卓話


インターネット新時代を楽しむ

2014年10月15日(水)

東京ベイネットワーク
取締役 千種忠昭君


 インターネットを楽しむ前にまずインターネットの基本メカニズムを簡単に説明します。パソコンやスマホの中はデジタル、すなわちすべての情報が0と1で表されています。メールを書いても文章は0,1の列で表されます。この列を一定の長さに区切り、これに送り先のアドレスを付けて情報の粒粒、Packet、にして通信線に送り出すとインターネットになります。受け取り側のパソコンでは次々と送られてくるPacketを再構成するとメールの文章が現れます。

 インターネット通信網は、多くのノード(結節点)に中継用コンピューターが繋がっている巨大な網の目のようになっています。通信網に送り込まれたPacketはこの中継用コンピューターに行き着き、コンピューターがPacketの持つアドレスを判断して、こらち、あちらと伝送ゲーム的に送り出して、最後に宛先のコンピューターにたどり着きます。これを瞬時に行うのがインターネット網です。

 インターネットとこれまでの電話の違いは、電話を架けている時、話し相手との間は物理的に電話線がつながっていますが、インターネットでは通信線の中をPacketが行き交っているだけですから、同じ通信線の中を多くの人のPacketが通り抜けることができます。このため通信回線が革命的に有効利用されるようになり、世界のどこと連絡してもほとんどコストが掛からずに、いっぺんに多くの人がネット通信できるようになりました。

 さらに、インターネットの重要機能であるworld-wide-web( www.)が1990年に発明され、これにより自分のパソコン上から世界のどこのパソコンあるいはホームページでも簡単にたどり着くメカニズムが出来上がりました。またyahooやgoogleなどの検索エンジンが発明され、今日の様に簡単にネット検索ができる便利な世界が広がりました。

 インターネットがこれほど広く普及した結果、2つの特徴が今日の社会に劇的な変化をもたらしていると考えられます。第一の特徴はインターネットでは全世界の人々が瞬時にほぼ無料で互いに接続できることです。第二は世界の誰もが平等に知識創造に貢献する機会を作っています。この特徴がもたらす影響の実例をいくつか挙げておきます。

 Social Network, SNSが急激に広がりつつありますが、その広がる速さを日本の総人口1億3千万人と比較して理解してください。Facebookは2004年に生まれてから10年で、月間の利用者数が13億人になりました。安倍首相も使われているTwitterでは現在全世界で一日当たり5億回のつぶやき、Tweetが行き交っています。さらに若い人が良く使う携帯の無料通話アプリ、ラインは2011年3月の東日本大震災の経験から急ぎ開発され6月に利用が始まりました。その後、わずか40カ月で4億人を超える人が登録し、現在は5億人を超える人が使っていると言われています。

 次に世界の人々が自由にかつ平等に知識創造に参加している実例を挙げます。インターネット上の百科事典・ウィキペディアは大変便利なものですが、これを作るのに、延べ19兆人が報酬ゼロのボランティアで3300万件のテーマにつき記事を書いています。また、これからの企業の在り方を大きく変えると言われているのがクラウド・ソーシングです。これはネット上で不特定多数の人々が様々な製品やサービスの開発に参加することを言い、すでに大企業も多数利用し始めました。アメリカのあるベンチャー企業の場合は全世界から3万人の技術者やデザイナーの参加を得て、新しい部品の設計から始まって全く新しい自動車の開発を進めているそうです。

 SNSの広がりは若い人ばかりでなく我々にも新しい付き合いのあり方を提供してくれています。アメリカのある調査で2009年からの1年間で65歳以上のSNS利用者の数が13%から26%へと倍増したと言う記録があります。このおかげで私もこれまで疎遠だったアメリカの友人と連絡が付き、今度訪問することになりました。また知識の世界に身を置いてみると、抵抗感なく入ることができ、むしろ新しい知識が周りにあふれるように降ってきて心地よい気持ちさえいたします。素晴らしい美術展が数多く開かれますが、人が多すぎて良く見られないこともあります。家でiPadを使えば、画面いっぱいに見たい芸術作品を詳細に見ることができます。インターネットの世界はこれからも急激な変化を遂げると思いますが、自分なりの付き合い方を見つけてこの社会の変化を楽しんでまいりたいと思います。


IT四方山話

2014年10月15日(水)

TIS
相談役 岡本 晋君


 ITと聞くと「専門家にお任せですよ」と言われる方が、経営者のほとんどのような気がします。でもこのような姿勢が「日本はITを戦略的に活用していない」という評価につながっているように思います。ITは確かに専門性を高度に要求されることもあります。でも「こういうことは出来ないのか」「こういう使い方をしたい」といったことをどんどん要求することは出来るでしょう。大企業はほとんど情報システム部門を持っています。一所懸命「このサービスのスピードを上げよう」「もっと細かい分析をするには、あとどんなデータをとろうか」と考えます。でもこれはイノベーションではなく、事務の合理化、あるいは事務処理の精緻化です。結果は目に見えるわけですから、担当部署としては達成感があります。また広報的にも成果を誇れます。でもこれが戦略的なIT利用でしょうか。戦略的なIT利用のためには、とにかく経営者の方々は事務という観点を忘れ、もっともっと訳のわからない、ぼやっとした要求を情報システム部門に出してください。それが一番の方法です。

 さて、今IT関連での話題の中でよく聴く言葉が3つあります。セキュリティー、クラウド、ビッグデータです。今日はこの3つに絞ってお話してみます。

 先ずセキュリティーです。大きく2つの状況があります。1つは盗聴です。ドイツのメルケル首相の電話まで盗聴されていたと言うことで大問題になりました。これは電話の話ですが、コンピュータへ侵入して情報を盗むと言うのが本来のハッカーです。わが社には国際的に有名なホワイトハッカーがいます。彼に言わせると絶対に破られないシステムと言うものはないそうです。でも、もしも誰かが侵入すれば必ず痕跡が残るので、それを調べて即座に補修するしかないそうです。日本ではハッカーによる攻撃よりずっと多いのが、内部による情報漏えいです。日本人は基本的に性善説を前提にして考えますから、この内部犯行にはどこの組織も大変弱いと言わざるを得ません。社員の退社の場合、退社する日までPCが使える例が多いようですが、考え直す必要があると思います。

 次の話題はクラウドです。これも日本人の特性がよく出ている状況です。クラウドの意味は文字通り雲です。今利用しているITのシステムセンターは雲の上なので、どこにあるのかわからないと言うのが原義です。センターは地上にいる我々ユーザとは無関係だ、というのがクラウドシステムなのです。ここでまた何でも自分で確認できないと気がすまない日本人の性格が出てきます。クラウドのシステムが始まった時、全体の20%ぐらいはクラウドに移行するだろうと言われていました。しかし日本の現状は一桁の下のほうです。しかもプライベートクラウドと称して実質的に個別システムのままのものが多いようです。コンピュータセンターがセキュリティーに責任を持つと言っているにも関わらずです。

 最後がビッグデータです。1件1件は個人のデータですが、個人の行動嗜好を調査するのではなく、データ全体をマスとして捉え傾向値を調べるものです。これもメディアの一部が、個人の特定ができるのではないか、と言う記事を出したためでしょうか、利用が広がっていません。なんとなく気持ちが悪い、と思うのならポイントカードなどは使わなければいいのです。優待は受けたい、だけどデータは一切使ってもらっては困ると言うのは少し勝手過ぎるのではないでしょうか。現在、多くのデータは収集されDB化されています。このIT社会で個人の行動足跡を全て消し去ることは出来ません。あまり神経質にならずITの世界とうまく調和していきたいものです。

 最後ですが、もしも皆様の会社のIT利用が情報システム部主導であれば、情報システム部は廃止すべきであります。これは極論ではありますが、ITを戦略的に利用しようとお考えであれば、少なくとも経営者自らが会議をリードされ、ITの使い方を指示されるべきと信じます。