卓話


ガバナー公式訪問

2017年7月26日(水)

国際ロータリー第2580地区
ガバナー 吉田雅俊氏(東京新都心RC)


 今日は今年度のイアンH.S.ライズリーRI会長のテーマ、1年間の戦略的重点項目3点、私の年度のキーワードである「感動と調和」、行動指針の「研修と実践」についてお話しし、最後に私のロータリーモーメントをご披露したいと思います。

 今年度RI会長のテーマは「ROTARY:MAKING A DIFFERENCE(ロータリー:変化をもたらす)」です。一月中旬、1週間サンディエゴで研修を受けました。冒頭で会長エレクトであったライズリー氏は「ロータリーは活動するもの。活動がいろいろなところに変化をもたらす。どんな活動の奉仕であれ、どこでそれを行ったとしても、それを行う人間にも受ける人間にも人生に大きな変化が出てくる。そして、する側から見ればそれが大きな喜びになる。この変化と喜びの連鎖がロータリーの活動だ。従って、今年度はROTARY:MAKING A DIFFERENCEで積極的に行動して変化をもたらそうじゃないか」と言われました。

 戦略的優先事項の一つは、クラブのサポートと強化です。現在、ロータリーは200ヶ国超に120万人のロータリアンがいますが、ロータリー先進国といわれるアメリカ、日本、欧米において会員数は減少の一途を辿っています。増えているのは、インド、東南アジア、アフリカ、中南米ですが、全体では減少状況です。

 また、28年前に女性会員が認められました。10年前、女性会員の比率は約13%になり、今は約20%です。この数字はもっとあってしかるべきでしょう。

 年齢は、40歳未満の会員が5%未満で、大半が60歳以上です。ぜひ若い世代がロータリーへ参画するよう、若い人達が参加できるような活動を積極的にやっていただきたい。

 2つ目が人道的奉仕の重点化と増加です。ポリオは撲滅に近いところまで来ていますが、なかなかゼロになりません。ロータリーとしては限りなく撲滅に向けて取り組んでいく。ポリオプラスに代表される継続の持続性が非常に重要な活動ポイントになります。 今までの活動では単年度ということがよく言われましたが、それはきっかけづくりを象徴的に言ったものであり、大きなうねりになるまでが活動の成功事例です。RI会長は継続の持続性について、究極は地球環境であろうと言っています。そのために今年度は植樹を活動に取入れてほしい。200ヶ国に120万人の会員が一本植樹をすれば120万本になる。地域において影響力があり指導的立場にある人の一本は何本にも増えていく。そこを考えて植樹に取り組んでほしいというメッセージがありました。

 3つ目は、公共イメージと認知度の向上です。さまざまな情報発信を通じて行うことが重要になります。ITを活用してロータリーを世の中に宣伝し、また、行動の際も多いにそれらを利用し、公共イメージと認知度の向上を目指してもらいたいという話がありました。

 私の今年度のキーワードは「感動と調和」です。物事に対して感動があって初めて本当の喜びが生まれ、受ける側も感動を持つ。その感動の絆がロータリー活動の最もすばらしい点で、ぜひ感動の1年にしたい。そして、世の中にあってロータリーだけが特別なものではありません。世の中の変化に応じてロータリーも変化すべきところは変化し、ただし変わってはいけないところについては、きちんと軸足を定めた上で調和していくことをお願いしたい。

 行動指針は「研修と実践」です。去年の上山ガバナーの重点項目であった「親睦と研修」を引き継いで、研修を3年間の継続活動とすることを上山直前ガバナー・吉田雅俊・松坂ガバナーエレクトで合意致しました。研修といっても座学ではなく、OJTと同じように実践を通じた研修です。動いてロータリーを語ろう、動いて参画しようという思いで、行動指針を挙げています。

 最後に私のロータリーモーメントを一つ紹介させていただきます。
 東京新都心ロータリークラブは、一昨年グローバル補助金の申請をしました。ネパールの貧しい地域に井戸200個を掘ると申請し、今年2月に承認を得て、4万ドルのグローバル補助金を得ることができました。タッグを組むのはカトマンズにあるロータリークラブです。

 5月19日に、クラブ有志9名と進捗を見にネパールに行ってきました。カトマンズの町は大震災の爪痕が残り復興には時間がかかる印象でしたが、それでも都市としてのインフラは整っています。そこから、道路がきちんと整備されていれば車で一時間ちょっとで行けるチトワンという農村地域に向かいました。ところがものすごい悪路で、天井に頭をぶつけながら5時間半かかりました。

 提供した井戸のうち5カ所を見に行きました。最初の所は、お母さんとお祖母さんと子どもが3、4人。お母さんが私達にお返しをしたいと、ひなげしのような野草を両手に持ってくるんです。涙を浮かべて。通訳は「本当にうれしい。こんなにうれしいことは自分の人生で初めて」と言っていると。周りには井戸があって、その水をもらえばいいじゃないかと思うのですが、ネパールは97%近くがヒンズー教徒でカースト制度があり、カーストの最下層の人達は同じ地域に住んでいても井戸の水も貸してもらえない。10分から15分も歩いて川まで水を汲みに行かねばならない。そこに自分達の井戸ができたのです。

 2つ目の井戸では子ども達がポンプから水を出して水遊びをしていました。私も水を掛けられて、掛け返しました。通訳は「この子たちは井戸の水で遊んだことはなかったと思う。この井戸ができたことは一生忘れられない思い出になっていると思う」と言いました。屈託のない子供達を見て、よかったなとつくづく思いました。

 3つ目では、14、5歳のかわいらしい女の子が髪や顔を何度も洗っていました。通訳に聞くと「なかなか水で体や顔や髪を洗うことができない。だからうれしくてしょうがない。その感謝の気持ちを言葉で言うのは恥ずかしいから一生懸命何度も洗って見せているんだ」と言うのです。思わずジーンと来ました。

 4つ目は井戸を掘っているところで、私も初めて見ました。東京にも井戸がありますが、機械で掘って時間もかかりません。ネパールでは、15メートル程の細い木4本をやぐらのように組んで、一番上まで登って、10メートルぐらいのパイプをハンマーで叩きながら打ち込んでいく。「もし水が出なかったらどうなるの」と聞くと「もう一回堀り直す」と事も無げに言っていましたが、私はこんな大変な思いをして掘らなきゃいけないんだなと感じました。

 5つ目はほぼ完成しており、ポンプを組立て、呼び水をして汲み出すという段階でした。私達は組み立てから手伝いました。呼び水を入れて、水がぶわっと出た時、そこにいたみんながわあっと歓声を上げました。その井戸を使うのは、病気で仕事ができないご主人と子ども3人がいる女性で、農作業を手伝って労賃をもらい、一家であばらやのようなところで暮らしています。喜色満面、うれしそうな顔で何度も井戸の水を汲み出していました。「水がないからトウモロコシが植えられなかった。病身の夫を抱え、小さい子どももいるからなかなか川まで汲みにはいけない。この井戸のおかげでトウモロコシを植えることができる。子ども達を飢えさせず、食べさせてあげることができる。本当にうれしい」とお辞儀をしてくれました。

 ネパールのテレビと新聞社が同行し、テレビや新聞で報道されました。ネパールの人も喜んでくれたのです。でも、それで終わったのではありません。これからが私達の大事な仕事になります。井戸をいつまでも使えるようにすることです。それができなければ、一過性で終わってしまう。カトマンズのロータリークラブとBBトラスト財団が一緒に今後を見ていくことになっています。この財団設立者は私達の東京新都心ロータリークラブのメンバーであるネパール人で、日本で大成功して故郷に財団を作りました。彼らと共にお手伝いしようと思っています。

 RI会長が「井戸を掘るのは難しいことではないが、その井戸をきちんと保持していくのは大変なことだ」と言っています。まさに私達もネパールでその経験をしているところです。クリニックも作ります。地元の人達が自主運営できるよう、持続可能性をきちんと捉えて奉仕活動をすることが非常に重要だと思っています。

 今日、東京ロータリークラブの皆様から気仙沼で行われている事業について伺い、さすがだなと思いました。すくすくハウスを作られ、それを地元の自治体と話をして継続的にする流れを作った。NPOにも参画してもらって地元に根付いていっている。まさに持続可能性をきちんと捉えた奉仕活動だと思います。東京ロータリークラブは、私達よりもはるかに大きなクラブで、歴史があり皆が見ています。これからもロータリアンの発祥であり、模範として奉仕事業に手を着けていただきたいと思います。

 2020年に迎えられる百周年、本当におめでとうございます。これは日本のロータリー百周年と同じであり、私達にとっても喜びです。今日ここでお話する機会をいただき、本当にありがたく思っております。ガバナーとしてはまだ新米で、1年間どこまでできるかわかりませんが、今日お話しした思い、感動を胸に後の64クラブを回って参ります。

 来年の3月1日、台湾の高雄で日台親善会議が行われます。2年に一度の会議で、不肖私が議長を務めますので、ぜひここにいらっしゃる皆様、3月1日に高雄でお会いしたいと思います。ぜひよろしくお願い致します。ありがとうございました。