卓話


少しパキスタン、ちょっとイスラーム

2021年12月1日(水)

(株)安藤公秀
代表取締役 安藤公秀君


 1982年に大学卒業後、三菱商事に入社し、2019年11月に定年退職するまでの38年間にわたる会社勤め人生のほぼ全てがイスラーム圏とのビジネスに関わってきました。そしておおよそ三分のニの28年間をイスラーム圏に実際に駐在しました。エジプト、サウジアラビア、イラク、インドネシア、マレーシア、そしてパキスタンです。アラビア語とインドネシア語を嗜みます。イスラーム圏が好きで、ムスリムが好きで、パキスタンが好きで、パキスタン人が好きな男でございます。

 まずはパキスタンについてです。皆様に世界で人口の多い国ランキングをお尋ねすると、上から順番に中国、インド、米国、インドネシア、までは数えられますが、その先以降がだんだん怪しくなります。つい最近までは、第5位はブラジルでした。そして第6位がパキスタンでした。が、2年前にパキスタンで行われた国勢調査も踏まえた結果、今はパキスタンが第5位と認知されています。2億4000万人です。日本の約2倍になりますね。近年中にインドネシアを抜いてパキスタンが世界第4位の人口になるであろうと言われています。

 そしてパキスタンは若い国です。パキスタン全人口の年齢中央値は22歳です。日本は49歳です。パキスタンは「日本の2倍の人口があって、日本の2倍も若い国。」であると覚えておいていただけるとありがたいです。

 二つ目、パキスタンは、親日国です。皆様はインドとパキスタンが微妙な関係であることはご存知で、それは正しい認識です。そして対インドという意味ではパキスタンと中国が親密な関係であることもご存知で、これもまた正しい御認識です。ただし、ここで、パキスタンは親中だから反日だ、と思われてしまう傾向があるのですが、それにつきましては、「親中=反日」という公式は必ずしも正しくない、と此処で皆様に申し上げたいのです。パキスタンは親中であるとともに、大の親日国なのです。

 私はパキスタンとは20年超の付き合いですが、今まで日本が嫌いというパキスタン人に会ったことがありません。歴史上も戦後の日本経済復興の歯車の一つであったのは繊維産業ですが、パキスタンには日本向け綿花や綿糸の輸出を通じ、日本と共に育ってきたという意識があります。パキスタンで走っている自動車の9割強が日本車です。

 イスラームについてもお話しします。世界の全人口は現在78億人と言われていますが、そのうちの約25%がムスリムと言われています。約20億人ですね。世界最大宗教は基督教ですが31%で24億人ですね。仏教徒は7%弱と言われていて、5億人強ですね。近未来的にはイスラームが世界最大宗教となることは確実です。イスラームに関する知識を深め、ムスリムの方々と理解し合うことは、必要なことなのです。そしてムスリムとロータリアンには大きな共通点があると考えています。それは「奉仕の心」です。

 ムスリムとして五個ある宗教的義務の中に喜捨(ザカート)があります。ザカートの言葉の原意は「増加」であり「浄化」です。現世での財産の一部を差し出すことにより現世の罪の幾ばくかを「浄化」し、来世の報酬を「増加」させる意味合いがあるのでは、と小生は理解しています。

 そしてザカートのように宗教的義務ではなくて、自主的自発的に行う喜捨のことを「サダカ」といいます。言葉の原意は「信用」、「信頼」、「友情」です。富むものが貧しきものへ施すことを意味していて、ザカートと共にムスリムの宗教的精神基盤であり、実際に慈善事業に対する意識はとても高いです。パキスタンにおいても財を成した資産家たち殆どは独自で、あるいは共同で、慈善財団や団体を持っていて、病院や学校の経営・運営を行ったりしています。