卓話


災害支援への営業倉庫の役割

2019年11月13日(水)

三井倉庫ホールディングス(株)
 相談役 藤岡 圭君


 倉庫業とは「お客様の商品をお預かりし安全確実に保管する」事業であります。「倉庫建物を作ってそのスペースをお貸しする」と言うのは物流不動産業であり倉庫業ではありません。

 営業倉庫というのは不特定多数のお客様から荷物をお預かりする事業です。倉庫業法を根拠にしてお客様から荷物をお預かりすることを寄託と言い、寄託貨物としてお客様の所有品等をお預かりすると言うのが営業倉庫です。

1.営業倉庫の主な機能
(1)保管
 お客様からお預かりした寄託貨物を「安全に確実に同じ品質で同じ数量」で保管。この保管を中核とした営業倉庫の重要な機能。
(2)需給調整機能。穀物の様に一度に出来て12カ月かけて消費する物の場合、供給と需要の間に時間差が発生するので、1カ所に保管し一年間をかけて需要に合わせて供給するのが需給の調整機能です。工業品等においても作る期間と使う時期でタイミングのずれが起こる場合その需要と供給の時差を調整する機能と言うことです。

(3)連絡調整機能
 1回で運ぶ量を大きくすればするほど単位当たりの輸送コストが減るのが物流のセオリー。一方、最終のお届け先毎にはあまり大量に要らない場合、そのアンバランスを解決するための仕組です。いくつかの届け先用を取りまとめて、生産地から一括大量に持ってきておいてそれをある場所で小分けにばらし最終お届け場所に二次輸送する為の接点に営業倉庫を使う事。

(4)金融補助機能
 営業倉庫会社はお預かりした寄託貨物に対しお預証を証券(倉荷証券)として発行することができます。それが取引所で売買されていきます。例えばLMEでの売買は証券で行っています。実物は世界中のLMEの指定を受けた営業倉庫に入っています。

2.営業倉庫が災害復興支援に果たす役割について
災害が発生した場合被災地においてはその生活支援・復興支援の為の物資が大量に必要。平成23年3月の東日本大震災を契機とし、同年12月に国土交通省主催によるアドバイザリー会議によって、震災時の物流のサーベイとその対策案が報告書として出されました。

東日本震災時の物流の問題点は、
(資拠点の不足:各地からの支援物資が送られてくる場合にその輸送について集積場所の確保と情報の不足
⊆嵶勝η確舛粒諒櫃できないための輸送力低下
J流ノウハウの欠如とオペレーションの錯綜:一次集積地・二次集積地において、プロでない国や自治体がオペレーションを行うことによる混乱が避難所等での必要物資不足や品目毎の過不足を招いたと分析され、これらの業務に精通した民間物流事業者のノウハウや施設を活用することが不可欠であることが顕在化。

 この報告書を受け、国土交通省と自治体・倉庫協会・トラック協会等において民間物資拠点のリストアップと都道府県と物流事業団体との協力協定の締結促進が合意。

 協力協定は、災害時における輸送・保管・物流専門家の派遣等に加え、日頃からの災害物流研修という訓練なども含まれ平時から災害に備えることを強く意識した協定になっています。現在45都道府県と4市において締結されているとの事です。

 大震災における地方自治体と地区の倉庫協会での協力の大きな事例としては最近では熊本地震の際の例が挙げられます。震災直後から熊本地区の倉庫会社各社で約1800坪程のスペースを捻出し、この内600坪程の倉庫スペースにて災害支援物資の保管・在庫管理を行ったとの事です。

 災害は勿論無いに越したことはありませんが、常に発生した場合に備えるという意味で、各自治体も我々との研修会等も踏まえその対応に備えていますが、我々営業倉庫会社もスペースやオペレーションに加えノウハウの提供等によりその後ろを支えていると言う訳です。