が心のアルバムに何を描いたかは分かりませんが、僕達が1年間の留学を通して得た感動と同じようなものを感じてくれていればROTEXとしてこんなに嬉しいことはありません。

 7月1日で次の代にバトンタッチした今だからこそ、留学生活の素晴らしさを外から眺めることが出来るようになってきました。

 ドイツからの帰国前日にドイツのお母さんが泣きながら言った「時計の針を戻せたらいいのにね」という言葉が僕は忘れられません。その言葉で言い表せないほど寂しい気持ちと同時に、幸せな気持ちになり、次は僕がもらったような幸せな一年間をプレゼントする番だと強く思いました。

 その方法が僕達にとってはROTEX活動をすることであり、世界から来ている弟や妹達にも同じように最高の一年間を過ごして欲しいと思っています。

 また、ロータリー留学の素晴らしいところである次世代へ自分達の経験を伝えることが出来て、これから各国での生活を始めようとしている派遣学生が、どのようになって帰ってくるのかが楽しみでなりません。彼らが帰国した時に僕達以上にこのプログラムを愛し、未来の世代に彼らの想いを伝えて欲しいと願っています。

 現在のロータリー留学が抱えている問題は、素晴らしいプログラムにもかかわらず知名度が高くなく、人数が余り集まらないということです。広報誌を作ったり、ROTEXが出身校に戻って宣伝したりしていますが、もっと多くの優秀な人材を集めて行くことが必要です。皆様、どうぞお知り合いにもこのプログラムについてお勧めいただけたらと強く思います。

 世界では相変わらず悲惨な出来事が絶えません。無力さを痛感する事も多いですが、こんな世界を救えるのはロータリー留学を通して、人間の優しさと、奉仕と感謝の心に触れた僕達なのかもしれません。実は僕の夢の一つは、将来青少年交換委員となりプログラムを更に発展させることです。ロータリー留学で得たものを活かし、日本を背負って行けるような人間になれる様努力したいと思います。

 最後になりましたが、全ての経験はロータリークラブの深い理解があったからこそ出来たことに他ありません。皆様本当にどうも有難うございました。