卓話


イニシエイションスピーチ

2010年10月27日(水)の例会の卓話です。

樋口公啓君
川鍋一朗君 

世界最高のタクシーサービスを目指して

日本交通公社蝓
代表取締役社長 川鍋一朗 君

本日は東京のハイヤー・タクシー業界が目指すべき「世界一のタクシー」について,お話させていただきます。

 今年8月に発表されましたホテルズ.comというサイトの「世界タクシーランキング」によると,東京は3位であり,僅差で2位はNY,そしてダントツの1位はロンドンでした。
したがって,「打倒ロンドン」が世界一への目標です。

 タクシーの提供価値の第1は,「すぐ来ること」です。ロンドン2万・パリ1万5千・NY1万2千をあわせても東京の5万台の方が多く,人口1人あたりでもナンバー1。欲しいときに「流し」ですぐに拾える東京は,世界でも稀な便利な都市と言えます。

 流しだけでなく,タクシー無線も進歩しています。5年前に無線がデジタル化し配車効率がアップした結果,東京でタクシー需要が減り続ける中,無線は10年前の140%になっています。

 また,このデジタル無線には比較的大きな投資が必要であり,小さい会社は続々と大きな会社ののれんを借りてフランチャイズになっており,技術の進歩が,300社以上ある東京のタクシー会社の再編を促しています。

 さて,タクシーの提供価値の2番目は,「良いタクシーであること」です。車のきれいさやマナーではロンドンを既に上回っていると思いますが,どうしても勝てないのが地理です。東京でも座学と実習で1週間ほど勉強するのですが,なかなかロンドンに勝てません。そこで,東京では「黒タク」というのが生まれました。ある程度ベテランで,道を知っている乗務員を選抜して乗せていますので,黒タクを選んでみてください。ロンドンに引けはとらないと思います。

 タクシーの提供価値の3番目は,価格です。東京は高いというイメージがありますが,国土交通省の内外価格差調査によると,実は初乗り2kmでも,2,000円程度の5kmでも,ロンドンより東京の方が安い,という結果です。ちなみにNY・フランクフルト・パリと比べても東京は遜色なく,チップもありませんので,少なくとも先進国の中ではお得だと言えましょう。

 また,オープンしたばかりの羽田国際ターミナルでは,定額運賃という新しい取り組みをはじめたばかりです。例えば,私の自宅の下落合から羽田まで定額6,000円ですので,通常のメーターより1割程度安くなっています。これを手始めに,今後は,乗り合いタクシーや,初乗り1kmで400円など,色々と工夫の余地があります。

 タクシーは構造不況と言われておりますが,今でもタクシーで移動する人数の17倍の人が自家用車で移動しており,そのうち1人でもタクシーに乗り換えれば,それだけでタクシー業界は今の2兆円から4兆円になります。都会では自家用車を手放してタクシーを使おう,という方も増えつつあり,希望をもっています。

 最後に,ハイヤーについても一言。自家用運転手というのは良いときは良いのですが,近くにいるがゆえに,ちょっと気になることがあってもなかなか注意しづらいものです。そういう時私は,週末のゴルフだけ,スポット請負と申しまして,1日だけ別の運転手の派遣を受け,頼んでトランクや窓などをキレイに清掃させます。月曜日に自分の車に乗った運転手はライバルの出現にすぐに気づきますので,翌日から態度がよくなります。単純ではありますが効きますので,ぜひご活用下さい。

 全国のハイヤー・タクシー運転手は40万人,ほとんどが50〜60代の一家の大黒柱ですから,家族を入れると100万人以上,つまり日本人の100人に1人はハイヤー・タクシー業界からのお給料で生活しています。雇用の創出で大きく国に貢献しているという社会的意義を胸に,この「一隅」を照らし続けたいと考えております。

 東京のタクシーがロンドンタクシーに勝てるよう,引き続きのご指導を賜りますようお願いいたします。