卓話


米山月間例会
「米山奨学事業について」

2007年10月3日(水)の例会の卓話をクラブ会報委員が纏めたものです。

(財)ロータリー米山記念奨学会名誉理事長
島津 久厚氏 

 都城RCの島津久厚でございます。私は今年の8月30日をもって,米山奨学会の理事長を退任させていただきまして,名誉理事長ということにさせていただきました。本日は米山奨学会の40周年を記念して多額の募金を賜りましたことを厚く御礼申しあげます。

私は,米山奨学会の理事長を6年間勤めて退任いたしましたが,私が理事長に就任した時に,一つの役職を6年以上やらないことにしようという申し合わせをいたしました。それでなくても,既に90歳を迎えようとしている時でありますから,これ以上やれる状態でもございませんので,交代させていただいたわけでございます。

ご承知のように,米山奨学会は,東京RCで戦後1954年に米山梅吉翁を顕彰して,つくりあげた制度でございます。それが全国に広がって今日の大変大きな組織になりました。 思えば,私はちょうどその年にロータリーに入会しました。

 戦前の会長であられた鹿島精一さん,戦後の古い方では手島知健さん,小林雅一さん始め多くの方々からお声をかけていただいて励ましていただいたことを記憶しております。

 事業発足当初,タイの学生さん一人に奨学金を支給するということから始められましたが,これまでに1万4千人近くの学生さんに奨学金を支給することができました。その地域はアジアのみに留まらず全世界にわたるという,大変大きな事業になりました。

1957年頃から,米山奨学会は東京RC独自の事業でなく,国内全クラブの合同事業としてロータリー米山奨学会が結成され,段々に広まっていきました。

実は,私は1965年〜66年の九州地区ガバナーを勤めたのでが,1967年に,東京RCの会長である,今のご先代の國分勘兵衛さんから米山奨学会の事業を九州にも積極的に広げるように努力してくれと激励されました。

大体その頃,文部省から財団法人の認可を受け,東京RCの湯浅恭三さんが理事長になられました。当時の私は,米山奨学会について,その名前を承知している程度でございましたが,これは大いに頑張らねばならぬと思いました。

 以来,米山奨学事業とのご縁が深くなったわけでございます。たまたま,本日お伺いしたところ,東京RCの会長さんは,國分さんであるということで,おもしろいご縁であると感じたわけでございます。

米山奨学会が財団法人になって40年になりますが,初代会長の東京RCの湯浅恭三さんには,親しくご指導をいただいたことを記憶しております。2代理事長は福岡RCの末永直行さんで,その後を継いで私が理事長を仰せつかったということでございます。

米山奨学事業については,私などより,東京RCの宮崎さんの方が,はるかに詳しいお話ができると思うのですが,立場上,今日は私がお話しをするわけでございます。

米山奨学会の最初の頃の話をご記憶の方は少ないと思いますが,東京RC事務局の南郷幸子さんという方が,米山奨学会の最初の主事をなさいまして,いろいろとお世話をしておられました。余談ですが,今年の初め,台湾で,日本にもっと留学生を送ろうというシンポジュームがあった際に南郷さんも招待されて,元気に参加しておられました。

東京RCでこの事業を始めた時は,タイのソムチャード君が奨学生になりましたが,4〜5年前のRI会長であるビチャイ・ラタクル氏は米山翁を大変尊敬しておられて,来日された際,わざわざ三島にある翁のお墓にお参りになったということです。

米山奨学会は,日本独自の制度として発展してきました。世界を見渡しても,これ程大きな存在はありません。そのためか,いつの間にか,RIと違った別の道を歩んでしまった感じもございます。

RIの手続き要覧を見ますと,多地区合同事業を行う場合は,各地区の3分の2以上のクラブが賛成して,且つまた,ガバナーの直接監督のもとになくてはならない。そして,ガバナーがRIの事務総長に承認を求めて,承認されて初めて,RI傘下の存在ということになります。どういうわけだったか,米山奨学事業はその手続きなしに日本独自に進めました。

 歴代のRI会長は,その業績を称賛することはあっても,RI事務局としては正式に認めていませんでした。従って,国際協議会やRIのゾーン研究会では,米山奨学事業が取り上げられることはありませんでした。米山奨学事業にRCのエンブレムを使うことも認められていませんでした。

どうしてこうなったかの理由は定かではありません。この活動を始めた時には,その規定がなかったのか,あるいは誰も気がつかなかったのか,日本独自のものだから今更申請の必要もないだろうと思ったのか,会員の中には,何もすべてのことをRIの承認を得て行う必要はないのではないかという意見を述べる方もおられたようでございまして,そのようにいろいろなことがあって,結局RIの承認を得ないままに進んできました。

これまでに1万4千人近くの学生に奨学金を出してきました。毎年8百人程の学生に奨学金を出している,日本最大の団体が,RIの承認を得ないままで,活動していたということでございます。

しかし,近年,日本から出ておられるRI理事のご努力によりまして,昨年から正式に多地区合同事業活動として承認されることになりました。それによってゾーン研究会などでも取り上げられるようになったわけでございます。

ロータリーの奉仕は,必ずしも,その規模の大きさを誇るものではありませんが,外国人留学生対象の支援事業としては日本で一番大きなものであります。

資本金の大きさで言うと米山奨学会以上に多額の基本金をもっている団体は,少なからず存在します。米山奨学会が最大というわけではありません。

米山奨学会の基本金は50億。特別積み立て金は25億です。大体,その年度にいただく寄付金を,その年度の奨学金として支出しております。寄付していただく金額がだいぶ減少しておりますが,年間14億数千万円程度もの金額になります。

 管理費は基本金の果実で賄っております。そして,この事業は広い意味で国際貢献に大いに役立っていると思います。このことは日本のロータリーの誇りであると思います。

さらに,米山奨学事業の最も誇りとするところは,単に支給金額の規模が大きいということではありません。

米山奨学事業には,奨学生に対する世話クラブがあり,さらにカウンセラーが定められて,親身にお世話をしたり必要に応じて適切な指導をしたりする制度があります。

世話クラブ,カウンセラーを引き受けてくださる方々には大変なご苦労をかけ,ご努力をしていただいていますが,このような制度は他に類を見ません。これこそが,米山奨学事業の誇るべきところであります。

米山奨学事業は財団法人として,当然ではありますが,理事会,評議員会,常務理事会,専門委員会,全国各地区の委員会等があって,全国のロータリアンの活発なご意見を尊重しつつ運営されております。

ガバナーが評議員になっておられ,直接の監督をしておられます。

以上のようなことでございますので,米山奨学事業の発祥のクラブである東京RCはじめ,全国のRCが今後とも,当事者に対して大きな支えとなってくださるようお願いいたす次第です。