卓話


インターネットの世界について

2016年1月27日(水)

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代表取締役社長 勝 栄二郎君

 近年の調査によると、アメリカの大企業の平均寿命はこの100年の間に1/4になったそうです。1920年代には60年だったものが、2012年の調査では15年と短くなりました。その要因は産業経済構造の大変革だろうと思います。今はまさに激変の時で、その背景はITの進展です。これから10年、20年先の社会・経済・日常生活は、今とは全く異なるものなのでしょう。

 さて、大きな技術革新が社会に浸透し大変革をもたらすまでには、70年〜100年程度の時間が必要だそうです。有名な例として印刷技術の革命があります。1445年にグーテンベルグが活版印刷を発明し、それが70年後の1517年、ルターによるドイツ語版聖書の大量頒布から宗教改革へと繋がっていきました。もう一つの例は、1769年にワットが開発した蒸気機関で、それを利用した船舶や鉄道が普及したのが大体70年後でした。

 直近の例はコンピュータです。これが今の形で開発されたのは1940年代で、戦後IBMが商用化して売り出しました。その後、通信機能を付与してコンピュータ同士を繋いだのがインターネットです。コンピュータに通信機能が備わっていることがその本質で、あらゆるシステムをインターネットの上に構築することが可能になりました。

 更にはスマートフォン(持ち運び可能なコンピュータ)の普及によって、データ収集が簡単になり、クラウドコンピューティング技術の発展と相まってビッグデータの解析が可能となり、新たな知見が得られ、生活様式や生産様式、消費パターン、娯楽など様々なことが変化し続けています。今やまさにIoTの時代です。

 インターネットが変えたことの具体例は、ものを買う行為です。eコマースの出現によって、今や自宅に居ながら何でも買うことができます。これによって物流、配達、量販店にも大きな変化が起こりました。他方ではビッグデータの活用が進み、アメリカでは顧客の視線を分析して商品の陳列を変えることなどが行われています。

 自動車や住宅なども変わっていくでしょう。センサーと通信機能を載せた自動車では、走行状況などが常時取得できるようになります。走行状況のデータによって整備の頻度や運転支援など自動車の扱い方が変わり、走り方によって保険料が変わる自動車保険の登場など、金融商品にまで変化をもたらします。住宅ではスマートメータで電気使用量が常に把握され、家計の節約から高齢者の見守りまで様々に応用されていくことでしょう。

 こうして全てがインターネットにつながると、セキュリティの脅威も増してきます。例えば自動車のシステムが乗っ取られて遠隔操作されることなどが想像できますが、実際昨年7月にFCAUSがそのような懸念のために自動車140万台のリコールを発表しています。

 それに対してセキュリティを担う人材は不足しており、統計によると日本で情報セキュリティに携わる人材は現在26.5万人いますが、そのうち16万人はスキル不足で、更に8万人が絶対的に不足しているそうです。

 人手不足を補うために、人工知能の活用は有効な手段の一つです。人工知能が自動的にトラフィックを読み、解析し、対応する仕組みがあれば、既知の攻撃には人手を掛けずに対処できます。このため、より高度で未知の攻撃に備えるために専門家の限られたリソースを確保できるようになります。サイバー空間のセキュリティ問題は、企業や国家を狙うサイバー攻撃が報道されていますが、IoTの普及に伴って個人も巻き込まれていきますので、少ない人手で守れる人工知能のような新しいシステムの開発が急務だと考えています。

 ここからは夢物語ですが、レイ・カーツワイルが10年前に発表した「ポスト・ヒューマン誕生 コンピューターが人類の知性を超えるとき」という本によると、テクノロジーは指数関数的に進歩していき、例えば将来は砂のような小さなロボットに撮影機能を付けて、砂塵としてばらまけば全ての物事を偵察可能になりますし、分子レベルで設計されたナノボットを血液に入れて健康管理ができ、更には脳にナノボットを入れて人間の優れたパターン認識能力を持ちながら記憶力を格段に向上させ、半永久的に生きる人間を創出する社会が40年〜50年後に実現すると言っています。それは夢物語かもしれませんが、インターネットの普及に伴って、我々の生活だけでなく安全保障など様々な事象が変わっており、この変化はこれからも続くことでしょう。


「生命保険の月」と日米関係

2016年1月27日(水)

第一生命保険
代表取締役社長 渡邉光一郎君

 昨年は戦後70年ということで、国内外において様々な行事があり、第一生命でも、日比谷の本社で保存しているGHQのマッカーサー元帥の執務室を公開し、多くの方々に見学いただきました。ご承知のとおり、わが国においては、法令、税制といった多くのルールや規範が、GHQ統治を通じて米国の影響を受けています。戦前はドイツをモデルとしていた生命保険業界においても、戦後は米国の影響を大きく受けています。

 例えば、生命保険業界では11月を「生命保険の月」として、普及宣伝の月としていますが、これもGHQの統治に由来するものです。戦争によって打撃を受けた生命保険各社は、1947年の金融機関債権整備法に基づいて再出発します。その再出発のタイミングで、生命保険業界の窮状を見かねたGHQの保険監督官であったロイストン氏は、生命保険協会に「生命保険の月」を提案します。米国には「インシュアランス・ウィーク」という生命保険の普及宣伝の週があり、大統領がラジオを通じて生命保険の必要性を宣伝するということまでやっていたそうです。これに倣って、再建記念行事として1947年11月を「生命保険の月」としました。

 このように、戦後の日本の生命保険業界は、米国の影響を大きく受けながら、先人の努力によって発展を遂げました。世界的に見ても、生命保険の市場規模は、第1位が米国で世界の20%、第2位の日本が16%を占めています。日本の生命保険市場は、中国、韓国、台湾、インド、オーストラリアの合計と同じ規模であり、世界的にも非常に大きな市場となっています。

 一方で、少子高齢化の進展を見据えて、近年、生命保険会社はアジアを中心にグローバルな事業展開を進めています。その中では、日本においても同様であったように、各国の社会保障制度を補完しながら、インフラ等への資金を供給する役割を担い、社会・経済発展への貢献が期待されています。

 さらに、グローバル化の流れでは、昨年、生命保険業界において米国の保険会社に対する大型M&Aが続きました。当社もアラバマ州のプロテクティブ生命をグループの一員としました。米国は世界最大のマーケットであり、人口の増加も見込まれる成長市場でもあります。戦後70年を経て、多くの点で価値観を共有する日米を機軸に据えた経営戦略は、多くの産業にとっても重要性を増していると実感しています。一方で、グローバル化を進展させると、国内や地域社会を軽んじているように受け止められてしまうこともあります。しかし、米国の保険会社の方々と接して感じるのは、地域社会との結びつきをとても大切にする姿勢です。これは、地域社会への貢献を大切にするロータリークラブが米国で誕生したことにも重なって感じられます。

 冒頭でご紹介したマッカーサー記念室には、詩人サミュエル・ウルマンの「青春」の記念碑があります。マッカーサーが座右の銘とした「青春」の詩は、戦後の政財界においても熱狂的なファンが数多くいました。アラバマ州のバーミンガム市にあるサミュエル・ウルマン記念館は、日米のファンが協力して寄付を集めて設立されており、日米友好の絆の一つでもあります。偶然にも、当社グループとなったプロテクティブ生命の本社もバーミンガム市にあり、私もサミュエル・ウルマン記念館を訪問しましたが、こうした日米友好の積み重ねのおかげで、当地での日本への感情も良好であり、大変助けになっていると感じています。

 最後になりますが、「青春とは人生の或る期間を言うのではなく、心の様相を言うのだ」と始まる「青春」の詩を詠む度に、ロータリアンにこそ「青春」が当てはまるように感じます。