卓話


花屋と胡蝶蘭の話

2016年3月9日(水)

螢乾肇Σ崚
代表取締役社長 後藤尚右君


 本日は花屋(花き小売業)とその取扱商品である生花についてお話します。
 店舗を構えて生花、特にバラや蘭などの洋花を販売する商売は、日本では明治時代の半ばに誕生し、現在全国に約3万9千店の花屋があると言われています。うち約2万店が花のみを扱う専門店で、残りがスーパーマーケットなど花が取扱商品の一部である業態です。平成になって不況が続いたせいか、近年では販売をインターネットのみで行う花屋、生け込み専門の花屋など、路面店舗を持たない花屋、すなわち花の在庫を多数抱えるリスクを負わない花屋が急増し、これらの業態を含めると花屋の数はこれより遥かに多くなると考えられます。

 ある調査機関の行ったアンケート調査によると、全国の小学生女子の人気職業ランキングで98年~02年の4年間、花屋は4位でしたが、去年は残念ながら9位に落ちております。パソコンやスマホで花を注文する方が増え、街にある花屋が若い世代や子供を中心に身近ではなくなったことも原因の一つでしょう。世の花屋は女の子の憧れの職業であり続けたいと思っています。若いお嬢様、特に女の子のお孫さんをお持ちの会員の皆様、花屋という昔ながらの人の心を癒す素敵なお仕事をお薦め頂けると嬉しいです。

 ところで花に興味を抱き、より身近に感じて下さる方は男性より女性の方が圧倒的に多いのが現実です。当ロータリーでは会員の方の殆どが男性です。そこで奥様やお嬢様にお土産話としてお持ち帰り頂ける話を1つ致します。

 私は家業の花屋を継ぐ前の3年間、勉強のため世界を巡り、色々な都市の花屋で丁稚奉公をしました。その経験から申しますと、『世界のトップクラスの花屋は、四季で気候の違いがはっきり現れ、一流の交響楽団を持ち、一流の美術館、劇場、ホテル、レストランを複数持つ文化水準の高い大都市に存在する』ということになります。加えて花屋の中に地域の人々の気質の違いがはっきりと見てとれます。技術的な得手不得手も国によってはっきり出ますので、そうした視点で観光旅行の合間にでも訪問先の街で花屋に立ち寄り、色々観察すると面白い発見があるわけです。

 例えばドイツ、オランダは最も前衛的で斬新なデザイン・技術の開発に余念がなく、フランスの花屋は色彩感覚がずば抜けており、店舗ディスプレイ(陳列)も極めて上手です。英国はガーデニングに優れ、米国の大都市では地域によって差異はありますが、世界一のスケールと常識破りの発想で施工するパーティ装飾や空間演出が注目に値します。

 最後に花の名前は余りご存知ないと仰る男性の方々に、恐らくどなたでも知っておられる胡蝶蘭の話を致します。胡蝶蘭の鉢植は、日本では特に法人のお客様が祝い花として贈る定番商品です。とくに文化勲章、叙勲、役員就任、選挙(当選)、組閣などの祝い花として贈られる、ほぼ唯一無二の商品が胡蝶蘭でしょう。当ロータリー会員の皆様は社会的に成功を収められた方々ですから、御自宅に配送された数え切れない数の胡蝶蘭をご覧になっていると思います。

 何故こうした祝い花に胡蝶蘭が選ばれるのでしょうか?〕は高級で上品な花であり、中でも胡蝶蘭が一番大きくて豪華、△△蕕罎覯嵌の中でも最も長持ちする、習慣のように他の方々も胡蝶蘭を贈ると予想されるので、同じもので足並揃えるのが無難で間違いないという日本人的感覚・・・などが理由でしょう。

 こうした良い部分がある一方、胡蝶蘭の鉢植を贈る事の短所もあります。祝い花の定番商品として認知され過ぎた為、茎1本の値段がお客様に広く知れ渡っている点です。良く使われる3本立ち、5本立ちの胡蝶蘭は値段が受け取る方にも解る為、一度に配達されると贈った方の予算の差がはっきり知れてしまいます。それを避けたい場合、他に見ない特大の胡蝶蘭を注文されるか、他の個性的で値段の知られることのない商品にされるか、花屋に事前にご相談下さい。


総合商社の役割とビジネスの変遷

2016年3月9日(水)

丸紅
顧問 関山 護君


1.商社の役割
 総合商社は様々な事業を行っているが、3つの代表的な役割が挙げられる。 第一は、資源・エネルギーの安定供給。世界経済の持続的な成長に必要不可欠であり、中長期的な需要の拡大が見込まれる。商社は資源・エネルギーの権益を多数保有し、安定供給に向けた取り組みに注力している。

 第二は、インフラ整備。新興国を中心に膨大なビジネスチャンスが期待できる。商社は長年に及ぶ豊富な経験を有し、積極的な取り組みを進めている。

 第三は、中間層の拡大や環境意識の高まりに応じたビジネス。消費財の需要拡大や、環境意識の高まりによる新たな事業分野に対応したもの。

2.商社の変遷
 商社のビジネスモデルは、幾多の変遷を重ね、今日の姿に至った。
 戦後、加工貿易型産業が育成される中、商社は取引仲介機能を発揮し、輸出振興の先兵としてビジネスを拡大した。

 プロジェクト型にビジネスモデルを変えていったのは1970年代から。80年代からは、海外で蓄積したノウハウを武器に国内企業の海外進出を支援した。時には商社の存在価値が問われ、「商社冬の時代」といわれた苦難の時代もあったが、機能の高度化・多様化で乗り切ってきた。

 90年代以降は、発電事業や再生可能エネルギー、水、穀物などの分野で新事業を創設し、様々な資源権益を確保するなど、ビジネスを多様化してきた。

3.トレードと投資がビジネスの両輪
 商社の事業形態が大きな変容を遂げたのは、2000年代に入ってから。メーカーがノウハウを蓄積してくると、商社は単にモノを横に流すだけでは存続できなくなり、ビジネスモデルの転換を迫られた。売上高競争から決別。川上の原料調達から、川下の小売りまでの各段階で事業投資を行い、バリューチェーンを構築することにより、質の高いサービスを提供し、投資・トレード収益を享受する形態へと変革を遂げた。

トレードの実績と経験、人脈、ノウハウが商社の強みであり、これを活かしてこそ事業投資も成功する。

4.近年の商社ビジネスの特徴
 近年は実務の面でも変わってきている。
 一つ目は、投資が大型化しており、リスクマネジメントやポートフォリオ経営の重要性が増していること。資源分野と非資源分野のバランスを取ることが特に重要。様々な分野でバランスよく稼ぐ「総合商社の原点」を大切にすべき時代になってきた。

 二つ目は、企業買収において、買収先企業との融和の重要性が高まっていること。買収先企業の経営方針や企業文化がまったく異なるケースは珍しくなく、当初は様々なことが起こる。立ち上げ期間に多くの人材やノウハウを投入し、きちんとマネージしていくことが重要。

 三つ目は、ビジネス・パートナーが世界中に広がっているということ。パートナーは日本企業とは限らない。柔軟にベストなパートナーと組むことで、競争力を高めている。

5.具体的ビジネス
 電力ビジネスは最も商社らしい取り組みの一つ。
 発電所の設計、調達、建設を行うEPCビジネスでは、60年代以降、海外向け発電機器・送変電設備の納入・据付を手掛け、85年のプラザ合意後の円高により日本製品の競争力が失われると、外国メーカー等とコンソーシアムを組み国際入札に参加した。90年代に入り規制緩和が進むと、発電事業を行う海外IPPの取組みを開始。2000年代は取り組みを多様化させた。

 社内組織もダイナミックに変えて対応した。多角化に応じて組織を細分化し、経験とノウハウの積み上げを行っている。
 今後は電力バリューチェーンを、より太く長くしていく事業展開が期待できる。

6.結び
 商社の最大の資産は人材であり、人材をいかに育成し活用していくかが、商社の持続的な発展の鍵を握っている。近年は、多様な人材を登用するダイバーシティの重要性が高まっている。各社とも研修プログラムなどに多額の投資を行い、人材の育成に力を入れている。