卓話


国際ロータリーの周辺

1月21日の例会の卓話をクラブ会報委員が纏めたものです。

RI第2580地区パストガバナー
中村 昌平 氏(東京北RC)

今月がロータリー理解月間なので、私にお声がかかったと思いますが、国際ロータリーを取り巻くこの頃の話題を申し上げて、責を果たしたいと思います。

 このところ国際ロータリーが世界中のロータリークラブに声をかけまして熱心にやってきましたのが、「ポリオ」つまり「小児麻痺」の撲滅運動です。 このポリオという病気−汚いものが口に入るのが原因で、発熱の後、手足が麻痺してしまう恐ろしい病気です。 国際ロータリーがこの運動に手を染めてから、やがて20年になります。

 旧い会員の方は憶えていらっしゃると思いますが、15年ばかり前に日本のロータリアン全員が4万円ずつ拠出させられたことがあります。このとき世界中から集まった拠出金が2億4千万ドルに達しました。この金で多量のワクチンを買って世界保健機構(WHO)に提供すれば良いと思っていたらしのです。

 しかし、実際はそんな簡単にゆくはずがありません。そこで後年改めて「2000年までに絶滅を達成しよう、そしてロータリー100周年に当たる2005年にはポリオ絶滅の盛大なお祝いをしよう」と目標を設定したのでした。

幸いその頃からポリオ対策は世界的な問題として、各国政府が取り上げ、日本政府もかなりな資金援助をして、世界各地で住民に対し、ワクチンの一斉投与が行われましたから、ポリオの発生はみるみる減少して、北米、欧州、日本は勿論、南米が、中国が、アジア太平洋地域が相次いでポリオからの解放を宣言しました。中国のような広大な国土の国でも、政府の肝いりでワクチンの一斉投与を繰り返し、発生ゼロになったと報告しています。

しかし、2000年を越えた今日でも絶滅はできていません。

 明らかに残るところは、バングラディッシュ、インド、パキスタンの地域、ナイジェリアを中心とするアフリカの数カ国で、去年なお520件の発生が報告されています。

 懸命に努力していますが、2005年までの目標に間に合うでしょうか。

 それにしてもやがては終息するポリオ撲滅運動の次に、国際ロータリーはどんなテーマを設定するだろうか−多くの人が聞き耳を立てていますが、まだ情報がありません。

 当クラブが中心になって推進している「対人地雷の除去」を、大きく取り上げてくれれば、と思っています。

 今年の国際ロータリーの会長、ナイジェリア出身のマジイアベさんはアフリカから初めて出た会長です。

 彼はこんなことを言っています。
 「世に地震、洪水、騒乱、テロの暴発といった類の危急の災害があって、そのつど同情が集まり、援助の手が差し伸べられますが、ほかに進み具合がゆっくりでも破壊力は劣らない災害といえるものがあります。それは、貧困、教育、病気です。」 貧困、教育、病気と並べますと、教育だけがアンバランスに思えますが、貧困と病気は明らかに結びつきます。実際ナイジェリアでは50歳までいきる人が稀だと言います。「衣類を買う金がないのでボロを纏い、壊れた器に汚れた水を汲んで生活し、子供たちは飢えて遊ぶ元気もない。貧困がもとで飢餓、無知、絶望を生み出し、生きるために憎むことが必要と考えるようになって、紛争や戦争に誘われる。」 「こうした貧困で動きが取れない人達にロータリーは援助の手を貸して欲しい」というのです。

 ナイジェリアに限ったことはありません。地球上には、1日1ドル以下の収入で暮らしている人達が12億人、約20%いると言われますし、1日2ドル以下となると40%を超えてしまうそうです。もしこれらすべての人達が豊かな暮らしをするとしたら、地球は2つないと賄ってゆけないと言われます。所詮これは人口抑制の問題と直結するわけです。

 ところが「統計に依れば、極貧層の人達は平均6〜7人の子供を作ります。女性は一人前になると直ぐ子供を産む。若い働き手を作らねば生きてゆかれないと思われています。それでますます苦しくなってしまうのです。 貧困にはこうした悪循環があります。

 マジイアベ会長はこの有力な解決策として「教育」の問題を取り上げているところに特徴があります。「この人達に教育の場を与えて欲しい、教育の場が無い上に、みんなお金が無いから教育を受けることを諦めてしまう。とくに女性はこの傾向が強い。子供を持った女性は教育の場から拒否されてしまうのが実情だから、たいていの女性は字が読めない、計算の能力も欠如している。もし女親がしっかりした教育を受け、確かな知識をもっていたら、子供を作ることを止めるだろうし、その知識を子供に伝え、指導するに違いない。こうしたことが貧困の悪循環を断ち、人口の抑制にもなり、全ての解決に向かう道だ」とマジイアベさんは主張しているのです。

 国際ロータリーはこのような人道的奉仕を世界的に展開して、その存在を世に問おうとしています。 「ロータリーは人道的な奉仕を世界中に展開している奉仕団体です」と宣伝して、金を集め、会員を集めることに懸命です。

 しかし、RIのこのような方針に異論が無いわけではありません。

 「ロータリーの活動の主体は本来各クラブにある筈で、クラブの活動が上手くゆくように援助するのが国際ロータリーの役目なのだから、国際ロータリーが主体になって奉仕活動を行うのは本来の姿ではない。ロータリーはそんな上意下達の組織ではない。」という意見であります。

 これに対して「ロータリーの奉仕活動は、クラブはクラブのレベルで、地区は地区のレベルで、RIはRIのレベルで、展開しましょう。どうか現地のクラブなり地区なりと組んで奉仕活動をして下さい。ロータリー財団はそれをできるだけ援助します。」というのが国際ロータリー答えです。 近頃のRI会長のなかには、「ロータリーは上意下達の組織である」と明言して憚らない人もいますし、タスク・フォースと言う組織を作って、中央からの命令を直接末端に伝えて管理しようとする傾向があります。これにはちょっと驚いています。

 日本では「ロータリーの根幹は職業奉仕である」という意見が支配的で、台湾でも韓国でも同じです。これはロータリーの歴史を見ても正当であると思います。

 しかし、歴代RI会長の言動を見ますと、職業奉仕と言えば、若い人達への職業指導、職業訓練、職業斡旋などを指して言うことが多いのです。現にマジイアベ会長もそのような認識です。

 この点で直前RI会長のビチャイ・ラタクルさんだけは、しっかりとした考えを示して、
われわれを安心させましたが、とかく国際ロータリーの動きが日本のロータリアンの考えから遊離してゆく傾きがあるのは心配なことです。

 さて、国際ロータリーは3年に1度規定審議会を開きます。これはロータリーの立法機関で、ロータリーの関する定款、規定、規則の類の改定、改廃は、すべてこの会議で決定されます。

 今年はその3年目に当たり、6月シカゴでの開催が決まっております。果たしてどんな改定が行われるでしょうか?

 3年前、即ち2001年の規定審議会では、会員の種類を正会員と名誉会員の2種類にすること、会員は1業種1社ではなくて1業種5社まで認めると言うこと、試験的に世界から200クラブを選び、定款を従来のものに拘わらず、例えば例会を2週間に1度にし、出席もあまり喧しいことを言わないことにして5年間運営し、会員の増加に役立つかどうかをテストすることなどが決まりました。これは5年後ですから、まだ結論は出ていませんが、例会を隔週、または月2回に、と言う声があちらこちらで上がっています。

 会員の減少に歯止めをかけ、発展途上国に勢力を広めて行くために、国際ロータリーはともすれば、ロータリーの特徴である厳しさを弛めてゆく傾向があります。このような改変はわれわれから見るとロータリーの特徴が次第に失われ、ロータリーの「魅力が無くなるように思えますが、そうまでして数を増やさねばならないのでしょうか?ロータリーを次の世代に受け渡して、恙無く運営させてゆくために、こうしなければならないのでしょうか。私にも分らなくなっています。







例会訪問

 1月21日(水)の例会に国際ロータリー事務総長エドウィン H.布田氏が出席され、挨拶されました。玉村文夫パストガバナーが通訳されました。