卓話


イニシエイションスピーチ

2010年8月18日(水)の例会の卓話です。

加藤良三君
佐々木宗平君  

野球あれこれ

社団法人日本野球機構
会長 加 藤 良 三 君

 野球は日本で人気の高いスポーツである。元祖アメリカでも同じである。

 フットボール、バスケットボールの人気に野球は及ばないというアメリカ人はたくさんいる。

 それでも、メジャーなスポーツの中で、開幕戦に大統領が毎年始球式を行うスポーツは野球以外にないと思う。

 あるアメリカの友人は、野球は間延びしていて付き合い切れないと私に言った。

 小泉元総理が、かつて、人間には三種類しかない、と述べたことがある。曰く、「話さなくても分かる人」、「話せば何とか分かる人」、「話しても無駄な人」。

 スポーツの嗜好も同じで、無理強いは無駄である。

 それでも、日本で野球人気が高い所以を少し考えてみる。

 スポーツはそもそもエキサイティングなものである。故岡義武教授は「昔、戦争は王様のスポーツであった」と述べている。

 国柄、土地柄で好みは変わるが、数あるスポーツの中で、一方の極にはボクシングがある。相手を倒すか、倒されるか。

 もう一方の極にはゴルフがある。自分との闘い。自分のスコアを自分で伸ばす以外にない。

 その中にあって、野球は「洋風幕の内弁当」型スポーツである。肩肘張らないが、豚カツ、コロッケ、ポテトサラダ、チキンライス等何でも入っている。

ボクシング的「死活」の要素がある。ゴルフ的「自分一人の闘い」の要素がある。「ファウル」とか「スチール」とか「牽制」とか小ずるい要素がある。「ビーン・ボール」(及びそれに対する報復)といった剣呑な要素がある。

 川上哲治さんによると、野球1試合(今は3時間を超える)の中で、実際にボールが動いている時間は20分強に過ぎない。それ以外の時間はある意味で死んだ時間である。

 しかし、その間観客も監督・コーチ・選手と同じように考えることができるし、ビールを味わうこともできる。

 日米の野球の間には、色々な面での違いがある。それらをあげつらえばきりがない。

 しかし、野球の目的は一つである。それは「生還」である。「家」(ホーム)に安全に(セーフ)帰り着くことである。生還数の多い方が勝ち。

 野球には球場の広さ、形をはじめ、いい加減なところが多々ある。

 一方でプロ野球のバットは木製を通している。

 こうした「律儀」なところがあるが故に、創生期以来の記録を現在に引き直して、「古今のベスト・ナイン」を論ずることに現実感がある。

 それでは、野球は今後ともずっと順風満帆なのか?そう願うものであるが、絶対の保証はない。何か不祥事が起これば、状況はたちまち暗転する。

 スポーツファンの数が増えることは結構なことだが、昨今のファンの多くは「逃げ足」「引き足」の速いファンでもある。

 私は、日本の場合「性善説」、「性悪説」は概してぴったりくる切り口ではなく、不祥事の根元にある本質的問題は「性弱説」だと思っている。

 フィールドにおいては、才能溢れる選手達による華麗、豪華なプレイが展開される。

 また、フィールドの外では、関係者達が「病巣」の早期発見と対応、いざという場合の危機管理、常日頃からの自浄能力の涵養に遺憾なきを期する。

 これ以上の処方箋は結局描けないのだと思う。

クレジットカードの発展とカード犯罪の高度化

三菱UFJニコス
代表取締役社長 佐々木宗平

 おそらく、本日この会場にいらっしゃるほとんどの方がすでに何枚かのクレジットカードをお持ちであり、また、なんらかの形でご利用の経験があるのではないでしょうか。

 わが国におけるクレジットカードの市場規模は、この20年間だけを捉えても大変高い成長を示しています。

 カードによるショッピングの取扱高規模は、平成元年の9兆円に対して平成20年には42兆円、民間消費支出に占めるカード決済割合をみても、平成元年の4%に対して平成20年には14%にまで拡大しています。

 カードの発行枚数も、一昨年は3億枚を超え、20歳以上の方1人につき、実に3枚のカードを保有する計算です。クレジットカードは、ある意味現金に代わるインフラとして、一定の地位を確立してきたといえるでしょう。

 最近では、リーマンショック後の景気後退により、取扱高伸び率にはさすがに鈍化傾向が見られますが、消費支出におけるカード決済の割合を見てみると、米国が45%、英国が32%と高い割合を示しているのに比べて、日本では14%程度とまだまだ低水準にあり、市場のさらなる成長に期待が持たれます。

 クレジットカードの誕生は、今から60年前、1950年代の米国にさかのぼります。

 よく紹介されるのが、世界で最初のカード会社「ダイナースクラブ」の創始者、フランク・マクナマラ氏のエピソードです。

 あるとき、レストランで食事を済ませたマクナマラ氏は、支払いの際に自分が財布を忘れたことに気付き、非常に恥ずかしい思いをした経験から考案したのが、現在のクレジットカードのビジネスモデルといわれています。これには諸説あるようですが、「ダイナース」の英文表記は「Diners」。まさに「食事を楽しむ人々の倶楽部」としてスタートし、「現金の持ち合わせがなくても、気軽に食事やショッピングを楽しんだり、サービスを受けたりできる便利な後払いシステム」こそがクレジットカードの原点といえるでしょう。

 クレジットカードは、過去、その便利さに支えられて飛躍的な発展を遂げてきましたが、その一方において、たえず不正利用や犯罪のターゲットにもされてきました。

 クレジットカードの不正使用による被害総額は、平成12年に年間300億円を突破し、その後は減少傾向に転じて、平成21年には100億円程度にまで落ち着いてきました。しかしながら、依然としてその約半分の割合は偽造カードによる被害で占められています。

 しかも、カードに記録された磁気情報を不正に読み出し、偽造したカードを悪用する「スキミング」や、インターネット上にカード会社や金融機関の虚偽のホームページなどを設定し、クレジットカード番号やパスワードなどのデータを入力させて盗み出す「フィッシング」など、犯罪の手口は次第に巧妙さを増し、高度化する傾向にもあります。

 なお、最近問題化している動きとして、「カードの現金化」があります。これは、新たにキャッシングを受けられなくなった会員が、カードのショッピング利用可能額を使って現金を得ようとする動きを指しますが、多重債務を助長する結果にもなり兼ねず、さらには犯罪に巻き込まれる可能性もあるだけに、業界を挙げて注意を喚起しているところです。

 高度化するクレジットカードの不正使用や犯罪を防ぎ、安心してカードをご利用いただけるように、カード各社あるいは業界全体でも、日々さまざまな対策を講じ、努力を続けています。

 もちろん、個々のカード会員の皆さまが現金と同様に、しっかりとカードとその情報を管理していただくことも重要なポイントになります。

 今後もその便利さ・手軽さ故に、クレジットカードの活躍の場はますます広がることでしょう。この業界に身を置くものとして、皆さまがクレジットカードをご愛用いただく上で、より安心を、そして少しでも多くの感動をお届けできるように力を尽くしてまいりたいと考えております。