卓話


世界への架橋・米山奨学生


奨学生になって 

10月6日(水)の例会の卓話です。

(財)ロータリー米山記念奨学会
常務理事・事務局長
 宮崎 幸雄 君
米山奨学生 陳 秋梅さん 

第4027回例会
米山月間例会
「世界への架橋・米山奨学生」
(財)ロータリー米山記念奨学会
  常務理事・事務局長 宮崎 幸雄 君

敗戦後の復興が続く1950年初頭,まだ今日のような食事もできない時代でございます。記録によりますと,帝国ホテルはお茶だけをサービスし,会員はお弁当を持ち寄って例会を開いたということでございます。

 そういう時代のなかで,いま,我々がやらなければならないことは,アジアから来る若者たちに,あるいは日本に招く者たちに,私たちの国は再び戦争の過ちを繰り返さないという決意を伝え,世界に「平和日本」の理解を促すことが必要であると考えました。

 そのためには,どうしたらいいかというのが,古沢委員会の最初の課題でありました。 かくして,古沢丈作氏を委員長とする,日本で勉学・研究を志すアジアの留学生を支援する奨学金「米山基金」が設立されました。

 その後,国内各クラブに呼びかけて,「ロータリー米山記念奨学委員会」が結成され,日本のロータリーの合同事業となり,1967年に現在の「財団法人ロータリー米山記念奨学会」が誕生しました。

今日は,「米山奨学事業」を簡明に説明しその現状を解説した「豆辞典・2004-05年度版」が会員各位に配付されておりますので,そこに記載されたことの中から,いくつかをご紹介して,ご理解とこれからのご協力を得たいと思います。

2004年6月の時点で,米山奨学生の累計は12,206人であります。国別に見ますと,韓国が最も多く27.0パーセント,続いて台湾24.6パーセント,中国23.5パーセント,以下マレーシア,ベトナム,インドネシアという順になっております。

 奨学金設立当初は,日本に来て勉強する貧しい学生を助ける救貧型の奨学金でありましたが,数年前から選考基準を,知的貢献型へと大きく方向を転換いたしました。そのキーワードは「優秀な留学生の支援」であります。それは,学業の優秀性だけではなく,多文化理解に努力し,人間関係に柔軟な姿勢をもち,また,学業や研究を極める熱意をもった優秀な留学生を選び支援することが,多くのロータリアンの願いでございます。

ところが数年続く寄付金の減少により,来年2005年4月より,学部生では現行月額12万円を10万円に,大学院生では15万円を14万円に減じます。ただし,韓国,台湾在住の上級研究者,すなわち,それぞれの国で学位を取得した者,あるいは,海外で博士課程を終えてさらに日本との関係のある研究をしている人たちと,元米山奨学生の短期再留学生については金額を変更しないで18万円のままとします。また,例年1,000名の奨学生採用数を20パーセント減じて800名とします。

みなさまからいただきます寄付金がどのように使われているのかということを,よくご質問いただきますが,寄付金はすべて奨学生のために使われます。(豆辞典3〜4ページ参照)2003年の決算では,全国の寄付収入は15億177万円,奨学金としての支出は17億344万円。その不足額は過去10年にわたって積み立ててまいりました特別積立金を取り崩しながらこれに当てております。

 米山奨学事業の使命(豆辞典12ページ参照)は,日本と奨学生の母国とを結ぶ懸け橋となって,広く国際社会で活躍し,同時にロータリー運動のよき理解者となる人材を育成することにあります。そういう人を留学生の中から選ぼうというのが,多くのロータリアンの期待であります。

 一方,元奨学生2、600人を対象にした調査の中(豆辞典16ページ参照)を見てみますと,奨学金を貰っていちばんよかったと思うことは,なんといっても「経済的な支えになった(92.7パーセント)」ということは言うまでもありません。加えて「日本の文化や価値観に触れることができた(48.7パーセント)」という評価について,これはロータリーならではの,得難い機会であると思います。事業独自の世話クラブ制,カウンセラー制の特性の現れだと思います。

ロータリアンを知り,2年間,カウンセラーと出会い支援を得たことによって「精神的な支えになった(36.8パーセント)」ということや,「ロータリアンと知り合って,生き方に影響があった(34.3パーセント)」という声も目立っています。

ロータリーの例会だけではなく,ロータリーの家族と交わりをもつ機会を得て「日本の家庭を知り,新しい友人ができた」。さらに,卓話の機会を与えられることによって「自分たちの文化を伝える機会をもつことができた」ということも言っております。

 いわば留学生事業の根幹ともいえる部分はやはりお金だけの支援では得られないものです。「ちょっと困ったこと」(豆辞典16ページ参照)なども注目すべき内容があります。2003年に行われた米山奨学事業基礎調査結果(豆辞典12ページ参照)では,米山奨学事業の使命と目的の再確認を求めています。

 私たちは日本で最大規模の奨学財団ですが,単に,お金を集めているということだけではなく,同時に,この時代に,いま我々が支援をするということはどういう意味をもつのかということを確認しようという声が大きく出てまいりました。

さらに,いま,新しい課題はと問われたときに,ロータリー米山奨学金の特性を十分に生かして,大学,企業と連携をして,人の交流,文化の交流,知的なコラボレーションを通して世界に貢献できる人材を育成していくことが,今日的な役割ではなかろうかということを指摘し,困難な中で時代に即した新しい制度の在り方を探っていることを申しあげて本日の話を終わりといたします。

米山奨学生になって                       陳秋梅
Ms.Qiu-Mei Chen

 東京で、大学院生として生活を始め、この米山奨学生に応募し、幸運にも奨学生となることができました。東京ロータリークラブの例会に毎月参加させていただくようになりましたが、初めての例会に参加したときは、皆様が日本の各業界のエリートの方々ということもあり、とても緊張し不安でした。けれども、ロータリアンの皆様方は、本当に暖かく私を迎えてくださいました。緊張して硬くなっている私の話を真剣に聞いてくださり、また気さくに話しかけてくださいましたので、私もほっとしてお話することができました。

 例会の卓話では、政治、経済の話から歌舞伎などの娯楽に及ぶ広範囲にわたる話をお聞きすることができました。お陰様で、色々な日本の側面について知ることができました。研究生活のかたわら、日本の社会についても興味を持ち、一層理解を深めることができました。また、地雷の除去、犠牲者に対するいろいろな支援活動のことを知り、国際奉仕の精神を学びました。さらに、国際親善奨学生の報告を聞いて、世界中のロータリアンの優しさとその奨学生の帰国後のいろんな分野での活躍を知ることができ、感心しました。

 私が日本で暮らした時間も4年を超えました。ロータリー米山奨学金をいただき、経済的にも精神的にも支えていただきました。この米山奨学事業というのは、東京ロータリークラブで生まれた奨学制度で、東京ロータリークラブの創立に貢献した米山梅吉氏の遺徳を称えて奨学金を創り、アジアの国々から日本に留学していた留学生に対し、わけへだてなく奨学金を交付し続け、当時の留学生を物心両面から支えたのが始まりと聞いています。米山奨学事業という制度が奉仕という理想から生まれた制度であることを知って感動しました。
 “何事も人々にしてほしいと望むことは人々にもその通りせよ”というのが、米山氏の願いであり、彼の生涯そのものだったようです。奨学金をいただいたことに感謝の心を持ち、この米山氏の願いのように、“他人への思いやりと助け合い”の精神を持って、自分にできることを通して、これから社会に恩返ししてきたいと思います。

 日本に留学した中国人として、特に日中の深い理解と友好のために積極的に協力したいと思います。日本と中国は、地理的にも近く、歴史的にも古くから交流がありますが、国境という垣根は時代とともにどんどん低くなってきています。日本と中国が、文化、経済、さらには政治の面でも近く、親しい国になるよう、お互いに努力し、理想的な世界に向かって進み続けることができるようになっていって欲しいと思います。

 国際親善を目標に開催される近代オリンピックは、今年1世紀ぶりに発祥の地アテネで開催されましたが、日本と私の祖国である中国は共に立派な成績を収めて、嬉しく思っています。4年後のオリンピックは、私の故郷北京での開催です。4年後のオリンピックを機会に、選手の熱戦を通じて、世界中の人々が更なる友好を深めることができればと願っています。

 最後になりましたが、様々な面で支えてくださったロータリアンの皆様、またカウンセラーの田辺様と前カウンセラーの上田様に深く感謝いたします。
ありがとうございました。