卓話


干支學による今年(丁酉)の動向

2017年2月1日(水)

暦作家 象英企画(株)代表
井上象英氏(東京恵比寿RC)


 今日は干支九星学を使い、平成29年がどのような年なのかを推測していきます。
 暦は、推古天皇の時代に中国から日本に入ってきて、神武元年に遡って作られました。今年は皇紀2677年で、暦にはそれだけの歴史があり、日本では自然周期学として発展してきました。
 干支の起源は殷の時代に遡ります。それぞれに意義と働きをもたせ、政治活動や天変地異を予測するに使われていました。孔子も孟子も暦を作ることに熟知していました。

 暦を作るにあたって重要なのが、「天(てん)干(かん)」と「地支(ちし)」と「九星(きゅうせい)」です。

 天干は十種類あります。甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸。1から10までの記号で、見えないものを量るための単位でした。日本では徴兵検査の判定区分や通信簿の評価、契約を結ぶ時に使われ、単位であると同時に順番を表します。

 地支は、方位と時間を表す単位で、子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉、戌、亥の12通りです。例えば、丑の三っ時は夜中の2時半を指し、午の刻は真昼で、午より前を午前、午より後を午後と言います。方位は北が子、午が南で、それを結んだものを子午線と表現します。

 干と支を組み合わせたのが干支学です。そして、十干と十二支が気学でいう定盤に配置されています。九星、易も組み込まれ、組み合わせは大別して36、60、180通りあります。実際に歴史が繰り返したかどうかは180年前まで遡らなければ検証できません。

 九星には五行といって、自然界の構成要素として5つの気があるとされています。水を万物の基礎とし、木・火・土・金・水があります。一白は水、二黒は土、三碧は木、四緑も木で種類が違います。五黄は土、そして、六白は金、七赤も同じ金ですが、貴金属を表します。九紫は火です。

 十干(天干)は太陽の作用、10日に一巡する天の気で、上旬・中旬・下旬という言葉があるように、それぞれ10日ずつ、一ヶ月が30日で構成されます。幹を意味し、気候や人の精神面に影響するとされています。十干と五行には、自然界の構成要素が関連しあい、組み合わせに相性の善し悪しがあります。

 この他に陰陽があります。表と裏、あるいは凸と凹、日向と日陰、太陽と月、昼と夜など相反する二つの作用と大別されています。陽は「兄(え)」、陰は「弟(と)」と書き、本来の「えと」はこちらになります。昨年は、丙(火の兄)でした。

 十二支(地支)は季節の十二ヶ月であり、一年の周期現象です。12日に一巡する地の気です。一月は丑月で二月は寅月。寅月は木の性質を持ち陽の働きがあるとされています。支は枝を意味し、農耕や経済をはかるのに重要です。

 十干と十二支は決まった法則で配置されて天干地支といい、それに九星が配置されたものから推測するのが干支九星学です。

 今年は「丁酉・一白水気性」です。
 天干では丁、陰の星。そして、火の弟で南南西に位置し夏の終わり。本義は「あたる」で属性は「壮(さかん)」。象形では「釘」を象り、Aに対するBの対抗軸として新旧の衝突を暗示しています。新しいものができるためにぶつかり合うエネルギーは半端ではありません。また楚辞や詩経の大雅に「丁、當也」、史記・律書の説文にも「万物之丁壮也」とあるため、打ち砕く、あるいは打倒や改革の兆を表していると思います。

 酉は地支で10番目にあり、時刻では午後五時〜七時までの間。方位は西。季節は秋(9月)。収穫をするのは10月にあたり、9月は実る時期を表します。酉の字の象形は酒器で、酒の原字です。麹が発酵する環境も含め、その意義は「熟成」あるいは「配」、配は心を配るということで、「老いる」という性質も持っています。故事に「陽生酉仲、陰生戌仲」とあるように、万物の生成化育の循環を表します。酉と来年の戌の年は、新しい物ができあがる、今までなかったもの、価値観も含めて常識が非常識になり非常識が常識になるという周期。去年の秋ぐらいから来年の秋ぐらいまでがこの周期にあるように思います。

 古事記に由来を持つ桃太郎伝説は、サル、トリ、イヌを伴に連れて鬼退治をします。去年は申年、今年は酉年、来年は戌年で、まさしく邪気を払うための作業がこの3年間にあります。先ほど言いましたように常識が非常識になる可能性があり、改革や改善が腐熟にならないようにと思っています。

 そして、九星では一白。北に位置し、属性は水です。その徳性は「陥る」です。水は高いところから下へ流動し万物を潤します。天から降ってきた水も地下にたまる、あるいは空気中にもある。蒸発し、氷結もする。目に見えない働きがあり、硬い物になって岩をも砕く場合があり、水は非常に怖いとも言えます。易経に「水火既済」とありますが、火と水の作用は「巧業すでに成り 保ち難く 後乱れる」象で、一回まとまったものがまた分解して乱れて新しいものができあがる。まさしく一白も酉と同じような性質を持っているのです。それから、水は善悪共に働くことが特徴です。恵みの雨が降りすぎると大災害も起きるということです。

 今年の態勢は丁で、「一」と「亅」の合字で火気です。火は明かりとなりモノを照らし、暖を取り、煮炊きの用をなしますが、ぶつかることを表しますので、作用を誤ると、すべてを焼き尽くす大災禍を起こす暗示もあります。去年から今年にかけて火事が多く、噴火もありました。

 そして、「一」は前年(丙申年)の陽気で「亅」は新勢力の突き上げを象り、「丁」は「町」や「丁数」の意味と「丁寧」な、注意深さという意味をもつ多様な文字です。「伸」と「神」は、にんべん、ころもへんを取ると「申」。昨年の申年には、おおいに伸びるという意味があり、神、見えない力、自然の力を我々に見せるという意味がありました。そのリスクを象徴するかのように今年になっています。伸びようとするモノに対する歯止めや障害、神意に対する疑問と挑戦とも考えられます。

 態勢のもう一つは水です。酉は熟成を意味するため、未知の出来栄えに期待しますが、不安材料も多いのです。未だ政治も経済も完熟や腐熟にはなっていません。完熟して腐る一歩手前は一番うまみのあるところです。従って、今年はそのおいしいところをどうキャッチするかが重要かもしれません。皆さんの審美眼、察知する勘を生かしていただきたいと思います。

 水は「方円の器に従う」という柔軟性があり、どんなところにも流れるため、世界に向けた働きも忘れないで下さい。水の流れを「人やお金の流れ」「情報」とするならば、環境によっては善悪共に作用し、財政は滞り情報は隠蔽されます。隠蔽されたものが出てくる、明るみになるのは、火の特性です。東京はそうした周期にあり、大変な議論が起きます。

 態勢としては、「外需」から「内需の質を高める」ことを目指す年といえます。外に向かったグローバリゼーションを一度内に戻す、基本に帰るのが酉年。内需の質を高めるには、足下をしっかり見ることがとても重要だと思います。

 日本はどこに向かっているのか、自分の気をどこに向けたらいいのか、どのような人生を追えばいいのかも含めて、皆さんもぜひ丁酉を理解していただけたらと思います。

 干支・星が重なる過去の歴史を振り返ることはとても重要です。丁酉と一白水気性が重なった180年前は、天保8年で大塩平八郎の乱がありました。そして、酉年や一白年の傾向として一番気になるのが代替わりです。徳川家斉から家慶へ徳川家の代が変わる、明治節が制定され昭和になった、あるいは昭和が平成に変わったという代替わりの年周りです。広島、長崎への原爆投下、ロッキード事件、バブル崩壊、すべてが申、酉、戌の周期に集約しています。この3年間は、皆さんも留意していただいたらと思います。

 酉年や一白年の傾向は次のようになります。政治構造の再編や改革、常識の線引きが難しく、質が問われます。虚偽や秘密が露見します。特にそれは教育、医療に関係することが多い。東に八という悪い星がつくためです。それから南に五という星が回っており、歴史ある慣習や習慣にポイントが当たります。考え直すという意味でもあります。異種混合、成熟した新時代の幕開け。自然災害は年を選ばず。今は異常気象にあるため何があってもおかしくない年に入っているという意味です。

 今年のキーワードは、「抵抗力」と「完熟」です。完熟は実り時と理解して下さい。落ちるのを待つか、早く収穫して自分のものにするのかは自分次第です。落ちるのを待つのは自然に還元することになります。

 自分の星が何か、意味を理解するといいと思います。自分が今年どこに位置しているのかによって運気がわかってきます。今年最高に運気のいい人は、九、あるいは二という星を持った人です。八の星を持った人はこれからやっとやりたいことが見つかる、あるいは軸足を確保して第一歩を進めるといい年周りになっています。九という星が非常にいい運気になっていますから、その星を持っている人が近くにいたら、ぜひお友達になっているといい運気をもらうことができると思います。

  ※2017年2月8日(水)の卓話をクラブ会報委員が纏めたものです。