卓話


イニシエーションスピーチ

1月26日(水)の例会の卓話です

 松岡 昇 君
 依田 巽 君 

第4040回例会
シールドエアージャパン
代表取締役  
松岡 昇 君
「品質」を包み「信頼」を守る

 私の職業分類は「包装機械製造販売」です。
本社は米国ニュージャージー州にあり、ニューヨーク証券取引市場に上場しているグローバル企業です。世界51カ国に拠点が有り、100ヶ所以上の生産工場が稼動し、約18,000人が勤務しています。クッキーの缶を開けた時に一番上にのっている、壊れ物を包むクッション材が代表的な商品で、私どもがこのクッション材を発明した開発メーカーです。

1950年代後半から60年代前半というのは真空管を使用した電子計算機の全盛期にあたり、交換部品としての真空管を如何に破損無く輸送するかという物流問題が浮上した時期でもありました。それまで「保護緩衝包装」という考え方は洗練されておらずここで注目されたのが、当時開発されたばかりのクッション材で、当社はここで新製品の販売を開始しただけでなく、新しいパッケージングビジネスのコンセプト「製品保護」をも作り出したのです。

通常、商品はそれが作られたり、また生鮮品ではそのものが採れた場所で使用されたり消費されたりする事は殆ど有りません。必ず製造地点から消費者の手元まで運ばれます。その輸送や保管の間に製品が受ける損傷や品質劣化のリスクを最小限におさえるのが私どもの提供する製品保護包装と位置付けています。私どもはその用途に合わせてこの「製品保護」というくくりで様々な製品を市場に提供しています。

従来私どもが取り組んできた「守る」という考え方は殆どすべてが「内側」に収めたものを「守る」という発想でしたが、近来この守る対象が大きく変わってきます。いくつか事例をご紹介いたします。

1.地球環境を守ることへの取り組み
当社は20年以上前にオゾン層破壊の原因物質といわれているフロンの使用を全廃しました。リサイクル原材料の使用や独自の使用済み包装材料の回収ネットワークの確立、繰り返し再使用が可能な包装材料の開発、天然由来の原材料、使用後は土に帰るプラスチックなど環境対応は当社が最も力を入れている分野です。

2.人を守る事への取り組み
食品のトレーサビリティー。食品包装材料にその食品の由来や加工履歴情報を持たせたもの。改ざん防止包装。ユニバーサルデザインに代表される「人に優しい」包装。改ざん防止と開封の容易さは相反するニーズです。簡単に開けられるが、一旦開封するとその証拠が残るといった包装も開発されています。

3.世界の食糧危機への全社的な取り組み
現在、世界の食糧危機の解消に当社としてどのように役立てるかを検討するプロジェクトチームを発足して研究を進めています。先進国では食品の歩留まりは平均70%程だそうですが飢餓問題に直面している国々ではこの歩留まりは30%程度でしかないのだそうです。この歩留まりを向上する事によって、たとえ食料の増産が無いとしても飢餓問題解消への貢献ができるのではないか?と研究を進めています。冷蔵流通が整っていない国においても、無菌充填包装を行うことで病人や幼児がすぐに口にできる高蛋白物質を常温流通させる事が可能になり、飢餓問題の解消に大いに貢献できると期待されています。

このように、従来はパッケージの中身を守るという考えが中心でしたが、実は我々が守れるものはもっと有る、ただ単純に内側だけを見ていてもダメでもっと外に目を向けねばならないというように変化してきています。私たちはこのような分野に貢献する事が本当の意味で「信頼を守る」に繋がっていくのではないかと考えております。

ただし、いくら偉そうな事を申しましても包むものが無ければ、梱包屋は商売になりません。あくまで私たちは脇役です。主役はお客様の製品です。その主役がより輝くよう私たちは舞台裏でお手伝いするのが本分とわきまえ、これからも「守る」ということに特化した企業活動を続けてまいります。

依田 巽 君
「私とエンターテインメントの関わり」


発明や実用新案のみならず、アイディア、デザイン、映画や音楽などの制作プロデユース、それらを生み出す人の知恵とか感性を使って創り上げた形のない財産、またこれらを利用することによって収益を上げることができるような財産を総称して「知的財産」、略して「知財」というのです。

20世紀の日本は“技術立国”というスローガンのもと、高度な工業社会を実現しました。しかし、21世紀の日本は新たな産業構造を構築せざるを得ない時代に入りました。こうした中で2002年2月に小泉総理による“知財立国”という政府方針が打ち出され、「知財」を軸に国際競争力を高め産業を振興させて行く必要性が明確に打ち出されました。

その「知財」の中に、エンタテインメント・コンテンツ、というものがあります。簡単に言えば、映画、音楽、アニメ、ゲームなどの娯楽等のコンテンツのことを総称したものです。これを国家戦略として振興させていこうということなのです。

これには隣の国、韓国の成功が身近な事例としてあげられます。皆さんも「冬のソナタ」をご覧になった方がいらっしゃると思います。この成功からもわかるように、他国で愛されるドラマや映画、漫画は強力な外交親善大使の役割を果たすことができるのです。

実は韓国では、1998年に時の大統領金大中氏が韓国コンテンツ産業の振興を強く推し進めることにしたのです。「韓流−ハンリュー」を合言葉に、アジア各国からワールドワイドに進出していくことを国が年間850億円もの予算でバックアップしているのです。

中国がそれに続き、これからは「(華)フアー流」と言う言葉がはやると思います。日本のコンテンツビジネスの規模は2001年11兆円と言われ、GDPの約2%に上ると言われています。ただし米国ではGDPの約5%を占めています。

このような中で、経済界でもコンテンツ産業振興に本腰を入れていこうということで、日本経団連に、私が部会長を務めるエンターテインメント・コンテンツ産業部会が発足しました。この部会は出版、放送、映画、ゲーム、音楽、玩具、プロダクション、流通など多岐にわたるエンタテインメント系企業と業界団体から構成されています。経団連の60年近い歴史の中でエンタテインメント・コンテンツ産業に関する本格的な検討を行うのはこれが初めてということもあり、注目を集めています。私がコンテンツ専門調査会委員として政府の知的財産推進戦略本部とも歩調を合わせながら討議を重ねています。このように政官財界をあげてエンタテインメント・コンテンツ産業振興の機運が盛り上がっていることは、私達エンタテインメント・コンテンツ企業にとって追い風であり、また社会から大きな期待が寄せられていることの裏返しでもあります。われわれもこれを好機と捉えわが国のコンテンツ産業発展に努力してまいる所存です。