卓話


イニシエイションスピーチ
運送,物流,そしてロジスティクス

2013年8月21日(水)

日本通運
代表取締役会長 川合正矩君


 東日本大震災を契機に、「物流」がわが国の社会と産業を支える重要な役割を果たしているという認識が広まっています。

 そこで、わが国の経済成長に連れて、運送から物流、そしてロジスティクスへと発展してきた「物流」の変遷と課題についてお話し致します。

 戦後の昭和20年代は「モノ不足の時代」で、輸送力の確保が最も重要で、とにかく運べば良いという「運送の時代」でした。

 荷主の担当も工場の輸送課や倉庫課で、輸送課は運送だけ、倉庫課は保管だけしか考えない、「部分最適」のみ追求していました。

 昭和30年代に入ると、日本経済は戦後復興期から高度経済成長期へ大転換し、「作ったら売れる時代」が到来し、大量生産・大量消費が始まり、その頃、東名高速道路や東海道新幹線などが相次いで開通し、大量高速輸送時代の幕が明けました。

 この頃(1960年代)、輸送・保管・荷役・包装・流通加工・情報処理の各機能はバラバラに行われ「部分最適」の弊害が目立ち、各機能の統合による効率化が求められ、「物的流通(Physical Distribution)=物流」という概念が米国から日本に入ってきました。荷主の担当も、輸送課・倉庫課から物流部に変わり、運送・保管という「部分最適」から物流という「部門最適」の時代になりました。

 二度のオイルショック(1973年、1979年)を経て、経済が高度成長から安定成長に移行し「作っても売れない時代」になり、市場の需要に応じて商品を供給する、多品種小量生産が始まりました。

 そこで、原材料・部品の調達から生産、社内の商品移動、販売、さらに使用後の商品の回収廃棄までを統合して効率的に管理をする「ロジスティクス」という考え方に至り、運送の「部分最適」から、物流の「部門最適」を経て、ようやく「全社最適」になりました。
 最近は、企業間競争激化により「ロジスティクス経営」を取り入れ、経営革新を進める企業が多くなりましたが、その中でも課題が出てきました。

 その一つは、生産や販売先の海外展開に伴い、地球規模で最適地での調達・生産、最適地へ販売をする「グローバル・ロジスティクス」と言う考え方が必要になったことです

 さらに、企業内での効率化に限界が訪れ、調達先や販売先まで含めた企業間ロジスティクスの展開が必要になり、「メーカー・卸・小売」を、一つの企業のように繋ぐ「サプライチェーン・マネジメント」が生まれました。これは「全社最適」を超えた「チェーン最適」と言えます。

 さて、現状はどうでしょうか。国際物流の視点では、アジア近隣諸国が高い経済成長と、国策による物流インフラ整備によって産業の競争力を高めてきた一方で、日本は競争上劣位な状況に陥っています。

 国内でも、港湾、空港など、「ハード」の数だけは整備が進んできましたが、「ソフト(関税、行政手続き、港湾・空港使用料等)」については、「高コスト体質」のままで、グローバルなロジスティクスハブ機能を果たすという面では国際競争力が削がれています。

 また、高速道路利用料、物流施設用地取得費用、二重の自動車税制、燃料費、環境負荷軽減対策等、事業運営に係る仕入コストが諸外国に比べて高いことも悩みの種です。

 この6月には国土交通省と経済産業省により省庁横断的に策定された物流施策に関する政府指針である「総合物流施策大綱(2013-2017)」が閣議決定され、「国内外でムリ、ムダ、ムラのない全体最適な物流の実現」を合言葉に方向性が示されました。今次大綱が、わが国産業の競争力強化、ひいては国民生活の向上につながることに、大いに期待しています。

 物流を等身大で見ていただくためにも、今次大綱を契機に、国、荷主、物流事業者の連携・協力による取組み強化が、産業競争力強化と国民生活の向上につながるということを、広く社会に伝え理解を得ていくことが必要であると考えています。

 


東北すくすくプロジェクト
チャレンジ100委員会報告

2013年8月21日(水)

チャレンジ100委員長
黒田康裕君

 東京ロータリークラブ創立80周年記念事業として10年間にわたり取り組んだ地雷除去プロジェクトの成果を受け、創立90年からの10年、つまり創立100周年に向けてのチャレンジ100プロジェクトを立ち上げ、その企画を進めてまいりましたところ、東日本大震災が発生し、チャレンジ100プロジェクトは被災地の復興をテーマに取り組むことになりました。調査、検討の中でいろいろな案が検討されましたが、最終的には「新しい命への支援」がロータリーらしいとのことになり、「東北すくすくプロジェクト」として2011年7月にスタート致しました。

 初年度は被災直後ということもあり、まずは施設が被災した陸前高田の子育て支援センターの再建に取り組みました。ロータリー東日本大震災復興基金から1100万円を頂き、当クラブと米国アードモアRCからの1000万円寄付金1,000万円をあわせ、合計2,100万円を拠出し、2012年2月4日に竣工いたしました。その贈呈式には当クラブから当時の弦間会長をはじめ20名以上の会員が出席し、また戸羽陸前高田市長、伊東陸前高田RC会長も出席されました。それらは報告書という形でまとめて、2580地区内の全クラブにお渡しいたしております。

 復興基金や東京RCからの多額の貴重な資金のご協力により完成したこの陸前高田の子育て支援センターは、被災地のお母さんと子供のコミュニティとしての機能はもとより、仮設住宅のお年寄りとの交流など地域コミュニティ拠点としての機能や各種イベントの会場としての利用に留まらず、お母さんたちの地域貢献のための自主的なサークルが生れるなど、当初想定もしていなかった機能を果たしています。

 東北すくすくプロジェクトの活動は2年目に入り、支援活動地域を陸前高田から気仙沼に広げていますが、被災地を取り巻く状況は大きく変化してきており、震災直後は被災地に対して、多方面から金銭的、物的、人的な支援が大規模に行われましたが、残念ながら昨年3月をもってその支援の大部分は終了し、被災地は他地域からの大きな支援は受けられない状況になっており、被災地支援は新しい段階に入りました。

 これらを踏まえ「東北すくすくプロジェクト」は被災地への直接的支援から「自立」を目指しての支援に方向を転換しています。これからは被災地の人たちが自らの組織を作り、補助金等の申請も自ら行っていかなくてはなりません。私たちは被災地のそのような活動の支援を行っています。そのためには、被災地のママと子供を支援する人材を育成し、その人材を中心に母子のコミュニティを作り、そして出来上がった組織をネットワークでつないでいくことが重要だと考え、活動2年目に入った前年度は、気仙沼において「人材育成」としての各種セミナーの開催、「コミュニティ作り」を目的とした「ママサロン」の開催を継続して行っております。

 この気仙沼における我々の活動は、ロータリー財団の未来の夢計画に合致しています。財団本部は、未来の夢計画の重点目標の「母子の健康」の具体的なプロジェクト例として、「母子の健康の専門家やリーダーの研修及び研修者を養成するための研修」および「母子の健康に関連する既存の地域社会の活動や地元の女性団体の能力向上活動」を挙げています。この財団本部の見解と、被災地の実態に沿った我々の活動が一致したということを踏まえ、チャレンジ100委員会ではロータリー財団のグローバル補助金を用いたプロジェクトとすべく準備を進めています。

 具体的には気仙沼において、母子のコミュニティの場である「すくすくコミュニティカフェ」(仮称)の整備を計画しており現在具体的な改修計画等の詰めを行っている段階です。そして、このグローバル補助金の申請には海外のロータリークラブの資金協力が必須であり、これまでに双子クラブのワシントンRCや米国ペンシルバニア州アードモアRCからの資金協力が実現しており、他にも当クラブの田中栄次郎さんのご尽力によるドイツRC本部や太田清文さんのご尽力による韓国3640地区との交渉も進行中です。

 今年度も東京RCの多くの委員会の協力をいただき、地区内のクラブそして世界のクラブと東北被災地を繋ぎ、被災地における「新しい命の支援」をより強く進めていく所存です。引き続き皆様のご理解とご協力を宜しくお願い申し上げます。