卓話


『友』に載らない『友』の話 

4月6日(水)の例会卓話をクラブ会報委員が纏めたものです。

ロータリーの友 事務所
編集長 二神 典子氏

第4050回例会

 『ロータリーの友』は、一般の雑誌よりも、読者と編集者の距離が近いので、良かったこと、悪かったこと、たくさんの意見を直接聞く機会も、比較的多いと思います。それらのご意見をうかがいながら、毎月の企画を立てていますが、それらを集大成して、『ロータリーの友』のそれまでの路線を大きく変更したのが、2002年7月号です。

 国際ロータリー(RI)には、アメリカ・エバンストンにある世界本部で編集・発行している『THE ROTARIAN』という機関誌があります。また、『ロータリーの友』のような地域雑誌は、全世界で31あります。地域雑誌には、守らなければいけない規則がいくつかありますが、基本的には、それぞれの雑誌が発行されている国のロータリーや文化に合わせて、独自の編集をすることが許されています。

 その自由に編集できるという部分が、『ロータリーの友』と『THE ROTARIAN』の違いとなって表れていますが、そればかりでなく、同じ地域雑誌でも、発行されている国のロータリアンのニーズによって、全く違ったところ、また、似たところ、さまざまあるということにもつながります。

 地域雑誌が守らなければならない規則の一つに、『THE ROTARIAN』に掲載された記事の中で、RIから指定された記事を翻訳して載せなければならないというものがあります。これを一般的にRI指定記事と呼んでいて、『ロータリーの友』には、「RI指定記事」とタイトルの近くにロゴマークを入れてあります。

 RI指定記事の翻訳のチェックをしていますと、どうしても日本語の単語に置き換えられない英単語にぶつかることがあります。今年度はロータリー100周年ですが、今日はその関連記事を例にとって、『THE ROTARIAN』と『ロータリーの友』の違い、アメリカと日本、両国のロータリーの違いについて、お話をさせていただきたいと思います。

 私は、『THE ROTARIAN』に掲載されている100周年関連の記事に、「milestone」という言葉が非常によく使われていることに気がつきました。マイル標石とか画期的な出来事という訳語が辞書に出ていますが、それらの言葉をそのまま日本語の文章に入れても、きれいな文章になりません。それで私は、その訳をどのようにしようか悩んでいましたが、日本のロータリアンが書かれた100周年に関する原稿の中に、必ずといっていいほど「節目」という言葉が出てくるのに気づき、それ以来、「milestone」には「節目」という日本語を充てるようにしました。そうすると、とても理解しやすい日本語になります。

 「milestone」を見たことはありませんが、街道沿いに、一定の間隔で置いた石のことだと思います。長い道のりを歩くときの目印のようなものでしょうか。従いまして、「milestone」という英語を使うアメリカ人の感覚では、その石のように、100年という距離、場所がわかるよう、ここに「milestone」を置きましょう、ということになるのでしょう。そして、その「milestone」こそが、国際ロータリーが提唱している100周年ロータリークラブ社会奉仕プロジェクトや双子クラブを提携して一緒に奉仕活動をするというプロジェクトだと思います。すなわち、記念となる奉仕活動をして100周年を祝いましょう、100年という地点があとで分かるようにしましょう、ということなのです。

 一方、「節目」といいますと、この節目を機として、創立当初から過去のロータリーを振り返り、残さなければならないもの、変えていく必要があるものについてじっくり検討して、未来のロータリーのことを考えましょう、ということになります。

 つまり、この二つの言葉の持つ意味は違っているので、本来はこのような訳語を充てるべきではないのかもしれません。私がここで申し上げるまでもなく、言葉というのは、その言葉を使っている人たちの文化という背景を反映しながら発達をするものですから、文化が違えば、その言葉のもっている単語も違うものになります。ですから、「milestone」という言葉を使うアメリカ人と「節目」という言葉を使う日本人の、興味や関心も異なっているのだということが、お分かりいただけると思います。

 『ロータリーの友』では、100周年にちなんだ記事を連載しています。ロータリーの地域雑誌としては、RIの推進している100周年の目印「milestone」をつくる活動をご紹介しております。それが、昨年9月号から始まった「Centennial Countdown」という記事です。これは、RIが進めている100周年ロータリークラブ社会奉仕プロジェクトの活動が中心の「RI指定記事」ですが、私たちはここに日本のロータリークラブで進めている100周年の社会奉仕プロジェクトの記事を加えて掲載しています。

 一方、『ロータリーの友』には、日本のロータリアンのために情報を提供し、日本のロータリアンの視点に立った記事を提供するという役割もあります。その視点で連載を始めたのが、日本のロータリアンの言われる「節目」を考える記事、「奉仕の1世紀 実りの新世紀」という記事です。ロータリーの創立から始まって、今日に至るまでの節目となる出来事を掲載するもので、昨年8月号から連載がスタートしています。

 この二つの記事を比べると、当然のことながら、「節目」というキーワードで連載を始めた歴史的な出来事を紹介する記事の方が、読者の皆さまに好まれているようです。

『ロータリーの友』は、日本のロータリアンの橋渡し役としての一面と、RIの地域雑誌の一員としての一面、すなわち二つの顔をもっている雑誌ですが、この100周年の記事の取り上げ方が、それをよく表していると思います。今日は100周年の記事を例にしてお話をしましたが、海外のロータリーと日本のロータリーの違いを感じる記事は、ほかにもあります。『ロータリーの友』の記事の中から、国によって多少、または大きく違うロータリーを見つけ、それを楽しんでいただければ、幸いです。

 違いは日本の中にもあります。東京RCのように伝統があり、会員数が多く、そして都会の真ん中にあるクラブもあれば、できたばかりのクラブ、会員が20人にも満たない小さなクラブもあります。似たような歴史や規模のクラブ同士でも、そのクラブが所在している地域の文化や産業などの違いによって、かなり違った活動しているクラブもあります。『ロータリーの友』の記事をご覧になって、「えっ、こんなクラブもあるの?」と驚かれることも多いと思いますが、それぞれに特色があって、それぞれ興味深い活動をしています。ほかのクラブに実際に訪問される機会は少ないと思いますが、毎月、『ロータリーの友』をお読みいただいて、日本全国のロータリークラブ訪問を誌上で楽しんでいただければ、ロータリーがもっと楽しくなることと思います。

 4月号については、雑誌月間ということで、ロータリーの雑誌に関連の記事を特集として掲載していますので、ぜひお読みいただきたいと思います。また、今年の2月に開催された国際協議会のリポートを掲載しました。この記事は、私自身が、ガバナーエレクトの皆さまと一緒に、アメリカのアナハイムで開催された国際協議会に参加して取材したものですが、毎日現地から『ロータリーの友』のホームページに、その日の様子をアップしていました。これは速報であると同時に、誌面の制限がありませんから、写真の数も多く、原稿も4月号に書いたものより、より詳しい内容のものです。毎日、楽しみに見てくださった方も多く、国際協議会が開催されている期間中は、いつもの2倍のアクセスがありましたが、これがインターネットの優れているところだと思います。

 『ロータリーの友』は、50年の歴史のある雑誌ですが、古い伝統の良いところを守りつつ、新しい技術の良いところを積極的に取り入れて編集をしています。まだまだ模索中ですが、印刷媒体である『ロータリーの友』という雑誌と、インターネット上にある『ロータリーの友』のホームページ、それぞれの特性を生かしながら、これからも日本のロータリアンのお役に立てるような記事を提供していきたいと思っています。

 今日『ロータリーの友』をつくっている者の顔を見ていただいたことで、毎月手にされる『ロータリーの友』を身近に感じていただければ幸いでございます。どうもありがとうございました。