卓話


地球対人地雷除去活動について

2007年5月16日(水)の例会の卓話をクラブ会報委員が纏めたものです

第2580地区対人地雷除去に関する特別委員会
常任委員(東京お茶の水RC) 
新陽(株) 代表取締役社長 土居岩生氏 

1.地区対人地雷除去活動の背景

 1998年から99年にかけて,徳増ガバナー,岡崎地区幹事のときに,東京RC会員の数人が発起人となってNPO「人道目的の地雷除去支援の会(JAHDS)」が生まれました。東京RCがいち早く支援を決め,2580地区にも特別チームが作られ,それが現在の地区対人地雷の除去に関する特別委員会に続いてきています。

当時の国際関係の動きとしては,1980年に「通常兵器の使用禁止又は制限に関する条約(C・C・W)」が採択され,1996年に,改めて再度会議が開かれ,地雷に対する制限と禁止事項が示されました。
その要点は次のとおりです。

1)国と国との戦争だけではなく内乱にも適用する。
2)探知不可能な地雷は製造禁止。
3)一定期間が過ぎたら自己破壊する機能をつける。
4)地雷埋設の地域と場所を示す図面を保管しておくこと。
この改正地雷議定書に,対人地雷全面禁止派の国々が不満足の意を表し,1997年10月にオタワで有志国とNGOが開催した会議で対人地雷禁止条約が採択され,1999年に発効しました。この条約の要点は,開発,生産,使用,輸出,貯蔵のすべてを禁止し,締結国同士で国際協力を行い,違反には査察機能をもつという,積極的なものでした。

対人地雷禁止条約は,自国の保有する貯蔵対人地雷は4年間で処理する。埋設した地雷は10年間で除去するという,全体として人道法的性格の強い条約であります。

日本の自衛隊も,2003年2月に,100万個の対人地雷を処理いたしました。

ロータリークラブの特別委員会の発足が,このような国際条約の動きと併行しているという点で注目すべきことであると存じます。
  
2.第7次クリアランドの視察

2007年2月8日から12日まで,第7次クリアランドの視察と第8次クリアランド契約の打ち合わせのために,カンボジア, バンティメン州に行ってまいりました。今年は20名の視察団でしたが,そのうち8名が沖縄RCのメンバーでした。
 
第1次から第7次までの援助資金は約1億円になり,除去した面積は約920,000屐27万9千坪)です。安全な生活が送れるようになった人は4,061名,948家族です。

ちなみに,カンボジアの国土は181,000キロ屐F本の約半分です。その中で地雷や不発弾で汚染されている面積は1,500キロ屬ら2千キロ屬△襪箸い錣譴討ります。過去10年間で地雷や不発弾を処理した面積は,170キロ屬任后C噂磴坊彁擦靴討癲じ100年かかるわけです。

 現在,カンボジアで活動している組織は4つあります。カンボジア政府の陸軍,我々のパートナーであるイギリス系のヘイロートラスト,同じイギリス系のMAG,それからカンボジア政府系のCMACの4つですが,カンボジア政府の陸軍はほとんど仕事をしておりませんから,実質的には3つです。

ヘイロートラストは1200人,CMACが2400人,MAGが500人という態勢で,10年間で,170キロ屬留染地域を処理したということになります。

ヘイロートラストは,スウェーデンとかアメリカなどの国からの援助を受けておりますが,民間からの援助は,日本の2580地区からだけだと思います。

CMACは国として仕事をしていますので日本の外務省とJMASがかかわっています。 MAGは難民を助ける会ですから,日本もその面から関与しています。

JMASというのは,地雷や不発弾を処理できる技術を身につけた自衛隊OBが,5年前に手弁当で作り上げた組織です。本来なら,2580地区として日本のJMASを支援するという形がよいのですが,当時はまだできていなかったのでヘイロートラストと組んだわけです。

このように,3つのNGOに,日本はなんらかの形で関与しています。日本が対人地雷禁止条約に率先してサインした方針に従って関係各国に援助するという姿勢の顕れです。

3.地雷の歴史

 1919年の第1次大戦で,イギリスが開発した対戦車用地雷が初めて使われました。
1943年の第2次大戦のヨーロッパで,対戦車用地雷と対人地雷が使われました。
対人地雷がたくさん使われるようになったのは,1950年の朝鮮戦争の時であります。この時は,明らかに,戦車用の地雷を除去しようとする人間に対して,それを妨害する目的の地雷が作られました。

対人地雷の特徴は無差別であるということです。眠れる兵士と恐れられる残存性があります。悪魔の兵器といわれるほど残虐性があります。製造値段がやすいという安価性は,貧者の守護神といわれる所以です。

対人地雷は大きく分けて2種類ありまして,一つは,衝撃式といい,10グラムぐらいの火薬が入っていて,膝から下を損傷させる目的で使用されます。

もう一つは,跳躍破片式といい,1メートルぐらい飛び上がって破裂します。人を殺傷することが目的です。

これらの地雷を処理する方法は,ローラーを転がしていく方法が普通ですが,凹凸のある地面では制約があります。集めた地雷は爆薬を抱かせて爆発させます。
探知の方法としては,磁気を使って探知する金属探知機と電波を使って探知する探知機とがあります。

電波を地中に流して,その流れを解析して地雷を発見するというものです。これが,あのJAHDSで話題になった探知機です。

今回,第7次の視察に行った時に,磁気と電波を使った探知機の開発ができ,米軍がヘイロートラストに1台提供していました。

 鉾と盾の関係がある秘密機械ですから見せてくれませんでしたが,ヘイロートラストからは「磁気と電波を使って解析して,そこに地雷があるかどうかを分析する探知機です。試行的に使っています。」という説明がありました。

最終的には,100%の除去が必要です。軍事用は自分たちが進むところだけを除去すればいいのですが,人間が生活するには100%の除去が必要です。最終的には人間が棒を使って処理する方法しかありません。

現在,埋設されている量がいちばん多い国はエジプトです。いつも問題になっているイラク,イラン,アフガンがこれに続きます。

製造している国は,条約に参加していないアメリカ,ロシア,中国,キューバ,ユーゴ,トルコ,エジプトといった国々です。

4.ロータリーの奉仕
カンボジアは内戦とか外国の圧力によって,他国の援助に頼らざるを得ない国になっています。暖かい援助をしたいと思います。

ロータリーの奉仕は「恵む奉仕」ではなく「人を育てる奉仕」です。現地の方々と会話をして,国の事情に合った自立を支援することが目標です。今回の視察でインタビューした義足の男性の話をご紹介します。

 「痛いのはこりごり,地雷もこりごり」
 3年前に炭を作るために木を探しに,学校裏の方を奥へ奥へずっと歩いて行った。
事故はその時に起きた。おれは地雷に片足をなくした。地雷の危険があることは判っていてもかまってはいられなかった。

木を探さなければ炭が作れない。炭が作れなければ売るものがない。
 売るものがなければ食べられない。食べられなければ死ぬしかない。

あっという間に足を吹っ飛ばされて片足になった。外国のNGOリハビリセンターに連れていかれて,義足を作ってもらった。最初はうまく歩けなかった。膝下と義足がなじまないし,そのままでも痛いのに,それで歩くなんて地獄だ。2カ月も訓練を続けて少しずつ歩けるようになった。

今じゃ,ゆっくりなら歩けるし自転車にも乗れる。でも,まだ痛い。うまく言えないが,寝ていると,ないはずの足の先まで痛いんだ。判るか?判らないよな。

今?貧乏なのは同じさ。食事は朝と夕方の2回。腹一杯にはなれない。でも慣れてるんだよ。夕方食事がすんだら,さっさと寝ることだ。いつまでも起きていると腹が減るからな。毎晩7時ごろには寝るよ。

少しずつ地雷も減ってきて歩ける範囲が広がることはありがたい。もしもあの時,地雷がなければ…こんな姿にならなくてすんだだろう。おれは片足になって苦しんで…。どこにも行き場がなくて…ここに生きているより他はない。

 同じ住むなら安全な方がいいのは当然。地雷取るには金がかかるし,おれたちにはその金もない。カンボジアの金持ちはおれたちを助けない。(両手を合わせて)ありがとう。