卓話


家飲み、外飲み

2021年8月18日(水)

職業奉仕理事 鳥井信宏君


 この原稿を書いているさなかに緊急事態宣言延長、地域の拡大というニュースが流れました。大変残念ですが今しばらく我慢したいと思います。

 新型コロナウィルスにより人々の生活は大きく変化しました。特に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置により、飲食店には営業時間の短縮やお酒の提供停止など大きな制限がかかることとなっています。皆様も外食の機会が大きく減ったのではないでしょうか。

 家での食事の機会が増えることに対し、多くのスーパーマーケットでは店頭でこれまで以上にメニューの提案を強化したり、惣菜コーナーを拡充するようになっています。また、食材の宅配が伸長したり、ウーバーイーツや出前館に代表されるようにケータリングが当たり前になってきました。

 お酒も同様で、外で飲む機会が減りいわゆる“家飲み”需要が拡大しています。実際に昨年4月に緊急事態宣言が発出され5月にかけての総務省家計調査では、料飲店での支出を示す「飲酒代」は前年を9割も下回りました。一方、同じ家計調査で小売店での酒の購買を示す「酒類」という支出項目は、昨年4月、5月に前年を20%以上上回り、6月以降「飲酒代」が徐々に回復してからもほぼ二桁増で推移しました。この傾向は今年に入ってからも続いていて、コロナ前の2019年と比較しますと“外飲み”は5割程度落ち込んでいる一方、“家飲み”は二桁近い増加が継続しています。

 では、家庭ではどのようなお酒が好まれているのでしょうか。最も伸長しているのは、缶チューハイに代表される蓋を開けてすぐ飲めるRTD(Ready To Drink)と呼ばれるカテゴリーです。これには色々な理由があります。氷の入ったグラスに注ぐだけで飲めるという手軽さと、比較的安価であることが一番大きな要因ではないでしょうか。メーカー各社も毎週のように新しいフレーバーの製品を発売し、RTD市場を刺激し続けていることも好調の一因です。

 このRTD市場内でも、巣篭り期間が長くなるにつれて変化が起きています。当初はストロング系と呼ばれるアルコール度数9%の製品が大きく伸長しましたが、最近は伸びが鈍化し少し度数の低い製品へシフトしています。さすがに肝臓に疲れが出始めているのかもしれません。

 ノンアルコールカテゴリーも絶好調です。ノンアルコールビールだけではなく、ノンアルコールのチューハイも登場しています。またホテルや式場の祝宴などでは、アルコール度数ゼロのシャンパンやワインが提供されるようになっています。

 ワインも家飲み需要が堅調です。そして、小売店で購入されるワインの単価が少しずつ上昇し始めています。これには二つの要因があると考えています。一つはなかなか外食もできない環境でのプチ贅沢です。もう一つは、外でワインを飲んでいた方たちが家飲みとなり、スーパーマーケットやネットでワインを買うようになったことです。飲食店は通常小売価格の3倍から4倍でワインをメニューに載せています。それと比べると店頭で買うワインはリーズナブルとなり、少し高い価格帯の製品を好まれるのではないでしょうか。 外食の減少、家飲み拡大により、若い世代が少しお酒を飲むようになってきています。お酒の需要は、ずっと東京ロータリークラブ世代が担ってきました。外で、特に上司と飲むことを避けてきた若い世代は、WEB飲みなどを通じて酒の楽しさを知り始めたようです。

 外で飲もうが家で飲もうが、ほとんどのお酒の味に違いはありません。唯一圧倒的に味に差がでるのがビールです。外で樽から提供されるビールと缶ビール、中味は同じでもきめ細かな泡や鮮度で差が出ます。2020年、2021年と2年続けてビアガーデンでジョッキのビールを飲むことができませんでした。来年こそは気持ちいい青空の下、美味しい生ビールを飲みたいものです。