卓話


ロータリーの未来を思い描く

2022年4月27日(水)

国際ロータリー理事
辰野(株)代表取締役会長 辰野克彦氏


 まず、小島陽一郎会長はじめ東京ロータリークラブの皆様には、昨年10月24日の日本経済新聞朝刊に一面カラー広告で日本のロータリーが100周年になったことを記念してロータリーのPRをさせていただいた際に、率先して多額の協賛をいただき、厚くお礼を申し上げます。

 来年度のジェニファー・ジョーンズRI会長は、RIテーマを「Imagine Rotary」とされました。その意味するところは「ロータリアンであってもローターアクターであっても、クラブであっても、それぞれがロータリーの未来を思い描こう」ということと理解しています。本日はこの2年ほど、RI理事を務めるなかで知り得たことを率直にお話しします。

 4月11日から14日まで規定審議会(COL)がありました。COLは国際ロータリーの立法機関で、3年に一度行われます。世界約540地区から代表議員が1人ずつ選ばれて集まり、国際ロータリーの定款、国際ロータリー細則、標準ロータリークラブ定款の追加・削除・変更について議論し決議します。

 今回は新型コロナパンデミックの中、200近くの地区はバーチャル参加となり、日本からは34地区中25人がバーチャル参加でした。

 3年前の2019年のCOLに私も出席しましたが、ローターアクトクラブが国際ロータリーの構成員になるなど重要案件もあり、激しい応酬がありました。今回は相応の議論があり表決がなされたCOLでした。世界から85の制定案が提案され、そのうち22は日本からの提案です。85の制定案のうち27が採択をされ、うち日本からの提案は7つでした。

 採択された主な制定案を紹介します。
22-13 会員がクラブの所在地域に住居または事業所を有するという要件をなくなすこと。
22-14 正会員は自分のクラブだけでなく、どのクラブに対しても入会候補者を推薦できるようにすること。
22-46 人頭分担金が2023-24には4ドル上がり75ドル、その次の1年は3.5ドルアップ、その次の1年は3.5ドルアップすること。
22-71 新しいガバナンス構造を2つの地域で6年間、パイロットを始めること。
22-85 出席報告の提出義務を撤廃すること。
全て頭に22がついているのは、2022年のCOLでの決定という意味です。22-13、22-14、22-85は、2019年COLで例会が毎週でなく最低月2回となったように、「クラブ運営の柔軟性」という大きな流れの中に在るものであります。

 人頭分担金は、現在の国際ロータリーの組織維持のために、物価上昇の懸念や会員減少の状況のなかで、増額が承認されました。

 次に22-71について。
 4年前からZone8(オーストラリア、ニュージーランド、パシフィックアイランズ)は10年間で人口が20%増えているのにロータリアンは25%減っているという特に会員減が深刻な地域です。新しいガバナンスモデルをRIに提案し、RIとしてはSRF(Shaping Rotary’s Futureロータリー未来形成)委員会を設置して、提案を基に検討を加え、SRFモデルが固まりました。

 一昨年11月の理事会で、2022年のCOLに理事会提案をすることが決まりました。その内容を理事は担当地域で説明することになり、私も日本のロータリアンの皆様に説明をしました。

 1)世界で約540ある地区ガバナーをなくし、世界を30位の地域に分け、3年任期の地域カウンスルを置く。そして1地域を40位のセクションに分け、2年任期のセクションリーダーを置く。

 2)地域に一人ずつの地域リーダー5役を全て無くし、世界で50人位のグローバルヴォランティア・カードレを置く。公共イメージ、地域活動、指導力開発、資金調達等の事項に合わせて各分野のスペシャリストにカードレをお願いする。

 3)クラブを超えた役員、例えばガバナーの選挙権をローターアクトクラブにも、ロータリークラブと同じく与える。クラブを超えた役員への立候補権を、ローターアクターにもロータリアンと同じく与える。

 というモデルでした。SRF委員会は広く意見を聞き、2022年のCOLに提案するモデルを詰めるということでした。3つ目のローターアクターの人頭分担金は、地域社会ベースのローターアクトクラブのローターアクターは年8ドル、大学ベースのローターアクターは年5ドルで来年の1月から付加されますが平均で約7ドルです。一方、ロータリアンは、現在70ドルですので、10分の1です。「そうであるのにクラブを超えた役員の選挙権・被選挙権は同じというのはロータリーの公正の精神からしてもおかしい」と私は意見しました。

 結構同じような意見の方もあったと思いますが、SRF委員会ではまとめ上げることはせず、1.世界で特に会員数減が著しい地域、2.早くから問題意識を持っていて新しいガバナンス構造案を練っている地域、3.パイロットを行う意欲のある地域として、Zone8とRIBI(イギリスとアイルランド)の2地域でまずは始めることとなりました。2年、3年と経過するなかで、RIのSRF委員会と協議しながら修正を加えていくのではないかと思います。

 「地域カウンスルが、地域のニーズに合ったクラブ支援を実施してみる」、つまり、この「地域化」がキーワードです。補足しますと、パイロット地域でなくても、今の定款・細則・標準クラブ定款に抵触しない限り、それぞれの地域に合った運営をして構わないというのがRIの方針です。

 例えで話されるのはレストランのチェーン店で、全て同じマニュアルに沿って一律の運営をするより、店の近隣の地域に合わせた運営をするほうが売り上げが上がる例を挙げ、地域化を進めることとしています。「日本のロータリーはこのようにしていこう」と定款等に反しない限りは実行でき、そのほうがクラブ活性化に繋がるのであればそれができるということです。

 ここで、国際ロータリーの直近の出来事を2つほど報告します。
一つは、4月23日、パキスタンで15歳の子供が野生ポリオウイルスを発症しました。2020年は世界で140人の発症があり、2021年は6人でした。そして今年はまだ1人だったところ2人目の発症があり、それも既に15か月間発症者ゼロのパキスタンで発生したということで大変ショッキングなことです。ポリオ撲滅にはまだまだ弛まぬ努力が求められます。

 もう一点、ウクライナ支援の資金が世界から940万ドル(日本円で約12億円)が集まりました。うち20%は日本からで、東京ロータリークラブの皆様からも多額の支援をいただき厚く御礼を申し上げます。

 ウクライナの地区代表議員がCOLに来ておられ、メータ会長が紹介をし、万雷の拍手で迎えられました。そして4月のRI理事会でロシアの侵略に対する非難声明を採択し、4月26日にその声明がマスコミ等に発信されました。以上、直近のことの報告でした。

 これからのロータリーの方向性として、5つ挙げます。
 .ラブ運営の柔軟性、地域化、ローターアクターの地位向上、DEI、ス餾殃仕団体としての高みを目指す。

 ,砲弔い討蓮▲ラブが自主的に判断できる事柄を増やしていく。規則で縛ることのないようにという流れです。

 △蓮地域の文化に合った運営をできるようにするということです。
 もう一つは、今回スタートする2地域のパイロットも地域に合った活動をしてみることが目的で、定款に抵触することはできませんが、細則からは外れてもロータリーの承認があれば試すことができ、地域カウンスルの権限を今のガバナーよりどれだけ大きくするか、どれだけ広げるかが試されます。

 は、ローターアクターをロータリアンと一緒に活動していこうという方向です。ただ、選挙権・被選挙権もロータリアンと同じとするのであれば、年齢に応じて人頭分担金は、例えば40歳未満は半額にするなども考えられると思います。

 DEIです。Diversityは「多様性」、これはfact、違いを認め合うこと。Equityは「公平さ」、これはchoiceです。何が公平か慎重に検討する。Inclusion は「インクルージョン」。日本語でインクルージョンと訳すことになっています。これはactionであり、包含する行動を起こすということです。

 ロータリーでは5つの中核的価値観の中にDiversityが既に入っており、皆が「何が公平か、個人のニーズを考え決めていこう」というEquity、そして「それらを包含する行動を起こそう」というInclusionも含めるということです。

 イ蓮現在、ロータリーはチャリティー・ナビゲーターで4つ星の慈善団体と評価されていますが、これに満足せず、インターナショナルNGOのベスト20に入ろうと願っています。IOC、赤十字、カーネギー財団、ロックフェラー財団、ゲイツ財団などが上位に名を連ねています。四つ星評価の理由は、集まった資金が非常に高い割合で活動に回っていることで、規模を一層大きくすることによって、一層世に尽くす慈善団体になりたいという願いがあります。

 最後に東京ロータリークラブの皆様に望むことを一つ申し上げまして、話を締めたいと思います。それは、子クラブか衛星クラブを作り、仲間を増やしていただきたいということです。30歳代40歳代を中心に募ってみる、あるいはバイリンガルのクラブを新たに作られる、そうした試みを期待しております。東京ロータリークラブの益々のご発展を大いに期待をいたしまして、私からの報告とさせていただきます。


       ※2022年4月27日(水)の卓話をクラブ会報委員が纏めたものです