卓話


ロータリー理解推進月間例会 ロータリーを楽しみましょう

2014年1月15日(水)

国際ロータリー第2580地区
元会長 水野正人君


 最初に皆さんの絶大なご支援を賜り、お蔭様で2020年オリンピック・パラリンピック大会を東京に招致出来た事に心より御礼を申し上げます。

 本日は前半に招致活動の話を報告し、後半は会員増強も含めて、どうロータリーを楽しんでいくかという話をさせていただきたいと思います。

 昨年9月7日、2年間の招致活動の最終日、アルゼンチン・ブエノスアイレスでのIOC総会の初日、現地午前10時半から東京チームの45分間プレゼンテーションが始まりました。みんなで心を一つにしてその場に臨みました。最初に高円宮妃久子殿下でした。東日本大震災に対して日本が受けた世界のスポーツ界からの支援に対する感謝、そして、IOCの皆さんがオリンピック運動を推進されていることに心より敬意申し上げるということを、最初はフランス語で、次に英語で話していただきました。

 次に、パラリンピアン佐藤真海選手が足を失ったことや被災したことをスポーツの力で乗り越えたことを、JOC竹田恆和会長は理念について、そして世界の模範になるオリンピックを開催すると話しました。私は東京の万全な運営能力について話しました。猪瀬直樹都知事が東京の都市力について、その次に滝川クリステルさんにクール東京アンバサダーとして東京の街の魅力を話してもらいました。それからオリンピアンの太田雄貴選手はメダルを獲得したこと、その大きな意義を人々と共有することについて。そして、安倍晋三首相には、福島原発汚染水漏れ問題を政府の責任で解決すると大変強いメッセージを出して頂き、最後に竹田会長が「Vote for TOKYO」と締めました。この最終プレゼンテーションは「驚き」と「感動」がテーマでした。

 3都市のプレゼン終了後、直ちに投票です。まず最少得票都市の名が呼ばれてその都市が消え、残りの都市で投票が繰り返されますが、今回は大変稀なことに最初の投票で、2位、3位同数でイスタンブールとマドリッドでした。2位を選ぶ投票が行われ、イスタンブールとの決戦投票になりました。東京は1位ですが、実は心配しました。94票あるうち、もし、東京が32票、他都市が31票ずつと僅差の場合、2位決戦のときの勢いがそのまま決選投票に反映されるのではないかということです。その時点で票数は公表されないため、最後まで緊張しました。

 日本時間5時20分にIOCロゲ会長から「TOKYO」と発表された時は本当にホッとし、いままで一緒に活動してきた皆さん、支援していただいた皆さんに対する感謝の気持ちでいっぱいになりました。後から聞いたところ、第一次投票では東京42票、他都市は26票ずつで、票数に差がありました。決戦投票では福島原発汚染水漏れ問題の懸念を払拭することができ東京60票で圧勝でした。

 8年前にJOCで大会開催を討議した際、オリンピック運動を振興する最高の機会は大会開催であり、前回1964年から半世紀を過ぎた2020年には是非とも日本で開催したいという強い希望を持ちました。招致は複数回立候補して取れるものと言われています。2016年に立候補して最善を尽くしましたが、残念ながら敗退しました。JOCはこの直後、招致戦略本部をつくり、私が本部長になり、それまでの経験をすべて生かして2020年招致に臨みました。2011年3月に東日本大震災が起き、本当に心配しましたが、同年7月にJOC理事会は立候補を決断、9月に立候補申請しました。

 招致には大きく6つの要素があります。よく最終プレゼンで勝利に導いたように言っていただきますが、この6つすべてに良い結果を出す必要がありました。

 1番目は「大会計画」です。計画が素晴らしくなければIOCメンバーの理解を得ることはできません。2016年の計画をもう一度精査し、メインスタジアムのロケーションを国立競技場に変更、また選手村を晴海に移動させ、より広く快適なものにしました。

 2番目は国民・都民の支持率です。一昨年4月のIOC独自調査では47%でした。ロンドン大会前は58%、大会後63%、50万人が集った銀座のパレード後の1月のIOC調査では70%、3月のIOC評価委員会訪日後83%、そして最終段階の8月には何と92%という考えられない程の高い支持率をいただき、招致の大きな力になりました。今回はオールジャパン体制を組むために経団連、日商、同友会、そしてロータリーを含め多くの団体の長に招致評議会を編成していただき、それぞれの団体に支援を広げていただいたことが勝利につながったと思います。

 3番目は広報活動です。これは国内、海外ともに私たちの活動を広く知っていただくために大切でした。

 4番目はIOC評価委員会対応です。IOCメンバーが立候補都市を訪問することや、都市がメンバーを訪問することはルールで禁じられていますので、投票するメンバーにとって、評価報告書が開催都市を知る上で大変重要となります。昨年3月上旬に評価委員会15名が来日、3日間の調査を行いました。連日午前中は大会開催計画14項目の説明と質疑応答、午後は現地視察で、事前準備を徹底しました。評価報告書では高い評価をいただきました。

 5番目はプレゼンテーションです。昨年5月から9月の最終プレゼンまで4回の機会が与えられます。5月末、6月、7月にローザンヌで大会運営についてのテクニカルプレゼンテーションを行いました。最終プレゼン含め、その都度の目的や聴衆に合わせてストーリーが作られ、何度も練習とリハーサルを繰り返し、聴衆にアピールをするように設えました。IOCの公式言語は仏語ですので、プレゼンの中では敬意を表し、随所に仏語を用いました。

 6番目はロビーイングです。投票権のある約100名のIOCメンバー一人ひとりに我々の想いを理解してもらうため、あらゆる機会を見つけてロビーイングを重ねました。メンバーはそれぞれに国籍、言語、年齢、文化、宗教、趣味、その他の要素で投票動向が違います。それらを分析し、竹田会長と私は全員に対するロビーイング、スポーツ界、産業界、その他メンバーと親しい方に個別でロビーイングを展開しました。今回は文科省、外務省に大きな支援活動を展開していただき大きな後ろ盾になりました。

 この6項目のどれにも大きな間違いがないようにしました。招致委員会事務局はチームワークを徹底しました。チームワークとは目標を明確にし、それぞれの役割を理解し連係プレーで効果を上げ、何かあれば互いにバックアップし、確実に全体のミッションを遂行することです。今回は「一枚岩」のチームワークが実現できました。

 ロータリーの活動もチームワークだと思います。ロータリーは1年単位で分担が変更となりますが、「頼まれたら断らない」ということで、それぞれの役割を担いチームとして進めています。私が会長をさせていただいた2004−05年は、アテネ・オリンピックと重なり、とても忙しく6回ほど諸戸副会長、五十嵐幹事にバックアップをお願い致しました。また、2011−12年にはガバナーをさせていただきましたが、この時も招致活動が多忙を極め、山本�B人地区幹事や副幹事の皆さんに私の役割の多くを担っていただき、無事役割を終えることができました。

 ロータリアンは多士済々です。クラブの綱領をしっかり理解し、奉仕を実践していく。しかし、ロータリーの活動も創立から100年以上になり、綱領や基本的に職業倫理を守ることに変化はないものの、国際・国内社会の変化に合わせて少しずつ変化しています。アメリカ、日本で会員数が減少している現実を見て我々のあり方を見直す時だとも思います。

 2011年、バネルジーRI会長は書簡で「平均的ロータリアン」という表現をされました。平均値があるのならどのような項目で値が違うのでしょうか。まず一般的に国籍、年齢、在籍年数、ロータリーの知識、ロータリーに対する思い入れ、金銭的余裕、時間的余裕に違いがあることが考えられます。平均的ロータリアンと言う表現をしてもこれほど違いがあるわけですから、ロータリアンは金太郎飴であってはならない。ロータリーのリーダーになる人はいくつかの項目が平均よりも高いであろうと思われます。人間は他人に自分と同じレベルを求める傾向があり、それがロータリーを教条的、形式的なものにしてしまう可能性があるとすれば、それに嫌気をもって退会する人も出るかもしれません。メンバーはロータリーにおける在り方を自ら決め、変化に合わせてロータリーとの付き合い方をできる範囲で調整することが良いのではないかと思います。

 自らの生業以外の団体で人が集うのは、そこに意義があり楽しいからだと思います。楽しくなければ長続きしません。ロータリーのリーダーになる人は、自らの担当分野をロータリアンの絆で関係するメンバーを巻き込んで、活動を有意義で価値があるものにすると同時に、楽しい集いにする義務があると思います。楽しければ会員も集まってくるように思います。

 自分たちの人生をどのように有意義なものにするか。誰もが一度しかない人生です。みんなでロータリーを楽しみましょう。


      ※2014年1月15日(水)の卓話をクラブ会報委員が纏めたものです。