卓話


 ロータリー財団月間例会
「ロータリー財団奨学生留学時代とその後」
My Visit to Rotary Club of Tokyo

2007年11月7日(水)の例会の卓話をクラブ会報委員が纏めたものです。

多摩美術大学造形表現学部・
文化女子大学 非常勤講師
1996-98年度ロータリー財団
国際親善奨学生 
日癲^瓢辧〇

国際基督教大学大学院
ロータリー財団平和奨学生
Ms.Ana L. Galvez

「ロータリー財団奨学生留学時代とその後」

多摩美術大学造形表現学部・
文化女子大学 非常勤講師
1996-98年度ロータリー財団
国際親善奨学生 
日癲^瓢辧〇

1.自己紹介
私は東京芸術大学美術研究科を卒業し,現在は多摩美術大学と文化女子大学の非常勤講師として教鞭をとっておりますが,1996年から98年の2年間,マルチイヤー国際親善奨学生としてロンドンに留学しました。

その2年間に,何を学び,現在は何をしているか。そして将来は何をしたいかということをお話ししたいと思います。

2.何を学んできたかについて
スポンサークラブは2580地区の東京上野ロータリークラブ,ホストクラブは1130地区,レイトンロータリークラブでした。留学先は,Royal College of Art(王立芸術大学)で,専攻は色彩学における色彩文化の分野と装飾美術史でした。

私の研究対象は,17世紀以降の染織品と色彩です。ロンドンには世界最大のコレクションをもっているビクトリア・アンド・アルバート美術館があります。そこから歩いて5分ぐらいの所に王立芸術大学があります。大学院には,大学と美術館の共同研究コースがあります。私は,そこの修士課程での2年間を過ごしてまいりました。両方にそれぞれの設備が整っており,非常に恵まれた環境での勉強ができました。

ロンドンという街は,世界に植民地を持っていた大英帝国の首都ですから,非常にコスモポリタンな場所です。

私のホストクラブ,レイトンロータリークラブのメンバーは,全員インド系でした。当然ながら,カウンセラーのアラニ・チャラパシーというお医者さんもインド系でした。食事もおいしいインド系の料理店に連れていっていただきました。聞いた話ですと,ロンドンには,ほかにも中近東の人たちだけのロータリークラブもあるそうです。

私の修士・博士過程でのテーマは「16世紀後半から17世紀後半にかけてのイングランドの色彩」の研究です。

イギリスという国は,15世紀くらいまでは辺鄙な島国でした。それが16世紀後半から,帝国化してきました。絶対王制と身分社会が発達していくにつれて,「色」が身分,地位,宗教を表すコード,言い換えればバッジのようなものになっていくということについての研究が,私の論文の題材です。特に「金色・銀色・黒」を中心に解説しました。

王立芸術大学での修了式はロイヤル・アルバートホールというコンサートホールで行われました。友人には,フイリピン系やアフリカ系,イギリスといってもアイルランド系の人やスコットランドから来た人など,あらゆる所からの人々がいました。

3.特にイギリスの社会で学んだこと
よく知られていることではありますが,イギリス人は古いものを大切にします。小さな靴とか布の端切れとか,古い書類なども捨てずに美術館や書庫などに残していきます。また,それを残すだけではなく,歴史として書き留めたり展示したりする努力をします。

要するに,持っているもので他人とコミュニケーションをとろうとする姿勢があるのです。このことが第一に感じた点でした。

二番目に感じたことは,身分社会ということでした。私の留学した大学で勉強している学生のほとんどは,「自分はミドルクラスだ」とか「アッパーミドルクラスだから」などと,自分のステータスを口にします。

それはどういう意味かというと,自分はこの程度のランクの家に生まれた人間であるということを自覚しているのです。言い換えれば,身の程を知っているということです。

彼ら自身が身分社会にがんじがらめにされているのだと感じました。その善し悪しは分かりませんが,「自分はこういうことをやっているから,それに対する責任がある」という意識があるのはすばらしいと思いました。

例えば,彼らは「自分は今,修士になるためにこの勉強をしている。だから将来は,その分野での仕事がしたい」と考えています。つまり,自分の生まれた環境,育った環境,学んだ環境に対して,責任感がある考え方をしている人が多いと思いました。

第三に,多人種社会を受け入れている所だと思いました。東京でも街の中で中国語や韓国語を聞くことが普通になってきましたが,ロンドンでは,店員がイギリス人ではないというのが当たり前です。そういう社会であるからこそ,人とコミュニケーションをとることが非常に大切になってくるということを感じました。

言わなくても分かってくれるだろうという考えが通用しない世界では,すべてを紙に書いたり,色とか文字とか言葉で,正確に説明して,自分が何であるか,そして,相手がどうであるかということを分かり合おうという姿勢があります。そういう社会だということを,この2年間で学びました。

4.私の勉強している色彩学について
 私たちには,色の文化というものがあります。中国の儒教などに根差した冠位十二階というシステムを,日本に取り込んだのは聖徳太子でした。

冠位を「徳・仁・礼・信・義・智」に分け,それを大小に分けて十二階とし,冠色で表したわけです。その色は「紫・青・赤・黄・白・黒」で,大小は濃淡によって区別しました。私たちの祖先も,色で自分たちの地位を表そうとした社会だったのです。

他に日本の色の伝統文化として,平安時代の「かさねの色目」 があります。着物の襟とか,透けて見える部分を違った色の着物を着ることによって,その配色を人に見せて,季節感とか感情などを表現する文化です。

重ねの色目の組み合わせは二百種類もあるといわれています。それらには,松重(まつがさね・表は青で裏は紫),蘇芳香(すおうのこう・表は蘇芳[黒みを帯びた紅]で裏は黄),枯色(かれいろ・表は淡香で裏は青)などの名前がついています。

 それを四季に応じて使って,いかに時候に合った色目の衣装を調えるかによって,当時の貴族のセンスと教養が問われました。

さらに江戸時代には,「48茶100鼠」という,茶色と鼠色を基調とした色名の町民文化があります。

幕府は何度も奢侈禁止令を施行して,庶民の使う色を制限します。そこで江戸の人たちは,いくつもの色を重ねて茶色や鼠色を作り出しました。微妙な淡い色彩を使った赤っぽい色や青っぽい色を作り出して,茶色あるいは鼠色と言い張って使ったのです。

梅幸茶(ばいこうちゃ),芝翫茶(しかんちゃ),鳩羽鼠(はとはねねずみ)などは今も残っている名前です。

これらのことは皆様ご存じのことですが,私が学生に話していることのひとつです。

5.今,わたしが研究していること
私は今,18世紀の産業革命以降のイギリスの色見本と表色系,および色彩論について研究しています。

 イギリスでは,18世紀から工業化と海外での植民地化が進み,デザイナーの考えを,国境を越えて,言語を越えて,正確に生産者に伝える必要性が生まれました。

そこで,18世紀から19世紀にかけて,多くの色見本が作られました。デザイン見本も作られました。これらについての研究が現在の私のテーマです。

 色を通じてのコミュニケーションは私の研究のコアの部分ですが,趣味として,版画製作をして国内外の公募展に応募して作品発表もしています。作品の共通のテーマは「光」です。色彩と光について講じる一方で,紙とインクを使って,光を表現できるかを考えつつ,製作実践をしています。

6.今後について
大学で研究を続けながら,日本人がもっている,色の文化のすばらしさを学生が認識して,日本人として発信する側になってもらえればと願っております。

同時に,元ロータリー奨学生としての経験を活かしながら,国際交流活動に携わりたいとも思っております。

私はロータリー奨学生に応募する候補者に,いつも次の三つのことを助言しています。

まず,1次でも2次でも,選考に残ったら,絶対に感謝すること。スポンサーになってくださる方も選考に携わってくださる方々も,皆さんがボランティアです。そしてまた,貰えない人もたくさんいるわけです。ですから,そういった方々への感謝の念を持つこと。
 
第二に,選考に合格したら,自分は日本人を代表しているという誇りと自覚を持つこと。

第三に,留学先では周りに流されないで,自分の目標を失わずに実践すること。
これが私の助言ですが,同時に,私も財団留学生としての経験や帰国子女としての背景を活かしつつ,美術・デザインの分野での国際文化交流活動に携わってゆければと思っています。

「My Visit to Rotary Club Tokyo」 

国際キリスト教大学大学院
ロータリー財団世界平和奨学生 
Ms Ana Galvez

昨年、イスラエルにいる時に、ロータリー財団の教育プログラムの世界平和奨学生に合格したことを知らされました。 
発展途上国であっても先進国であっても,社会正義を通して、暴力をなくして寛容の心を養うことが大切です。
私は今、その問題について勉強するために日本の国際基督教大学大学院で、政治と平和の関係について勉強しています。
私の研究テーマは、つぎの三つです。
 1.国際紛争の解決について考えること
 2.公共政策について考えること
 3.国際協力の方法について考えること
対象にする地域は、ラテンアメリカ、中東、そして特に、イスラエルとパレスチナを中心に研究したいと思っています。
私はアルゼンチンのクラブを代表して、私を支えてくださる日本のロータリークラブとカウンセラーやその家族の人たち、日本で,ロータリー財団の教育プログラムをサポートしてくださる方々にお礼を申し上げます。どうぞこれからも,よろしくお願いいたします。ありがとうございます。