卓話


環境経営について

5月19日(水)の例会の卓話をクラブ会報委員が纏めたものです。

コクヨ蟯超マネジメント部
部長
麹谷 和也 氏

いま企業に求められているテーマは,大きく分けて4つあると思います。

第1は,持続可能な発展です。第2は,企業に対する評価軸が,財務面での評価基準に,新たに,環境・社会という非財務の項目が加わってきたという認識です。第3はCSR(企業の社会的責任)という観点からの,企業の在り方,経営の質そのものが問われはじめたことへの対応です。第4は,環境面での取り組みについて,広く情報開示が求められていることです。

まず第1点目ですが、 企業は経営理念をベースに,売上・利益を獲得するために,製品・サービスを提供する経済活動を展開します。結果を,株主総会,決算報告の形で開示しますが,市場はさらに,事業活動が与えている環境負荷や提供する製品・サービスが,如何に環境負荷を低減する配慮を施しているかという情報を求めています。それが株価とか環境格付けに反映していく,大きな流れができていると思われます。

地球温暖化問題では,20世紀は地球の限界を意識せずに取り組みを進めた世紀であったといわれており,21世紀は当然のこととして,企業自らが一企業市民としてサスティナブルな活動が求められます。また,社会も企業に対して,それらの取り組みを強制してきており,規制緩和が進む中,環境にかかわる法律は強化されています。

このような状況を受けて、企業は環境管理の国際規格であるISO14001に積極的に取り組むと共に,ゼロエミッション(廃棄物ゼロ)等,限界や持続可能な開発・発展(Sustainable Development)をキーワードに取り組み始めました。

具体的には、ISO 14001を導入する企業が非常に増えています。ISO 14001の認証取得は国内では1996年に実施され,当初104件だったものが2003年11月には13,416件もの認証取得が行われております。特に自治体の取得が進んでいます。通常,規制をする側の自治体が監視を受けるレベルにまで来ているということは,決して一過性の問題ではないと思います。

環境基本法は1993年に制定されました。これがベースになって,2000年には循環型社会形成基本法ができ,廃棄物処理をはじめ各種リサイクル法が整備されております。法律が強化されていくことによって,法律が仕事の進め方を変えてしまうというところまで来つつあるのではないかという認識であります。

また、環境負荷の低い商品を購入しようという消費者運動「グリーン購入ネツトワーク」に取り組む消費者団体が2800を越えました。行政機関のほとんどすべての364,企業2177,民間団体268が加入している,世界でもめずらしいネツトワークです。この団体が積極的に取り組みを進めた結果として「グリーン購入法」ができました。国の機関みずからが,環境に配慮した商品を買うという法律です。昨年までは13分野152品目のエコ商品が,今年の4月から,200品目まで拡大してきております。

 企業へのアンケートによりますと,エコ商品の,売上全体に対する比率は30パーセントを占めております。日本の名目GDPが513兆円,そのうち製造業が107兆円といわれておりますが,それを分母にしますと,エコ商品の市場は既に32兆円,最近では50兆円を越えるマーケットであると言われるようになりました。

2、3点目は、評価軸の変化です。日本経済新聞が毎年12月に,「企業の環境活動」を評価して環境経営度ランキングを発表しています。単に取り組みの評価だけではなくて,ブランドにおいても「環境」という切り口で評価されるようになってきております。最近では、CSRという切り口でも投資家が投資対象企業を評価するようになってきており、企業の社会的責任についても今一度注目し、取り組みを再チェックする必要があります。

4点目は、情報開示です。これらに対応するためには、「環境」「CSR」を別に考えるのではなくて,経営マネジメントサイクルの中に如何に落としこむか,その結果を如何に情報開示するかが重要です。また,そういうマネジメントシステムから作られる製品・サービスについても,環境に対する配慮があることを情報として開示する必要があります。

単に,環境負荷を軽減するだけでは環境経営とはいえません。経営というものは継続的に維持していくものでありますから,それぞれの企業が提供する製品・サービスのコアの部分に環境改良を組み込んで,企業の利益に結びつけていくことがなければ,環境経営という言葉を使うべきではないと思っております。

 また、取り組みによって得られた成果は、自己満足の世界に終わらせず,情報開示を如何にするかが大切です。環境感度を高めているグリーンコンシューマーに如何に伝えていくか,如何にタイムリーに伝えるか,これが,企業価値,ブランド価値を高めていく重要な要素だと確信しております。

このような認識のなかで,私どもの取り組みについてお話し申しあげます。

当初は,環境への取り組みは工場という生産現場で導入すればいいだろうと考えておりました。 しかし環境経営はマネジメントのなかに含む必要があるのだと,考えを変えまして,製品企画,開発,販売,生産調達,物流のすべてのマネジメントサイクルの中に,環境というキーワードを落とし込むこととしました。

我が社では,1993年から「環境行動憲章」を定めて,取り組みを進めてまいりました。一定の成果を挙げたわけですが,それ以上に,スピード,質,レベルが求められるようになってまいりました。それを受けて,環境経営の考え方を企業グルーブ全体に及ぼすような取り組みを進めて,2002年に,グループの環境ビジョンを定めて,その中で,方針や中長期の目指すべき到達点(アクションプラン)を明確に定めました。これをグループで推進するため,責任体制を定め.権限を付与し,取り組みを進めております。

1998年以降,まず工場でISO14001の認証取得をいたしました。翌年にはオフィス,開発部門,販売物流部門をまとめまして,一元管理の環境管理体システムを構築いたしました。3年目には,全事業所の全ビジネスエリアを網羅する環境管理の一元管理システムを構築いたしました。

こうした取り組みで,環境負荷は継続的に軽減改善していると認識しておりますが,メーカーとして,製品・サービスに対して,どのような環境配慮を盛りこむかというガイドラインも明示しております。

 開発されたものが市場に出る前に,そのガイドラインに即して,その通りになっているかをチェックする評価ツールも持っております。我が社では,そのチェックを経たうえで商品を提供しております。

一方,私どもは消費者として,環境に配慮した部品・部材を購入するようにしております。その原点は(Reduce,Reuse,Recycle)の3Rの思想ですが,さらにRethinkを加えて,購入に際しては,代用できるものはないか,ほんとうに使えないか,など,必要性を考慮したうえで,購入を決めることとしています。

「環境経営」実践にあたっては,当然「人,物,金」がかかります。そこで,投資によって環境負荷がどれだけ削減できたかという物量効果や,関連するコスト削減の経済効果を確かめられるような仕組みを,敢えて「環境会計」という新たな制度を導入し検証に努めています。まだ、財務会計のように精緻な情報を提供できるようには至っておりませんが,別枠で投資に対する効果をチェックする必要があるという思いで運営をしております。

「環境経営」の実践は,従業員が取り組んでくれなくては意味がありません。そういう意味で,我々従業員がやったことを適切に評価する必要があると考え,通常の日常業務の中での活動を評価する「環境業績評価」を導入してきました。しかし、4月からは,ことさらに「環境業績評価」とせずに,各事業計画の中に「環境経営」という言葉を入れて,具体的に,どんな項目について,どんな到達点を決めて,どんな手法で取り組むかを明らかにすることにしました。具体的には、各事業会社の事業計画の中に明らかにさせ、おのずと環境にかかわる取り組みが進むような仕組みに,ようやく到達してまいりました。「環境」を別枠にしないということに苦心してきましたが、ようやく6年かかって念願がかなったかなと感じております。

環境経営の実践は,通常のマネジメントシステムと環境管理の仕組みを如何に融合させるかが最大のボイントだろうと思います。

 通常のマネジメントシステムでは,プランを立て実行し,その効果をチェックしながら継続的な改善をするのが,基本的な発想だろうと思います。それと同じ姿勢で環境に取り組むことが,まさに環境経営の実践だと言えると思います。従業員のモチベーションを維持しながら,グルーブを挙げて環境経営に取り組むことは企業が果たさなければならない役割のひとつであると思っております。

例会訪問











5月19日(水)の例会にワシントンRCよりGallagher氏が来られました。さらに、大阪国際大会出席の前にお立ち寄り頂いた、6名の外国からのビジターとゲストをお迎えいたしました。







 伊勢崎RCより感謝状と記念品
4月21日(水)伊勢崎RC創立50周年記念祝賀会に親クラブとして若井会長が出席され、4月28日(水)の例会で感謝状と記念品を披露されました。