卓話


イニシエイションスピーチ

2010年3月3日(水)の例会の卓話です。

外立 憲治君、石田 久人君 

『弁護士会は今』そして『国際交流と文化交流(笛の実演)』

外立総合法律事務所
所長 外立 憲治 君

. 弁護士会は今

1.弁護士人口急増

 まず今の日本の弁護士会ですが、新人弁護士急増の問題で弁護士会が2つに割れています。日弁連の会長選挙が1回目の投票で決まらず、3月に再選挙になったのもこの問題が根底にあると言って良いでしょう。

 弁護士会は各地方裁判所の管轄区域毎にひとつづつあり、これを単位弁護士会と呼びます。弁護士業務に就くためには、世界一高い年50万円程の会費を払い、日本のどこかの単位会に入会することが強制されています。所謂司法改革により、一番影響を受けたのは、法曹3者の中では弁護士です。裁判官・検察官の人数は微増ですが、弁護士の数は、1万名以上も急増しています。10年前は私共の弁護士会が3,000名に満たない状況でしたので、大規模弁護士会が新たに3つも誕生したことになります。

2.「ノキ弁」・「ワーキングプア弁護士」

 会社を辞め、退職金をはたき、3年間ロースクールに通い、司法試験に合格しても、弁護士会に自分の執務する弁護士事務所登録をしないと弁護士にはなれず、弁護士業務が出来ません。そこで、給与は無給でも、登録場所だけのためノキ下を借りる「ノキ弁」と言われる無給弁護士が、多数出現してきました。

 また、幸いに就職できたとしても、初任給が年400万円以下で、仕事がきついが実入りが少ない「ワーキングプア弁護士」という言葉が流行り出しています。改革委員会が設計したようには、新人弁護士を社会が吸収できず、就職できない者が数百名にのぼる状況です。また、これらの溢れた新人の資格を利用しようと密かに接近してくる非合法的グループもいます。これが所謂「非弁提携の問題」です。

3.非弁提携と過払金請求訴訟

 このような不景気な話ばかりが「弁護士の今」ではありません。今、一番流行っている弁護士は、多重債務者らが消費者金融業者に過払い分の返還を求める業務を代理する弁護士たちです。2006年1月、最高裁判所が利息制限法の上限金利と出資法の上限(年29%)との間の所謂「グレイゾーン金利」を無効とする判断を示しました。それで、過払い金返還請求訴訟が急増。この訴訟が2009年は東京地裁で、民事事件4万件のうち50%を超える2万2千件となっています。

 消費者金融大手の合計返還額は、この数年の累計が1兆円を超える額で、ビッグビジネスに成長。この分野に携わる弁護士、司法書士の報酬の相場が請求額の20%〜35%で、数千億円という巨額な金銭がこの分野を専門にする者たちの懐に入ったと考えられます。

 ところで、昨年の10月22日の朝日新聞は、これらの訴訟にかかわった弁護士や司法書士計697人が、総額79億円を申告せず、追徴税額は28億円に上がったと伝えております。先に述べた「非弁提携」問題とこの「過払い金請求訴訟」はどこかで結びついていると当局も考えているようです。

. 国際交流と文化交流(笛の実演)

 私は、このロータリーの綱領の第4に「奉仕の理想に結ばれ・・・、親交により、国際間の理解と・・・推進する」と規程されているのと同様な気持ちで、2003年以降今日まで所属する第一東京弁護士会の国際交流を推進してまいりました。

 この7年間で、英国法曹協会、上海市律師協会、ハワイ州法曹協会、カリフォルニア州法曹協会、アメリカ法曹協会国際法部門、そしてフランクフルト市法曹協会と友好協定を結びながら、法曹として共通の課題を取り上げ、例えばマネーロンダリング防止法、環境法、知的財産権の保護等につき、シンポジウムなどを共催し、また、家族も参加して親交を深め、ボランティア活動をしてまいりました。今年も上海万博に合わせ、この6月「食品安全関連法」とのテーマで、上海市でシンポジウムを開催する計画でおります。各国の大使や市長も率先して我々の国際交流活動を支援してくれております。

 ところで、互いを理解することは文化を理解することでもあります。ハワイ州法曹協会では裁判官がフラダンスやウクレレの演奏で、上海では太極拳で、イギリスやドイツではピアノやオペラの歌曲で歓迎されたりします。そこで、我々第一東京弁護士会も答礼として、日本古来の篠笛や能管を演奏して、日本文化の一端を披露しております。

 今日は残りの時間、第一東京弁護士会の「笛の会」のお師匠さん、福原徹先生のご協力を得て、笛を演奏し、私のスピーチを終わりたいと存じます。

「給食サービス業」の進化

エームサービス
代表取締役社長 石田 久人 君

 一言で「給食サービス業」と申しましても、一体どのようなものか、お分かりにならない方も多いのではと思います。従来からの寮のまかない、学校給食、弁当屋を連想される方、又は外食レストランと同様と考えておられる方もいらっしゃると思いますが、実際は、其れらとは異なるビジネスモデルを持つ業界です。

 例えば、外食レストランは、路面に店舗を構え不特定多数の顧客に向けて固定メニューを提供し、終日営業を行います。それに対し「給食サービス業」は、特定多数の顧客に対し、短時間の間に、毎日異なったメニューを提供しなければならないという、非常にシステマティックな運営を求められる業種です。当社においても全国で1日120万食以上を提供しております。

 市場規模は全体で約4兆円前後といわれており、サービスを提供している分野については、企業のオフィス・工場、病院・社会福祉施設、学校、寮・研修所という従来からのフィールドに留まらず、近年、野球場や競技場をはじめとするスポーツ施設、民営化が進みつつある刑務所など、「人の集まるところ」であればどこでも私たちの分野になりうる可能性を持っております。

 過去に給食サービスと言えば、「安い」「美味しい」「安全」という3つがキーワードでしたが、昨今は、それに「健康」と「環境」というキーワードがプラスされました。単に食事提供をするだけでなく、広範なサービス「新たな機能」を求められる状況にあります。

 具体的な例として、平成20年4月から義務付けられた「特定健康診査(特定健診)」「特定保健指導」への対応が挙げられます。近年、糖尿病などの生活習慣病の有病者・予備軍が増加の一途を辿り、これを原因とする死亡率は全体の約3分の1にものぼると推計されています。企業も従業員の健康管理が重要な経営課題となっているのです。これに対応するため、給食サービス各社は、社員食堂等において健康に配慮したメニューの提供のみに留まらず、健康保険組合や産業医とタイアップして、個々人の栄養摂取状況や運動履歴をトレースし、管理栄養士が個人指導できるようなシステム開発といった一歩踏み込んだサービスを提供し始めています。まさに国の政策に密接に絡んだ「新たな機能」を求められているのです。

 病院での患者食も医食同源の考えの下、病態別の食事は勿論、お好きなものも食べて頂けるようメニュー選択の幅を広げています。その甲斐あって「病院食は不味い」との概念は変わりつつあり、病院の格付けにも大きく影響を与えているようです。

 又、新たな分野として、刑務所の中でも比較的刑の軽い受刑者の施設は「社会復帰促進センター」と呼び、収容サービスの民営化が進みつつあります。刑務所では、1回に2千食もの食事を短時間の間に提供しなければなりません。ここにおいても食事を提供する機能だけでなく、受刑者の再就職支援を目的とした職業訓練の一環として、厨房で受刑者に対して調理師資格取得のための調理作業の指導を行い、受刑者と一緒になって2千食を提供するということも行っております。

 同様に職業訓練として、刑務所内農地で受刑者の農作業指導を行い、収穫された作物を刑務所内の食事に使用する等、「地産地消」にも積極的に取り組んでおります。

 最後に、今回の話で今まで抱いていた「給食サービス業」に対するイメージを少しでも変えて頂き、あらゆる可能性を持った分野だとご認識頂けたら幸いです。

 私どもと致しましては、様々なことにチャレンジしながらも、常にご利用頂く皆様に「健康」と「笑顔」を届けることができればと思っております。