卓話


イニシエーションスピーチ

2月4日の例会の卓話を纏めたものです。

日本貿易振興機構 理事長
 渡辺 修 君
螢轡蹈 代表取締役副社長
 白木 栄次郎 君

ジェトロの活動について

ジェトロは、正式には「日本貿易振興機構」といいますが、英語名の「Japan External Trade Organization」のイニシャルをとって専ら「JETRO(ジェトロ)」と呼ばれ、諸外国との貿易投資の振興を図る独立行政法人であります。

創立は1958年で、戦後の経済復興の鍵となる輸出促進を図るための特殊法人として誕生しました。60年代、70年代は正に「輸出のジェトロ」として、海外市場の調査、開拓と中堅・中小企業の輸出促進ミッションの派遣等に全力を傾注してきましたが、70年代後半からは、わが国の大幅な貿易黒字と貿易摩擦が激化する中、政府の要請を受け、「輸入促進」に大きく軸足を切り換えてまいりました。

 しかしながら、95年の日本自動車摩擦を最後に、日本経済を取り巻く貿易投資環境は激変しました。そして新たな時代の要請を受け、ジェトロの現代ミッションも大きく変わりました。

 その第一は、東アジア経済統合の進展する中、中国、アセアン諸国等に進出しようとする企業に対する各種投資関連情報の提供やきめ細かな投資相談への対応です。そして現地に進出した暁には、現地での各種規別の変更や知的所有権問題等で大変ご苦労されており、現地のジェトロ事務所がこれら諸問題の「かけこみ寺」として忙しく対応しております。中国には、北京、上海、大連、香港と4つの事務所がありますが、今年は更に、広州、青島さらには内陸部の成都の三箇所に事務所を新設して急増するニーズに対応する予定です。

 第2は、対日投資促進であります。わが国の産業経済を活性化するとともに、雇用拡大に資する為にも、世界中の優れた資本、技術、ノウハウ、頭脳等の日本への流入を拡大することが不可欠であり、小泉総理は向う5年間に対日投資を倍増させようと宣言しておられます。ジェトロは、対日投資を行おうとする外国企業家に対するワンストップ・サービスを行う中核機能を期待されています。昨年5月、総理出席の下に、赤坂ツインタワーに、「インベスト・ジャパン・ビジネス・サポートセンター」をオープンし、各種コンサルタント、弁護士、会計士等を擁して対日投資のセンターとして活動しています。そして各省庁及び都道府県とのホットラインを整備しつつ、着実に実績を挙げはじめています。

 第三は、地方で苦労しておられる中小産地や中小企業の皆様に、新たな工夫の下に「ジャパンブランド」として再び世界市場に進出すべく、輸出促進のお手伝いをすることです。現在、機械部品、繊維、伝統産品、食品、コンテンツ、環境・医療・福祉の6分野を重点分野として支援を進めています。食品関連として、農水産物の本格輸出について委員会を設置して検討を開始しましたが、これが直ちに30都道府県に波及し、「農林水産ニッポンブランド輸出促進都道府県協議会」が結成され、来年以降新たな大きなうねりに連なろうとしております。

 以上、時代と共に歩んできたジェトロの役割をご説明しましたが、終始変わらぬ重要な使命が二つあります。その一つは、60カ国、79事務所を通じて入手する各国情報を国内の政府、民間企業に提供し、アジア経済研究所と共に提言を行うシンクタンクとしての機能です。

 もう一つは、博覧会、見本市、されには発展途上国産品の展示会等を行うジェトロ独自の機能とノウハウです。こうした各種事業を通じて、今後益々グローバル化する国際社会の中にあって、わが国経済社会の発展に貢献してまいりたいと思います。

紙と地球環境
                       
製紙産業の主原料は大きく分けて「古紙」と「木材チップ」です。古紙のリサイクルによる再利用は、廃棄物の削減は勿論の事、紙ごみの焼却処分、埋め立て処分による地球温暖化ガス(CO2)発生の削減に繋がります。

 古紙1トンを紙の原料に使用すれば直径14Cm、長さ8mの丸太20本の伐採を防止できます。我が国の古紙回収率は、世界で最も進んだ古紙回収システムにより62%で、オフィスの分別ごみの徹底に余地を残しているものの限界が近づいています。紙の繊維は、3回程リサイクルすると劣化し弱くなり利用できなくなります。又、一定の品質を維持した紙を作るには新しい木材繊維を補う事が必要です。とかく紙業界は世界の森林を伐採して地球環境を悪化させていると思われがちです。実際は紙の原料に用いられる木材の殆どは、製材時に発生する残材、製材に不向きな細い木や間伐材です。それだけでは不足するので植林し、原料のリサイクルをしなければなりません。

 植林によって造られる森林資源は、化石燃料とは違い「再生できる資源」です。森は計画的に伐採されますが、そこへもう一度植える事で再び森を造る事ができます。植林は原料リサイクルの出発点です。樹木は光合成により二酸化炭素を吸い酸素を排出するので、植林は地球温暖化防止に大変有力な手段です。

 しかし、ブラジルやインドネシア等で問題になっている違法伐採や森林破壊等、地球環境問題への関心が高まるにつれ、木材資源を生み出す森林の環境に対する消費者の意識が変わりつつあります。そこで、消費者が森を守る仕組みとして「FSC森林認証制度」が誕生しました。

 森が健全かどうか、森が正しく管理されているか、森に働く人達の暮らしが守られているかを世界的な基準で審査します。又、森から生産される木材や炭等に認証マークをつけ、使う人に正しく届けられているかどうかを審査します。このような世界的に森を守り育てる取り組みが1993年から始まりました。木で家を建て、家具や紙を使う人がこの認証マークの付いたものを使えば、世界の森が健全に保たれ地球環境を守る事に繋がります。

 FSC(Forest Stewardship Council)は、「森林管理協議会」と言い、「森林認証制度」を運営する国際NGOの名称です。独自の基準に照らして森をチェックし、「持続可能な方法できちんと管理されている」と判断すると認証を与える第三者機関です。

 「持続可能な森林」とは、生態系や周辺環境を保全しながら、そこで働く労働者や先住民の生活にも配慮し、成長した量だけ木を伐採している森の事を指します。

 そのように認証された木材チップを使った紙には、流通や加工段階に携わる全ての関係者が、FSCで定められた規定をクリアーしCoC認証を受ける必要があります。CoCは(Chain Of Custody)認証番号です。そしてCoC認証番号を、生産者から消費者迄の経路をチェーンのように辿る事で、その紙の来歴を全て把握でき、原生林の不法伐採等を行なっていない事が明らかになります。

 つまり、FSC認証紙のロゴマーク付きの紙なら、CoC認証によって由来がはっきりしているという事です。皆様には地球環境を守るためにも、是非FSCの認証を受けた紙を指定してお使い頂く事をお勧め致します。

 日本の紙パルプの生産量は、アメリカ、中国に次ぎ世界第3位で、消費量も年間3,000万トンと大きな数量です。森林資源の乏しい日本では、国内で消費する紙や木材の80%を輸入しています。世界の森林は8千年前に比べ約半分が消滅しました。

 現況では木材、紙の中に、森林を破壊しているもの、森林に暮らす人達の生活を脅かしているもの、違法な伐採、取引によるものが少なからず混じっています。

 「適切に管理された森林から生まれた製品」である事を確認し使用する事により、世界の森林を未来に向けて守っていきたいと思います。