卓話


イニシエイションスピーチ

2013年4月17日(水)の例会の卓話です。

チャールズD.レイク 君
渡辺 元 君 

新たなグローバル経済のアーキテクチャーと
経営者・役人の品格

アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)
日本における代表者・会長
C.D. レイク 君

 米国発の世界的な金融危機を受けて構築されてきた新たなグローバル経済のアーキテクチャーの中で、国際金融規制や国際保険規制は大きく変容しようとしています。

 各国は、この背景にある世界の大きな潮流、すなわち、新興国の台頭とグローバルインバランス、アジア太平洋地域での地政学的リスクの増大、「国家資本主義」を巡る国際的な議論の展開、経済の更なるグローバル化の進展、そして、これらを受けたグローバルガバナンスの多極化・複雑化等に対応しながら、自国の国益を守るためのアジェンダセッティングを行い、国家戦略に基づく経済政策・対外経済政策の展開、更にはこれらと整合的な金融行政を実行しており、金融機関や保険会社もこの経営環境の大きな変化に対応しようとしています。

 世界的な金融危機を受け首脳会議に格上げされたG20サミットは「国際経済協力に関する第一のフォーラム」として公式に認知され、このG20が指令塔になる形で、金融安定理事会(FSB)が中心となり、銀行・証券・保険の各分野の国際基準設定機関[保険では保険監督者国際機構(IAIS)]とともに包括的な国際金融規制改革を進めています。重要なことは、各国の利害が調整された形でより強化された国際基準が策定され、世界中のあらゆる国々で国際基準と整合的な国内規制を導入することが求められるようになってきているということです。

 各国の政府代表やG20、FSB、IAISなど国際機関の関係者がグローバル経済危機の教訓を生かし、新たな国際金融・保険規制の構築に最大限の努力をしていることを評価したいと思います。同時に、この政策論議に参加する立場で考えることは、新たな金融・経済危機を防ぐ為には、市場の行き過ぎからくる「市場の失敗」そして「政府の失敗」が起こるというリアリズムを前提に、経営者や政府関係者に、極めて高いレベルの誠実さ、つまり「至誠」を市場機能の一環として求めることが必要ではないかということです。

 「市場の失敗」に関する議論は経営戦略のあり方にも影響しています。ハーバードビジネススクールのマイケルポーター博士が提唱している「共通価値の創出」(CSV)もその一つです。日本でも同様の考え方が、近江商人の「三方よし」や渋沢栄一氏の「論語と算盤」のように、古くから存在しています。

 経営者に「至誠」や「CSV」を求めると同時に、「市場の失敗」を適切にコントロールする政府の介入は絶えず必要です。ただし、政府も失敗します。「政府の失敗」、例えば、利害関係者がそれぞれの思惑で政策立案過程に介入することで非効率を発生させたり、不適切な裁量行政によって政策目的に逆行する結果を生むこともあり、こうした「政府の失敗」に対するチェック&バランスが可能な、市場と政府の役割に関する適切なプロセスに基づいた金融行政を実行することも更に求められています。

 経営者も役人も、新たなグローバルアーキテクチャーの中で求められる価値観、品格といったものを、絶えず自身に問いかけていかなければならない時代に今まで以上になってきているのだと思います。

 「品格とは何か」を考える上では、新渡戸稲造先生の「武士道」の中に示されている、日本人が大切にしてきた「ノーブレス・オブリージュ(no-blesse o-blige)」の姿がヒントになると思います。これは、普遍的な価値観として国際社会がリーダーに求めているものでもあります。日本ではこうした新渡戸先生や渋沢先生の教えだけでなく、先日NHKに再登場した「大岡越前」や、「水戸黄門」や「遠山の金さん」といった代表的な時代劇の中においても、商人や役人に求められる模範的な「品格」、「あるべき姿」、「至誠」といったものが、長く主要な題材として扱われてきており、日本人の伝統的価値観として市民のエンターティメントのなかに根付いていることを証明しています。

 私にとって日本は愛する故郷です。その日本を愛する一人として、日本で最も長い歴史をもち、数多くの大先輩がいらっしゃる東京ロータリークラブに入会できましたことを大変名誉に存じます。今後とも皆様のご指導・ご鞭撻をよろしくお願いいたします。

生活を支える水

渡辺パイプ
代表取締役社長 渡辺 元 君

 私たちが生活をする上で欠かすことのできない「水」。人間の体の60%は水で構成されており、生きていく上で非常に大切な要素となっております。

 我々の地球は「水の惑星」と呼ばれておりますが、地球上に存在する水の約97.5%は塩分を含む海水で、人間が使えるとされる淡水はわずか2.5%しかありません。そのわずかな淡水の中でも約70%は南極の氷や高山の氷河。残りの30%も大半は地下に浸透しており、実際に我々が利用できる河川や湖等の水は地球に存在している総量の0.008%と云われております。この微量で貴重な淡水のおかげですべての動物や植物が生存できているのです。

 その中で淡水を一番消費するのは人間です。そのうちの約70%が農業に使われています。

 こういった状況の中、現在の地球上では人口の増加にともない水の需要が増え続けています。2000年には4兆トンであった世界の水利用量は、2025年には5.2兆トンと1.3倍になると云われています。

 地球上で循環する水の量は一定です。そこで今後予想されるのが水不足です。

 現在、世界人口70億人の13%、約10億人がきれいな水を手に入れることができません。さらに5歳未満の子供5人に1人は汚れた水の環境で育っています。そして汚れた水や悪い衛生環境が原因で毎日4000人の子供たちが命を落としていると云われています。

 国連が2007年に発表した「第4次地球環境概況」によれば、人口増から安全な飲料水が利用できない人が増加し続け、2025年には18億人(世界人口4人に1人の割合)が極度の水不足地域で生活し、世界人口の2人に1人はきれいな水が飲めない環境で生活するという予測です。水は世界的に希少な資源となり、20世紀の石油の戦争から21世紀は国と国の水の争いに発展する可能性があります。

 こういった世界状況の中で、日本は水を自給自足することができ、ほとんどの国民がきれいで安全な水を利用することができます。それを支えているのが上水道です。

 その歴史の始まりは江戸時代の神田上水、玉川上水ですが、多くは池や川の水を利用したり、井戸から水を汲み上げたりしており、さらには排水の設備もなく不衛生で疫病発生の原因ともなっておりました。

 そして1887(明治20)年のコレラの流行したのをきっかけに、横浜でイギリスから輸入された水道管が敷設されました。これが近代水道のはじまりと云われています。

 そして戦後、経済成長に伴って生活に必要なインフラとして急速に整備され、1957年に水道法が制定されました。「豊富、低廉、清浄」の3大目標が掲げられ、1950年には26.2%だった水道普及率は、現在では97.5%へと飛躍的に伸びました。水系伝染病はほとんど撲滅され衛生環境が大きく改善し、ほとんどの国民が「きれいで安全な水」を利用することができるようになりました。

 さらに、日本の技術力は目覚ましい進化をしており、水道管の漏水率では、世界の大都市の平均が10%前後といわれる中、東京都では3.6%を誇り、新しい浄水技術も生まれています。

 今後は高度成長期に敷設された多くの水道管も更新時期にきていることや、阪神淡路大震災や東日本大震災で思い知らされた耐震化の推進など、まだまだ上水道が進化する要素はたくさんあります。

 資源のほとんどを輸入に依存している日本ですが、国土の7割が山に囲まれ、水(淡水)だけは唯一自給自足できている資源であります。この豊かな水を次世代に引き継ぐために、山や川の大切さを伝え自然環境を守っていくことが大事であると思います。