卓話


ロータリー財団の現況と課題

2013年11月13日(水)

国際ロータリー第2580地区ロータリー財団委員長
パストガバナー 浅川皓司氏
(東京王子RC)

 ロータリー財団では皆様からの寄付金をもとに、奨学金制度や人道的プログラムを実施しております。たとえばアフリカの農村に井戸を掘るプロジェクト、ラテンアメリカの子どもたちに読み書きを教えることなど、世界中のロータリアンが自らの時間と専門知識をささげ、ボランティア活動に当たっています。

 私は1972年に東京王子ロータリークラブに入会し、これまでにクラブ会長や地区ガバナーも務めさせていただきました。さらに今年度は2580地区のロータリー財団委員会の委員長を仰せつかっておりますので、その役目を少しでも果たす意味で本日の卓話をさせていただきたいと思います。

 ロータリー財団の活動そのものは皆様方の浄財によって成り立っていますが、その浄財の活用は、これまでロータリー財団がプロジェクトを実行していました。しかし今年から形態が変わりまして、各クラブから納められた財団への寄付は、3年後に地区にDDFとして送られ、それぞれの地区の裁量で地区内クラブの社会奉仕事業を助成することができるようになりました。またグローバル補助金として、海外のクラブと共同のプログラムを行うこともできます。

 私どもの地区はパイロット地区として3年前から、すでにそうしたプロジェクトへの取り組みを進めてきました。これをモデルケースに、一般の地区は今年からそうしたかたちで活動をすることになっています。特にこの11月は「ロータリー財団月間」でもありますので、これを機会に皆様方のご理解をいっそう深めて頂けたら幸いに存じます。  さて、ロータリー財団には標語、使命、優先事項がございまして、それぞれ次のように定めています。まず標語ですが「世界でよいことをしよう」。極めて単純かつシンプルなスローガンですが、これは誰もが分かりやすく基本的なことから始めようという考え方でもあるわけです。

 また使命としては「ロータリアンが人々の健康状態を改善し、教育への支援を高め、貧困を救済することを通じて、世界理解、親善、平和を達成できるようにすること」と定めており、こうした課題に少しでも貢献できるよう努力を重ねています。

 そして6つの重点分野、つまり優先事項については、次のようなテーマに取り組んでいます。(刃造畔響萢祝鼻κ響莢魴茵´⊆隻騨祝匹伴N邸´水と衛生設備 な貉劼侶鮃 ゴ靄榲教育と識字率向上 Ψ从僂斑楼莠匆颪糧展。この中でたとえばの水と衛生設備ですが、日本ではあまり実感がなくても、発展途上国などでは非常に大きな問題となっています。特に水については衛生上の管理が悪く、多くの幼い子どもたちが命を落としています。こうした現状を少しでも改善するため、国際プロジェクトとして井戸掘り技術などを提供していますが、当地区にもそうした活動に取り組んでいるメンバーがいます。

 ロータリー財団委員会の取り組みについては順次見直しを図り、今年度からは以下のような新しいプログラムによって活動をすることになりました。

 まず「地区補助金」ですが、地区の裁量で地区内の各クラブの社会奉仕活動に対して、助成をすることができるようになりました。

 「グローバル補助金」は2カ国以上のクラブ・地区が、6つの重点分野に関するプロジェクトを共同提唱し、実施する国際的な活動が目的となっています。この中の学生に対する奨学金は、昔からずっと継続されているもので、とりわけ修士課程、博士課程の学生へのサポートを充実させています。奨学金とは別にもう一つ職業研修もありまして、意欲ある人材を海外に派遣してさらにスキルアップを図るものです。ただこれは実施するにあたって現実には難しい面があり、現在見直し中ですがプログラムとしては今も健在です。

 次に「パッケージグラント」ですが、これはロータリー以外の団体が行っているプロジェクトが対象になります。いくつかの法人が行っているプログラムを検討し、それに協賛できれば資金的な協力をするものです。

 また「ロータリー平和センタープログラム」というものがあり、これは一言でいえば平和目的の奨学金です。国際関係、平和研究、紛争解決などの関連分野の学問を修め、卒業後もそういった活動に従事したいという学生に対して奨学金を授与しています。

 そして最後に「ポリオプラス・プログラム」というのがございまして、これは言うまでもなくポリオ撲滅のためのプログラムです。ポリオとは急性灰白髄炎のことで、子どもに多く発症するウイルス感染症であるため、以前はよく小児麻痺と呼ばれていました。

 このポリオに関しては、決して忘れられない出来事がありました。実は私が最初に財団の委員長をしていた時のことですが、東京麹町ロータリークラブに大変元気のいい会員の方がおられました。この会場にもご存知の方がおられると思いますが、山田彝(つね)さんという英語にとても堪能な方で、私が委員長をしている間、ガバナー事務所で国際ロータリー宛に一生懸命手紙を書いておられた姿が印象的でした。

 その山田さんがポリオのプログラムがスタートした時、同じクラブのドクター、峰英二さんとインドに行って、ポリオ・ワクチンの投与にとても献身的な協力をされました。ところが帰国されてから顔色がひどく悪い。私が「どうしたの」と聞いたら「どうも風土病にかかったようで」と言っておられましたが、それから3カ月後に他界されました。そしてさらに3カ月して峰さんも亡くなられたのです。

 私には大変ショッキングな出来事でしたが、それがどういう風土病だったのか今もって原因や病名も正確には分からないようです。いずれにしても実際に現地に行って、そういう活動をするということは、場合によっては大変な危険を伴うこともあると、改めて認識させられた次第です。

 したがって色々なプロジェクトの中には、ある程度のリスクは覚悟のうえで現地に出向く活動もあれば、そうした体力はもう年齢的に無理という方には、とっておきの知恵を出していただくという方法もあります。しかし体力も知恵も難しいという方には、代わりに浄財を出していただきたいとお願いしたいと考えている次第です。

 ところで、アメリカに「チャリティー・ナビゲーター」という、非営利団体の独立系格付け機関として最も信頼されている組織があります。毎年、数千とも言われる非営利団体がチャリティー・ナビゲーターによって評価されていますが、わがロータリー財団は最高級の4つ星を獲得しています。しかも1年2年というレベルではなく、ここ6年間続けて4つ星の評価を受けているのです。

 こうした格付けの対象となっているのが、財団の財務管理能力です。財務管理が非常にきちんとされている、そして説明責任もきちんとされているという評価でした。さらには透明性が極めて高いということも4つ星につながりました。

 ともすると「財団に出した金はどうなっているんだ」という話もございます。しかし財団の会計につきましてもきちんと報告はされていますが、あまりご覧にならない方が多いようです。しかしロータリーはそうした4つ星という、非常に透明性の高い財団であることのお墨付きをもらっているわけです。皆様方にはどうかその点をご理解いただき、これからも一層のご協力をお願いする次第でございます。

 さて最後になりますが、これまでに取り上げてきた諸々の活動のために、当地区ではロータリー財団委員会のもとに4つの小委員会を設けています。各種補助金の扱いを担当する「補助金委員会」、財団の資金を管理する「財団資金管理委員会」、その資金を活動推進する役割の「資金推進委員会」、そして先ほども申しました「ポリオプラス委員会」の4つでございます。

 いずれにしてもロータリー財団委員会としては、皆様方のクラブとロータリー財団の間に立って、多くのご協力をいただきながら、それぞれの活動がよりスムーズに進むよう、できる限りの努力を続けていきたいと考えています。

 なお国際ロータリーの推奨もありまして、委員会の委員長および委員は、3年間務めることが原則になっております。私は今年が初年度であと2年残していますが、その間、委員長として財団に対する皆様方のご理解をさらに深めていくことが、自分の役割だと信じています。これからも皆様方のもとへ色々お願いに参上することもあると思いますが、その節はご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

        ※2013年11月13日(水)の卓話をクラブ会報委員が纏めたものです。